カウンターに6席にテーブル席が数卓と小上がりで、トータルでは20席強といったところ。カウンター席目の前が焼き台で炭火で焼き上げるライブ感が楽しく、食欲が増します。
なのですが、唐突に「6月から全商品一律5%増し」の怪文書が配布されました。うーん、軒先のメニューにはそんなこと一切書いて無くて、着席してからこの案内というのはどうなんでしょう。値上げするなら値上げするで黙って勝手に総額表示にメニュー更新しておけばいいのに。知らなくて良い情報をわざわざ伝えないで欲しいです。気を取り直して「うざく」から。鰻の蒲焼きを細かくカットし、薄切りのキュウリと酢だれで和えた、夏にぴったりの爽やかな料理。脂の乗った鰻の甘みと濃いめタレのコクが酢の酸味と調和し、キュウリのみずみずしさで後味が軽やかです。
「う巻き」は香ばしく焼き上げた鰻を甘めの玉子で巻き巻きします。玉子はふんわり柔らかく、鰻よりも玉子の美味しさが際立つひと品。
肝吸い。鰻の肝を主役にした吸い物で、肝は新鮮で臭みなく、ほろ苦さと濃厚な旨味が特長的。澄んだ出汁は旨味が強く、ほのかな塩気と肝のコクが調和します。
私は「特上丼」を注文。肉厚な鰻を炭火で香ばしく焼き上げ、濃いめの甘辛タレで仕上げます。皮はパリッと香ばしく、身はふっくら柔らかで、脂の甘みが口に広がります。タレは名古屋らしい濃厚な味わいで、ゴハンに染み込み、鰻の旨味を引き立てる。ところで「全商品一律5%増し」ながらゴハンは大盛無料という謎サービス。まるで自民党の政策のようである。
お漬物は恐らく自家製で塩味は控えめ。シャキッとした食感とほのかな酸味が、濃厚な鰻のタレや脂の旨味をさっぱりと中和します。奈良漬けの濃厚で芳醇な味わいもすごくいい。連れは「まぶし」すなわち「ひつまぶし」を注文。そのまま・薬味を加えて・出汁をかけてと定番の3パティーンの食べ方です。今から思えば「吉田屋 美濃錦 (よしだや みのきん)」のスタイルは錦糸卵などがのってかわっていたなあ。
以上を食べ、総額で1.4万円ほど。普通に美味しいし値段も悪くないのですが、なんせ「全商品一律5%増し」という不意打ちの印象が悪すぎました。5%と言えば700円程度なのですが、確実に我々を700円以上不快にさせている。あまり消費者の心理に興味が無いお店なのかもしれません。おつかれさまでした。

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仕事の都合で年間名古屋に200泊していたことがあり、その間は常に外食でした。中でも印象的なお店をまとめました。
- 名古屋うなぎランキング2017 ←1ヶ月集中して昼夜うなぎを食べまくった成果。
- ル マルタン ペシュール(LE MARTIN PECHEUR)/吹上 ←常連になりたくなるお店。
- a.ligne(アリーニュ)/新栄町 ←名古屋いや日本においてもトップクラスに好きなフランス料理。
- l'adour (ラドゥール)/池下 ←コース料理1万円未満の部においては日本屈指の実力店。
- ル・タン・ペルデュ(Le Temps Perdu)/伏見 ←名古屋・ベスト・費用対効果賞。
- レミニセンス(Reminiscence) ←フロリレージュ的な食後感。構成要素が非常に多く食べ手に経験を求める味覚。
- 壺中天/新栄町 ←王道フレンチ名店中の名店。
- 鈴波本店 膳処 (すずなみほんてん ぜんどころ)/栄 ←高級ホテルの和朝食より全然美味しい。
- ラ・グランターブル ドゥ キタムラ(La Grande Table de KITAMURA)/高岳 ←赤字ではないかと心配になるほどの費用対効果。
- ル ピニョン(LE PIGNON)/大曽根 ←この支払金額はリーズナブルを通り越して奇跡です。
- うめもと/高岳 ←ちょっとした神現場。
- うな富士/鶴舞 ←噂に違わず凄いお店。