ロッツォシチリア/白金高輪

ドンチッチョ卒業生のお店。四の橋商店街の、まさに四の橋すぐそこに立地。下町風情溢れる商店街を抜けた開放的な場所にあるので目立ちます。「あたし、しょっちゅうここの前を通ってて、いっつも満席なのが見えるから、興味あったんだよね」と連れ。
そう、四の橋はサンダル履きのおっちゃんがジャージ姿で普通に歩いている街である一方で、アルシミストルイジ鈴木屋オーギャマン ド トキオなどの突拍子も無い名店が綺羅星の如く連なるのが面白い。
シチリアの泡で乾杯。炭酸ガス注入方式ながら、思いのほか気泡が繊細。辛口の酒質と相俟って美味しかったです。
挨拶代わりの一皿。茄子のカポナータ。ラタトゥユとカポナータを混同しているお店をたまに見かけますが、当店のカポナータは正真正銘のそれ。丁寧に揚げられた茄子が程よい酸味と甘味に味付けられ、ニスを塗ったような鈍い輝きを放つ。旨いっ!
フォカッチャは雑味の無いプレーンなもの。気軽にパクパクと食べちゃうの。
「絶対にこれは注文したい!あとはキミに任せるわ」と、連れが情熱をもって取り組むペコリーノチーズのフリット。
わお!このビジュアルきゃわたん!「今が最高に美味しい瞬間です!早く食べて!」とスタッフもテンションが高い。そしてその勢いに違わず見事な味わいでした。シンプルだけどチーズそのものの味が濃く、揚げはどこまでも軽い。ひとりで1ダース食べたい。
ドンチッチョでも名物だった、鰯とウイキョウと松の実のスパゲッティ。太目の麺で小麦を噛み締め、松の実の香りを感じながら、鰯の苦味をワインで洗い流す。最THE高。総ての素材が胃袋で踊り思わずおかわりしたくなります。
お店の方と次のワインを相談。目の前に何本かお持ちくださり丁寧にご説明頂きました。「エレガント」という響きに誘われフラッパートとネロ・ダーヴォラの混醸。このセパージュでエレガントとかほんまかいなと疑念を持っていたのですが、確かにエレガントでした。果実味が豊かな一方で、酸味の切れも良い。
カジキマグロのインボルティーニ、オレンジのサラダ添え。何だろう、特定できない様々な食材が緻密に混ぜ合わされカジキマグロを包みます。素晴らしき味覚の大合唱。オレンジの爽やかさも風流の極み。美味しかった。もうちょっとポーションがあれば完璧。

ドルチェはかなりの種類がありました。いずれも魅力的で、「コレとコレとコレが気になるけど決められない…」と頭を抱える連れに、いいじゃん全部食べようよ、と提案し表情にぱっと花が咲く。なるほどだから私はモテるのか。
まずはイタリア名物カンノーロ。チーズの香りとコクが控えめな甘さと絶妙なバランスを保っています。

「そうだ、あたしの今年の目標はFカップになることなの。ビキニを着てね、海に行くの」。ちょっと待てこの話題を気軽に持ち出すとは、私のことをオカマか何かと勘違いしているのではなかろうか。
イチゴのセミフレッド。キメ細かい舌触りにクリームのコク、イチゴの酸味がお見事です。
〆はミルクのジェラートのアフォガード。ジェラートは一般的なそれよりも硬めに設定されており、エスプレッソを流しかけてもしっかりと形を留めます。濃い液体に甘いミルクが一体となって、これは新たな飲み物として特許庁に出願せねばなるまい。

素晴らしいお店でした。個人的にはドンチッチョよりも全然好き。ドンチッチョの美点を保持した上で、新たな世界を四の橋の地で創り出しています。

客層もいいですよね。ちょっと大人で食べこんでいて、まあ、旨いもの食べてみんなで楽しくやろうや、そんな空気感がゲストのみんなたちから滲み出ています。それでいてリーズナブル。完璧だ。近くにあれば、毎日でも通いたい。


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白金高輪は粒揃いの佳店が多いです。ちょっと不便な立地も良いんでしょうね、若い子たちを寄せ付けることが無くて。



ロッツォシチリア
夜総合点★★★★ 4.0
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