鰻う おか冨士(うなう おかふじ)/伏見(名古屋)

名古屋の名店「うな富士」が飲食チェーンの「かぶらやグループ」に事業を譲渡し、日本全国における多店舗展開が一気に進みました。ここ伏見は御園座タワーに入居する「鰻う おか冨士(うなう おかふじ)」も新ブランド展開の一環であり、食べログでは百名店に選出されています。
ランチタイムは開店前から行列ができていますが、ディナータイムは行列は無く、フリーで訪れてスっと着席することができました。もちろんネットから予約を入れて訪れるのがオススメです。

店内は和風のファミレスといった雰囲気で、鰻屋さんとしてはかなりの大箱。妙に家族連れが多く、ますますファミレスと変わりません。「うなぎ藤田(ふじた)」のように会食での利用は厳しいでしょう。
着席すると、スっとキュウリとキャベツの松前漬け的な何かが出てきます。こちらはおかわりOKで、サラダの代わりにちょうど良い。
「うまき」は1,680円なのですが、信じがたい極小ポーションです。汁気がダブダブで見栄えも悪く、味も大したことがありません。感覚的には680円だったとしてもまだ高い。いきなり地雷を踏んでしまいました。
私は「肝入り 上 うなぎ丼(限定)」を注文。7,390円です。本家の「うな富士」でも確か似たような価格帯だったので、そのあたりは上手くやってくれているのかもしれません。
蛤のお吸い物。プリっと大粒の身を楽しむことができ素直に美味しい。しかしながら鰻屋のお椀が肝吸いでないのは違和感があります。
丼ものには「うざく」が付くとの案内があったのですが、これがまた「うまき」に勝るとも劣らない極小ポーションであり、これなら出さないほうが印象が良いというレベルです。
主題の「肝入り 上 うなぎ丼(限定)」。いわゆる名古屋の「地焼き」スタイルであり、外はパリッと香ばしく、中はふっくらとした仕上がりになっています。調味は見た目ほど強くなく、タレの甘さも控えめです。
「肝焼き」も美味しいは美味しのですが、「うな富士」で食べた時のような感動は得られません。私もすっかり懐古厨である。
一言で述べるとすれば「がっかり」です。インディーズのロックバンドがメジャーデビューした途端にカノンコードのつまらないバラードを歌わされている感覚に似ている。もちろん多店舗展開が果たされ予約も取りやすくなり、名古屋の鰻の民主化を推進した功績は認められるべきですが、「よこ田」で覚えた違和感に近いニュアンスがあるのも事実。過ぎ去りし時代の残響に魂を委ね、ノスタルジアの深淵に沈む己を見つけた夕食でした。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。