yaoyu(ヤオユー)/神田

長年パリで活躍していたシェフ夫妻が帰国。その昔、鳥海智史シェフのお父様が神田錦町で「八百勇」という八百屋を営業しており、そのオマージュを込めて同地に同名のレストランをオープン。
カウンター5席、テーブル20席。店内はまさに今風でスタイリッシュ。男性的な鋭さのある内装でありカッコイイ。他方、かなり声の響く空間であるため、声の大きい方は他のお客様のためにトーンを落とすよう意識するようにしましょう。
ワインリストやペアリングは無く、ソムリエールと相談しながら決めていくスタイル。まずはドイツのスパークリングワインで乾杯。自然派が多く、全然知らないワインばかりでした。お料理はアラカルトで注文可能ですが、コース料理がお得に見えたので、8,000円のそれを注文。
アミューズ。凝っているのですが、タコに黄色いインゲンにヌルヌルとした海藻と、ややグロい。味が悪いというわけではありませんが賛成もできない、やや腰が引けてしまう1皿です。
前菜1皿目はガスパチョ。中央にはブッラータを配し、アクセントに自家製のラー油を散りばめるという面白い試み。全体としては正統的に美味しい1皿です。
良く飲む連れとのデイトなので、泡の次からボトルに入ります。何本かテーブルに候補が並べられ、特徴などを伺ったのちにコチラをセレクト。ソービニヨンブランの微発泡という珍しいワインであり、思いのほか複雑で重厚なテイストで面白い。ブラインドで飲めばソービニヨンブランと答えらえる人はまずいないでしょう。
ウニ。これはもう抜群に美味しいですねえ。たっぷりの生のウニにざく切りのトリュフが散りばめられ、フランやジュレなどで味覚を折り重ねる。ウニ内部にとどまっていた海水を元に作られた泡泡は塩気が強く酒を呼ぶ。
自家製パンが滅法旨い。ほのかに酸味があり、噛みしめるほどに旨味が溢れ出る。パンに対する拘りは、やはりパンの国フランスでの活躍が長いことに拠るものでしょう。
前菜3皿目はアオリイカ。プツっプツっという独特の食感にイカ特有の強い旨味が響く。イカスミを練りこんだペースト(?)も磯の香りが強く大人の味。甘長とうがらしは場面でめちゃんこ辛いので、最後に食べましょう。
お魚料理はフエダイ(だっけ?)。悪くは無いのですが、印象にも残り辛い料理でした。ソースがビスク系で強烈なのと、ムール貝はムール貝でその強い味わいを主張しているので、全体としての整合性が取れていなかったのかもしれません。
メインはホロホロ鳥。それほど好きな食材ではないのですが、この個体ならびに調理は素晴らしいですねえ。パサパサと硬くなりがちな鶏肉がシットリ・ふんわり・ジューシーに仕上がっており、筋肉食堂のチキンをより昇華させた味わいです。
勢いに乗ってもう1本。淡く清澄ながらも飲み応えのある味わいであり、先のホロホロ鳥の味覚にピッタリでした。
デザートは今が旬、桃のコンポート。どクラシックでシンプルな調理であり、素材の味がダイレクトに響きます。
お会計はひとりあたり2万円弱。今夜は飲みまくったので割に高くなりましたが、グラスワイン数杯に留めておけば1万と数千円で事足りる、悪くない費用感です。現代風な店構えならびに料理の外観ですが、味覚については王道中の王道。ワインのセレクトはちょっと普通じゃなくて面白い。デートというよりは、フランス料理を食べ慣れた仲間と行くのにちょうど良い、玄人好みのするお店でしょう。


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神田は良い街です。東京駅すぐ近くと至便であるのにも関わらず、5,000円も出せばしっかりと飲み食いができるお店が多い。気長に開拓していきたいと思います。

月刊『散歩の達人』のハンディ版。チャラついていない大人向けの硬派なガイドです。地図が解かり易く名所旧跡の紹介もしっかり。神田周辺をお散歩する際には是非。

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