高野山 別格本山 總持院(そうじいん)/和歌山

空海を始め歴代のスーパースターたちが眠る高野山。寺院は117が存在し、そのうち52は「宿坊」と言って宿泊することができます。元々は僧侶や参拝者が泊まるための施設だったのですが、現在は一般の観光客の受け入れも盛んな模様。
我々は「總持院(そうじいん)」という、高野山の中心地すぐ近くにある宿坊に滞在。1泊2食つきでひとりあたり1.7万円でした。旅館やホテルなどに和風の庭園を備え付けた施設はたまにありますが、ここ宿坊はマジでこの上ないほど和風です。
館内は宗教施設というよりは旅館に近い雰囲気。チリひとつなく清潔でありwifiも飛んでいます。外国人客も多く、修行僧が普通に接客できているのがシュールです。
ウェルカムドリンクとして抹茶とお菓子が供されます。
飲み物を楽しんだ後は部屋へとご案内。ポーターよろしく修行僧が荷物を運んで下さり、このあたりの身のこなしはきちんとしたホテルのそれと全く同等です。
部屋は10畳と聞いていたのですが、アルコーブ(?)にあたる部分もゆったりとスペースが設けられており高級感があります。
お部屋拝見。なるほど、旅館である。薄型テレビもあればエアコンもあり、セキュリティボックスから浴衣まで、宿泊施設として不足しているものは何ひとつありません。
お庭が素敵。自室のテラス(?)には箱庭が誂えられており、その奥に広がる高野山の雄大な自然。
部屋にシャワーはなくトイレと洗面所のみ。部屋のアメニティは歯ブラシとハンドソープのみとビジネスホテルレベルですが、大浴場のシャンプーなどがフランス産のエラバシェ(Ella Bache)と豪華でした。
お食事会場。広い広い畳敷きの部屋をグループごとにパーティションで区切っています。テーブルと椅子も用意されており、ヘタな温泉旅館よりも食べやすい。追加料金でアルコールも追加することができ、色々とフリーダムなお寺です。
さて、メインイベントの精進料理。動物性の食材を一切排除した完全ヴィーガン食です。左は胡麻豆腐。一般的な和食店で食べるものと同等です。右の八寸は意匠を凝らしたカボチャやイモなどですが、やはりカボチャやイモの味です。
うどん。コシに乏しいぶっかけうどんのようで美味しくない。社食や学食レベルです。
天ぷらはトウモロコシ、ジャガイモ、ズッキーニ、パプリカ。素材はともかく揚げがイマイチですね。油がベタベタと舌先に残り胸焼けがします。
お椀には茄子に揚げ出し豆腐。この揚げ出し豆腐は変わっていて湯葉を押し固めて豆腐と湯葉の中間のような形にし、それを揚げるという仕組みです。味も良い。本日一番の1皿でした。
もうお食事です。覚悟はしていましたが、やはり物足りない。むりくりゴハンをおかわりして腹を膨らませにかかるのですが、心の食欲はカロリーとは無関係なのだ。
この日は朝の4:30起きで羽田に向かったので、お風呂に入れば上のまぶたと下のまぶたが仲良しこよし。まだ22:00というのに完全おねむモードに入りました。
翌日は5:45に起床し朝のお勤めに参加します。当院のお勤めはこれまた今風であり、途中での入退室は自由。椅子席も用意されており、本質的な勤行というよりは体験を楽しむ仕組みです。ある意味で、こだわりが無いのが当院のこだわりなのかもしれません。外人家族がオタオタしながら焼香してるのが微笑ましかった。
朝のお勤めの後は朝食。私は普段の生活において朝食は摂らないのですが、前夜の食事に満たされなかったためか自然と朝食を欲するようになりました。しかし朝食もやはり完全ヴィーガンであり、力が漲りません。
神聖なエンターテインメントに精進料理と宿泊でひとりあたり1.7万円と、まあ、こんなもんでしょうか。おもてなしの心と清潔さは超一流であり、騒々しい家族連れなども居ないので雰囲気は良し。あまり気負わず、ちょっと変わった旅館ぐらいのつもりで訪れましょう。


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