あずきとこおり/代々木

ブルータスで見開きで取り上げられていたカキ氷専門店「あずきとこおり」。外苑前の人気店「フロリレージュ(Florilege)」の姉妹店(なのか?詳しい資本関係は知らん)で、フレンチの手法を用いた創作カキ氷が話題となっています。
場所は代々木駅から西に向かい徒歩5分、小田急線のガード横あたりです。カキ氷は行列商法であることが多い中、当店はwebからの予約制なので便利。なのですが、時間通りに訪れたというのに前の客が帰っておらず片付けも済んでいないため、軒先で結構な時間待たされました。日差しを遮るものが無いため地獄ッ!まさに地獄ッ!まったく何のための予約なんだか。
店内はカウンターのみで7-8席といったところでしょうか。ラーメン屋っぽい構造ですがマットなグレー色に仕上げています。カトラリーはひと席づつ引き出しとなって格納されており、イマドキなスタイルです。
ところで予約時間を過ぎても席に案内されなかったことにつき、やはりというか何というか、客を入れ過ぎて作業が全然まわっていません。それでも20分おきに次のゲストがやって来るため(たぶん20分間隔で予約を取っている)、従業員は皆、この世の終わりみたいに疲れ切った表情をしています。自転車操業とはまさにこのことで、ヒースローのように玉突きディレイが生じています。
2人で訪れたため2種を注文し、順番に半分こして食べていきます。まずは「アマゾンカカオとコーヒーゼリー」。1,980円です。カキ氷そのものはまさに映えなのですが、スタッフのみんなたちの疲れた表情が目に付くため、私だけヒンヤリと甘く滑らかな氷を楽しんでて良いのか申し訳ない気分になってきます。私はHSPなのだ。
肝腎の味ですが、結構旨い。しかしながら、これはカキ氷というよりも氷を用いたアシェットデセールと捉えたほうが良いかもしれません。ソースやクリームにドッシリとした骨格があり相当にヘヴィ。口の中でほどける氷の柔らかさを楽しむといった風情は一切なく、アッパー系バーサーカーモードなスイーツです。
続いて「苺とシブースト」。こちらも1,980円。何やらバーナーでチンチンに熱しているなと見ていると、大胆にも氷のトップに置かれたクレーム・シブースト(プリンみたいなクリーム)に熱した鉄板(?)を押し当てファイヤーします。わお!これは楽しい!
完成版。うひょー、ほんとにシブーストだ。クリームの上面がキャラメリゼされているのはもちろんのこと、フィユタージュ(パイ生地)まできちんと散らしてあって凝り性半端ない。
シブーストの下にはフレッシュなイチゴとそのソースがたっぷり。これはこれで大変美味しいのですが、やはりカキ氷として捉えればゴテゴテと味が多すぎるきらいがあり、朝ドラの清純派女優に厚化粧してしまったような食後感です。一方で、カキ氷ではなくフランス料理風のスイーツとして見れば完成度は非常に高く、「ジャニス・ウォン (JANICE WONG)」のようなアシェットデセール専門店の価格設定に比べるとお値打ちと言えるでしょう。
スイーツとしての完成度が高い分、やはりこの劣悪な労働環境は気になるところ。朝から晩まで20分おきに予約客が訪れ、定時性が悪いため「まだかよ」みたいにイラついているゲストに対面し、1日中立ちっぱなしで壁に向かって氷を削り続けるのは精神衛生上良くないでしょう。

このお店のオーナーが誰で経営がドコなどを私が知る由もありませんが、もう少し予約の間隔を広げるなり単価を上げて客数を減らすなどしないと、客よりも先に従業員が去って行くような気がしました。大きなお世話かもしれませんが、私は優秀なパティシエールがカキ氷でバーンアウトする様を見たくはないのだ。

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