Bistro topology(ビストロ トポロジー)/目黒

目黒駅から徒歩10分、権之助坂を下ってココカラファインを右に折れて少しのところにある「Bistro topology(ビストロ トポロジー)」。奇跡のタイ料理屋「みもっと」のすぐ近くです。
カジュアルで温かみのある店内。テーブル2卓にカウンターが5-6席と小さなお店です。にもかかわらず、アラカルトメニューの豊富さは圧巻。更には数十の自家製シャルキュトリが用意されており、シェフはきっと凝り性の肉ヲタクなのでしょう。
店のサイズに比してワインリストは厚く、中でもビオのラインナップは目を瞠るものがあります。7-8千円のボトルが中心であり、良心的な価格設定と言えるでしょう。

料理につき、アラカルトも魅力的だったのですが、初めてお邪魔するお店なのでオムニバス形式のコースを注文。税込7,150円です。
アミューズが凝っています。馬肉のタルタルのタルトにブランダード(タラとジャガイモのペースト)のコロッケ。タルタルはそのまま量を増やせばそれだけでメインディッシュとして成立しそうなほどの完成度であり、コロッケは揚げたてのホクホク。この時点で今夜の勝利の確信を得ました。
自慢のシャルキュトリ。この日はパテ・アン・クルート。お肉のテリーヌを生地(パートブリゼ)で包んだクラシックなフランス料理です。この客席数でよくもまあこんな七面倒臭い料理を。素材は鹿に猪に鴨に牛レバーと、シャルキュトリ好き歓喜のラインナップ。付け合わせのマッシュルームサラダにキャロットラペまでいちいち手が込んでいて、この店はガチで凄いかもしれん。
パンにはリエットが付随します。こういった小道具までやはりいちいち美味しく、もうこれだけで酒のツマミとして成り立つ出来映えです。
前菜にメバチマグロ。軽く熱を入れて半生に。ちょうど甘味が増す塩梅のバランスの良い火入れです。下に敷かれたカブのソースも心地よい甘味を奏でており、自家製のカラスミの塩気と旨味が魅力的なアクセント。
スープ・ド・ポワソンが絶品。魚介の旨味を凝縮したリッチな味わいであり、ニンニク風味のソースをたっぷり浮かべてパンチのあるひと皿です。摺り下ろしたグリュイエールチーズをふんだんにトッピングし、トロっと溶けた部分をスプーンでゴッソリすくって至福のひと時です。
山口は萩から直送のヒラメ。これはステーキか何かかと我が目を疑う分厚さ。加熱にグラデーションがあって、最内のあたりはレアレアな仕上がりであり、生肉原理主義者にとっては堪らない仕立てです。カニを用いたソースにも深みがあって、何このお店、肉だけじゃなくて魚も最高に旨いじゃん。
メインはバコーンとエゾジカのランプ肉。これぞ究極と言うべき率直な調理であり、鹿肉のキレイな鉄分が食欲を掻き立てます。これは肉である。当たり前のことですが、それだけ素材感を全面に出したどストレートなひと皿でした。
デザートにつき、ショコラもテリーヌで作ります。奇をてらわずカカオの濃厚な風味を最大限活かした甘味であり、先のメインディッシュに通ずる思想を感じました。自家製のバニラアイスも香り豊かで美味しい。
コーヒーでフィニッシュ。ごちそうさまでした。以上を食べ、ふたりでワインを1本飲んでお会計はひとりあたり1万円強。うひょー、これは凄い。倍請求されてもおかしくないほどの質および量であり、ビストロとしては東京でもトップクラスの満足度でしょう。「ラ メゾン ダミ (La maison d'ami)」にせよ、目黒は地味にフランス料理のレベルがめちゃ高いかもしれません。

肉料理の深奥を垣間見た夜でした。次回はアラカルト注文で、色んなシャルキュトリを山ほど食べたいと思います。

食べログ グルメブログランキング

関連ランキング:ビストロ | 目黒駅


関連記事
目黒は焼鳥やトンカツ、カレーにラーメンと生活に密着した飲食店が多く、そのいずれのレベルも高い。地味ですが豊かな食生活が約束されている街です。
市や区など狭い範囲で深い情報を紹介する街ラブ本シリーズ。2015年の『目黒本』発売から約4年の年月を経て、最新版が登場!本誌は目黒に住んでいる人や働いている人に向けて、DEEPな目線で街を紹介するガイドブックです。