KAWASAKI(カワサキ)/静岡駅

静岡駅から徒歩10分ほどの繁華街にあるジビエの名店「KAWASAKI(カワサキ)」。食べログ的には全然無名ですが、静岡の民としては人気の有名店であり、ゴエミヨでも高得点を記録しています。
入店すぐ巨大な肉専用の冷蔵庫(熟成庫?)がお出迎え。客席はカウンター席にテーブルが2卓というちょうど良い大きさであり、シェフおひとりで調理からサービスまで全てを担っています。それでいてキッチンがピカピカなのが恐れ入る。

河崎芳範シェフは元ギタリスト。24歳で料理の世界へと転向し、代々木「キノシタ」高田馬場「ラミティエ」などで腕を磨いた後、富士宮の農園直営レストラン「ビオス」でシェフを務めたのち「KAWASAKI(カワサキ)」を開業。
酒が安い。グラスのクレマンは800円で、地元のクラフトビールは千円を切り、グラスワインも千円かそこらです。ワインはそれほどラインナップが充実しているというわけではないので、ヲタクの方は持ち込み可能か事前に相談してみると良いでしょう。

話は逸れますが、シェフの立ち振る舞いが凄く好き。無駄口を叩かず黙々と作業を進捗させ、どのような事態に直面しても心を乱さない仏のような存在です。
トップバッターはホタルイカ。マッシュルームのフラン(茶碗蒸し)を土台に旬のホタルイカとキノコをたっぷり盛り込みます。コンソメには当店自慢のジビエの衆を用いており、華やかな外観ながらしっかりとした味わい。
5年熟成の自家製生ハムに10種類のジビエのパテ。うへ、生ハムって自分ちで作れてしかも5年も熟成できるんだ。ジビエも小さな個人店が10種類もパって手に入れられるってすげえ。そう、当店のシェフは狩猟の免許を持ち、シーズンにはほぼ毎日山に入って食材を自らゲットしているそうです。farm to tableの肉版。
パンも自家製なのかなあ。どことなく肉々しい食べ応えがあり、先の生ハムやパテと良く合います。素朴ながら深みのある味わいであり、後のソースと合わせるにもぴったり。
また、地元・静岡産の食材にはこだわりがあるようで、もう一つスペシャリテとして挙げるなら、「ニジマスのミ・キュイ」でしょうか。富士山麓にある「くぬぎ養鱒場」で育てられたニジマスを、皮はカリッと、身はしっとりと程よいコントラストを利かせて仕上げます。
熊のベーコンにポットベラ(ブラウンマッシュルーム)。ほんの少しの薄っぺらい肉ですが、その存在感は抜群。熊肉は人生で10回も食べたことがありませんが、毎度その存在感に圧倒される。もっと流行ればいいのに。
野菜特集。シェフ自ら契約農家に赴いて調達しているそうで、新鮮を通り越してまだ生きているかのようです。野菜そのものの味が濃い。こういう料理を毎日食べたい私は。
メインはキジ。ジビエと言うとどす黒い味覚を想像しがちですが、このお肉はちょっとした魚のようにクリアな味わいであり、スイスイと食べ進めることができます。意外にアメリカのコッテリした白ワインとかが合うかもしれん。欲を言えばもっと量を食べたかった。
〆のラーメン。ジビエの出汁に鶏のチャーシュー、各種ジビエのミンチ肉。スープならびにチャーシューの濃厚なことこの上なし。唯一無二の料理です。
デザートは焼き茄子のアイス。これがもう、笑っちゃうぐらい焼き茄子の味であり、そのくせしっかりと甘くスイーツとして成立しているのが面白い。
続く甘味は酒粕をベースとした白いプリン的な記事にハイビスカスのジュレ。ハイビスカスと言えば南城の「イビスキュス」はどうしてあんなに手際が悪いんだろう、当店はワンオペだというのに。
ハーブティーで〆てごちそうさまでした。以上を食べ、グラスで2~3杯頂いてお会計はひとりあたり1.6万円。東京では考えられない費用対効果であり、ラーメンなど独特な芸風も興味深いレストラン。客あしらいは前述の通り私の好きなタイプなのですが、シェフに話しかけまくって一緒に写真撮って仲良しを気取りたいゾーンにとっては塩対応に感じるかもしれません。きちんと仲の良いお友達と共に、食事を楽しみにお邪魔しましょう。

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