うな春(うなはる)/高岳(名古屋)

高岳駅から5分ほど歩いた場所にある「うな春(うなはる)」。時間が読めず予約をしたり並んだりできない場合に鰻料理専門店は便利な存在です。この日も急に思い立って予約ナシでお邪魔しましたが、快く受け入れて頂きました。
カウンターに6席にテーブル席が数卓と小上がりで、トータルでは20席強といったところ。カウンター席目の前が焼き台で炭火で焼き上げるライブ感が楽しく、食欲が増します。
なのですが、唐突に「6月から全商品一律5%増し」の怪文書が配布されました。うーん、軒先のメニューにはそんなこと一切書いて無くて、着席してからこの案内というのはどうなんでしょう。値上げするなら値上げするで黙って勝手に総額表示にメニュー更新しておけばいいのに。知らなくて良い情報をわざわざ伝えないで欲しいです。
気を取り直して「うざく」から。鰻の蒲焼きを細かくカットし、薄切りのキュウリと酢だれで和えた、夏にぴったりの爽やかな料理。脂の乗った鰻の甘みと濃いめタレのコクが酢の酸味と調和し、キュウリのみずみずしさで後味が軽やかです。
「う巻き」は香ばしく焼き上げた鰻を甘めの玉子で巻き巻きします。玉子はふんわり柔らかく、鰻よりも玉子の美味しさが際立つひと品。
肝吸い。鰻の肝を主役にした吸い物で、肝は新鮮で臭みなく、ほろ苦さと濃厚な旨味が特長的。澄んだ出汁は旨味が強く、ほのかな塩気と肝のコクが調和します。
私は「特上丼」を注文。肉厚な鰻を炭火で香ばしく焼き上げ、濃いめの甘辛タレで仕上げます。皮はパリッと香ばしく、身はふっくら柔らかで、脂の甘みが口に広がります。タレは名古屋らしい濃厚な味わいで、ゴハンに染み込み、鰻の旨味を引き立てる。ところで「全商品一律5%増し」ながらゴハンは大盛無料という謎サービス。まるで自民党の政策のようである。
お漬物は恐らく自家製で塩味は控えめ。シャキッとした食感とほのかな酸味が、濃厚な鰻のタレや脂の旨味をさっぱりと中和します。奈良漬けの濃厚で芳醇な味わいもすごくいい。
連れは「まぶし」すなわち「ひつまぶし」を注文。そのまま・薬味を加えて・出汁をかけてと定番の3パティーンの食べ方です。今から思えば「吉田屋 美濃錦 (よしだや みのきん)」のスタイルは錦糸卵などがのってかわっていたなあ。
以上を食べ、総額で1.4万円ほど。普通に美味しいし値段も悪くないのですが、なんせ「全商品一律5%増し」という不意打ちの印象が悪すぎました。5%と言えば700円程度なのですが、確実に我々を700円以上不快にさせている。あまり消費者の心理に興味が無いお店なのかもしれません。おつかれさまでした。

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