フランス食堂1663(イチロクロクサン)/南城市(沖縄)

自衛隊の駐屯地と沖縄刑務所の間という穏やかでない地に「つきしろカフェストリート」という個性的なカフェが集まる通りがあり、その中でも見事な眺望を誇るレストランがココ「フランス食堂1663(イチロクロクサン)」。住所は「南城市つきしろ1663」であり、地番から店名を取っているようです。「OOLOO」という、これまた眺望自慢の飲食店の地階にあたります。
見て下さい、この絶景を。まるでコートダジュールのエズあたりに来たかのようです。建物としては地階なのですが、切り立った崖(高台?)にある物件であるためこの見晴らしを確保できました。「6 (six、シス)」にせよ「イビスキュス(HIBISCUS)」にせよ、沖縄には絶景フレンチがたくさんあるなあ。
寒い日や風が強い場合に備え、店内席も立派に誂えられています。白を基調とした感じの良い内装であり、地中海やエーゲ海沿いのリゾートに遊びにきた気分。

店主は元々は鮨職人で、オーストラリアなどで働いていたそうなのですが、かの地でヨーロッパ系の料理に魅了され転向。渡仏して修行した経験もあるそうです。
奮発して最高値のコースを選択。それでもひとりあたり5,500円税込みです。ファーストドリンクが1杯付くのですが、私は運転があるため炭酸水でお茶を濁します。あー、この眺望ならシャンパーニュでシュワっと行きたいなあ。
まずはスープ・ド・ポワソン(魚のスープ)で内臓を温めます。ドロドロ系ではなくシャラっとした口当たりであり、初っ端に楽しむには丁度良い濃度です。
前菜は左からサーモンのマリネにプロシュート、フォアグラとイチヂクのテリーヌです。フォアグラが特に良かったなあ。ネットリと肉感的な舌ざわりにイチヂクの大人の甘さがベストフィット。
パンもギザギザに焼き目が付いており、食感にリズムが生まれてとても良い。これでサンドイッチ作っても旨いだろうなあ。
手長エビのフランにオマール海老のソテー。まさか5,500円税込みのコースにこんな高級食材が出てくるとは。見た目通りの正統的な味わいであり当然に美味。ポルチーニ(だっけ?)の濃厚なソースが良く合う。
お魚はアカマチ。沖縄の3大高級魚のひとつですが、やや淡白で水分が飛びすぎるきらいがあり、もうちょっとウェットな調理のほうが私は好き。それでもこの価格帯のコース料理でこのクラスの魚が出るのは嬉しい限り。
口直しのグラニテはアールグレイとアプリコット風味。くどいようですがドリンク付き5,500円税込みのコース料理でキッチリとグラニテを出してくるとは、シェフの料理人としての矜持を感じます。
メインは和牛スネ肉の赤ワイン煮。濃厚民族出身の調味であり、赤ワインでなく炭酸水で飲み下さなければならないのが悲しかった。全ては自動運転を早く実用化しないトヨタ自動車のせいである。
デザートはパイナップルとパッションフルーツのパフェ。ココナッツ風味のジュレも小気味いいアクセントを放っており、盛り付けも今風。もちろん美味。
温かい紅茶で〆。ごちそうさまでした。

繰り返しになりますが、以上を食べ、ドリンクが1杯付いて税込5,500円です。この費用対効果の良さやばたんまる。那覇の「Maison de Fujii(メゾン ド フジイ)」「cafe h(カフェ アッシュ)」に比肩する奇跡。
味ならびに費用対効果の良さはもちろんのこと、この眺望は何ものにも代えがたい。ランチはもちろん、夕暮れから日没にかけての空の色の変化、ひいては夜景まで楽しめるディナーがオススメ。運転好きな下戸を見つけて訪れましょう。

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1年で10回沖縄を訪れることもあります。1泊15万円の宿から民宿まで幅広く手がけています。
TACが世に出した一風変わった沖縄本。もはやガイドブックではなく参考書の域です。非常に情報量が多く、かつ、うまく整理されており読みやすい。大判ではないので持ち歩きやすいのも素晴らしいです。オールカラーの割に高くない。数多ある沖縄ガイドブックの中では突出した存在です。