ロマンティコ（Romantico）／白金台

白金台はプラチナ通りから1本路地に入ったビル2階にある「ロマンティコ（Romantico）」。食べログでは継続して高評価であり、ブロンズメダルを受賞し百名店入りもしています。
店内はカウンターのみのシンプルな設計。2人で訪れるのがベスト、3人以上だと会話がし辛いのでお勧めしません。どことなく舞台を思わせる誂えや照明が印象的。

さて当店はすき屋も真っ青のワンオペ店。ネット上の口コミに「シェフが無口」「不愛想」「冷たい」「寡黙」などの声が多いのですが、10人近い客をひとりで相手してるんだから当たり前だろと言いたい。そもそも君たちはレストランに何を期待してるのだ、従業員とおしゃべりしたいならキャバクラでも行くがいい。
アルコールは控えめな価格設計であり心地よく楽しむことができます。我々はふたりで1本＋メインにグラスワインという設定で臨みました。

お料理はアラカルトでもOKなのですが、初めてお邪魔するのでおまかせコースでお願い。席料500円に税サ込の価格が記されたメニューブックと、どこまでもフェアなお店です。
最初の皿から大迫力。フランス産の極太ホワイトアスパラガスに目玉焼きをジャーン。なんとわかりやすい料理なのでしょう。表面はカリっと、内部は甘いエキスがジュワアと沁みわたり、シンプルながら軽く人智を超えた美味しさです。 
子持ちのイカの詰め物的な料理。やはり素朴な調理ながら脳天直撃の美味しさ。平たく言うと見ての通りの味わいなのですが、なんというか、こう、一切こねくり回さずにここまで割り切ったスタイルというのも一周まわって新鮮に感じてしまいます。
パンは2種。いずれもプレーンな味わいであり、後続の濃いめのソースを拭って食べる際に活躍しました。
パスタはきしめんを3倍ぐらいブロードバンド化した平べったいものに、大量のサクラエビとネギでサッパリと。スルっと胃袋に落ちていく飾り気のない味わいでありHPが全回復します。どことなく縁日の塩焼きそば的な安心感がある味覚。
続いてトロフィエ。もちもちした食感が特長の生パスタです。麺そのものの美味しさはもちろんのこと、バジリコの濃度は過去最大級といったところでしょう。バジルの青い香りにオリーブオイルの草のようなニュアンス、ニンニクのパンチ力。枕を抱えて転げ回りたいほどの美味しさです。
メインはバスクのキントア豚。アメリカのプルドポークを思わせる豚肉のほぐし身の煮込みをキャベツで包み、表面をバリっと焼いています。いわゆるロールキャベツ的な味わいなのですが、今あなたが想像している味覚の倍ぐらい美味しいです。かといって押しつけがましいテイストではなく、先の塩焼きそばと同様に郷愁を誘う風味。これが、料理だ。
デザートはティラミスを選択。コーヒーの風味が強く大人の味わい。食後のハーブティーと共にまったりと余韻を楽しみます。

お会計はひとりあたり1.4万円。これはいい、すごくいい。旨い・ゲストに干渉しない・明朗会計。私の理想形とも言える飲食店です。
もちろん冒頭記した通りシェフは料理に集中しており、お店側が会食をリードしてくれるということはまずないので、人によっては塩対応と感じるかもしれません。しかしながら私のようにお店側との交流に興味が薄く、連れと過ごす時間に集中したいタイプにとっては最高の客あしらいです。最近の飲食店の、美容院のようにどうでもいい会話ばかり振って来る風潮は何なんだ。

シェフの鉄壁の料理観をツマミに、家族や友人、恋人との会話を楽しむ店として訪れましょう。

食べログ グルメブログランキング

関連ランキング：イタリアン | 白金台駅、目黒駅、高輪台駅

関連記事
イタリア料理屋ではあっと驚く独創的な料理に出遭うことは少ないですが、安定して美味しくそんなに高くないことが多いのが嬉しい。

日本のイタリア料理の歴史から現代イタリアンの魅力まで余すこと無く紹介されており、情報量が異常なほど多く、馬鹿ではちょっと読み切れないほどの魅力に溢れた1冊です。外食好きの方は絶対買っておきましょう。