フォションホテル京都(FAUCHON L'HOTEL KYOTO) /清水五条

パリはマドレーヌ寺院脇での開業に続き、世界で2軒目となるオテル・フォション。部屋数は59室のみのスモールラグジュアリーホテルです。京都のイケてるホテルとしては珍しく車寄せが無く単なるビルといった装いですが、まあ、このあたりもパリっぽくて良いのかもしれません。タクシーはドアマンやポーターが流しを止めてくれるのでご安心を。
入ってすぐのロビーが圧巻。豪華客船の大階段のようであり、建坪はそう広くないビルに何とかこの階段を入れ込んだのはフォションの世界観をアピールするためでしょう。ドアマンに名前を告げ荷物を預け、10階のレセプションへと向かいます。
ロビーはバーとシームレスに繋がっている設計であり、ふかふかのソファに座ってチェックイン。館内のインテリアコードはフォションカラーで統一されており、一般的なギャルであればテンアゲ間違いなしです。
まずは自慢の紅茶とマカロンを頂きました。タイミング悪くバタついていた頃にお邪魔してしまったのですが、旨い茶と上品な菓子が手元にあるので少しも待たされたという印象を持ちません。また、事前にお伝えしていたリクエストやレストランの予約などは全て完璧に連携されており、チェックインの女王に勝るとも劣らない運用レベルの高さです。この時点で食のセレクトショップが展開する企画モノのホテル、という考えは改めることにしました。
お部屋はスーペリアタイプのツインルームにご案内頂きました。広さは40平米弱といったところでしょうか。フォションのブランドカラーであるピンクにホワイト、ブラック、ゴールドのみをあしらった女子ウケ必至のコーディネイトです。
林家ペー・パー子のようなインテリアですが、日本を代表する着物デザイナーのムッシュ斎藤上太郎など一流の芸術家たちが関与しており見ごたえがあります。また私はロマンチストなので、あえて桜の季節にこのお部屋に予約を入れた結果、妻は跳ねて喜んでいたので、今年の町内会のグッドハズバンド賞は手堅いでしょう。
花より団子。当ホテルの名物といえば「グルメバー」。各部屋に配備されたカロリーを補給するためのクローゼットであり、たっぷり詰め込まれたフォションのスイーツは全てゲストのものです。
ジュースや酒などはさすがに有料ですが、菓子類などは全て無料(込み料金)であり、食べきれない分については持ち帰りOK。というか絶対に食べ切れない量であり持ち帰りは前提で、それ専用の紙袋まで紙袋まで用意されています。
自慢のフレーバーティーはキュートなハコに格納されています。菓子類と異なりこちらはお代わりOKであり、言えば足りなくなった分を補充してくれます。
ウェットエリアは独特のデザインで、ゴージャスというかクラシックというか、一歩間違えると趣味が悪く見えるギリギリのラインを攻めています。
アメニティ類は別注品であり、フォションのシグネチャーであるビズビズ型のソープディッシュが印象的。
バスルームはクラシックに寄せた豪華タワマンのような誂えであり、しかしながらシャワーシステムの使い勝手は非常に良いです。
トイレは化粧台と繋がった場所にあり、一応ドアでの仕切りはあるものの、そのドアが西陣織の半スケ状態なのでちょっと落ち着かない面もあります。
クローゼットはいくつかあって、ウォークインではないものの廊下からの動線を上手く活用しており使い勝手は良いです。傘がピンク色でむっちゃ可愛い。
パジャマやバスローブも館内全体のインテリアコードを引き継いでおり、見て可愛らしく着て滑らかです。ドライヤーはダイソンのものであり、ちょうどぴったりのピンク色があったもんだなあと感心しました。
テレビはクロームキャスト対応で、回線速度も下りで50Mbpsを超えます。この世界観にぴったりの一曲は何だろうと熟慮に熟慮を重ね、HKT48の「桜、みんなで食べた」を流してみました。ところでLE SSERAFIMの宮脇咲良は今でこそ世界のクラですが、私はメロンパン同盟時代からの推しですからね。さくら咲け!
共用設備に参りましょう。2階にジムがあるのですが、これはとりあえず作ったという程度であり、期待しないでおきましょう。ピンク色のホテルでワークアウトなど無粋な行為なのだ。
1階にはブティック。宿泊者だけでなくビジターの利用もOK。部屋のグルメバーに置かれていた菓子類がそのまま売られており、総額だと余裕で1万円を超える気前の良さだと思い知りました。ありがとうフォション、そしてありがとう。
ランチにメインダイニングの「Restaurant Grand Cafe Fauchon (グラン カフェ フォション)」へお邪魔しました。10階建てビルの最上階に位置し、東山の景色を一望することができます。
お食事のコースが5,500円にフォションのシャンパーニュをふたりで1本飲んで、お会計はひとりあたり1.2万円ほど。おお、これは中々お値打ちですね。料理については正直期待していなかったのですが(ごめんなさい)、決して老舗のブランドに頼ったレストランというわけではなく、無名のままデビューしても充分に闘っていけるレベルの高さを感じました。詳細は別記事にて
アフタヌーンティーは2階の「サロン ド テ フォション(Salon de Thé Fauchon)」へ。建前はアフタヌーンティーのお店ですが1回転目は11時~であり、何なら夜まで営業しているので使い勝手が良いです。税サ込5,500円。え!これ安ない!?東京のホテルのアフタヌーンティーは7-8千円が当たり前の世界になってきたことを考えると実にお値打ちな価格設定であり、質はそれ以上と言えるでしょう。詳細は別記事にて
女子の夢が詰まった素晴らしいホテルでした(写真は公式ウェブサイトより)。しかしながら、私のようなユニセックスおじさんにはしっくりくるのですが、硬派な男子が立ち入ると場面で浮くかもしれないのでご注意を。加えてキュートはキュートであるものの、設備は高級ビジネスホテルといった程度なので、家族で訪れても子供は退屈するかもしれません(そもそも京都は子連れに向かない街だ)。BTS的メイクをする男子を連れたカップルや、女子旅や女子会でどうぞ。

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