いづう/祇園(京都)

祇園の切り通し。われわれ一般人がイメージするまさに京都といった街並み。映えスポットである巽橋から数分にある鯖寿司の名店「いづう」。
1781年に同地で創業し、初代「いづみや卯兵衛」の名を由来として「いづう」という屋号を掲げ、2百数十年という気の遠くなる歴史を紡いできました。
元々は近所のお茶屋さんや座敷筋への出前やテイクアウトを専門としていたそうですが、6代目店主から広く一般の方にも知ってもらおうと方向転換し、1970年よりイートインが可能となりました。とはいえテーブルが3卓だけの小体な店内であり、今でもテイクアウトが中心のようです。
メニュー数は意外に多い。棒状態の鮨を6切れにカットしたものが1人前であり、鯖姿寿司、小鯛の雀寿司、鯛寿司、鱧姿寿司、焼穴子寿司などそれぞれ1種が2千円前後。せっかくなので人気どころを3種注文すると「それは量が多すぎる」と店員より指導が入りましたが、望むところである。
切って並べるだけなので、ちょっぱやで出てきます。左から「鯖姿寿司」「鯛寿司」限定の「鰻寿司」を注文。アルコールについては白ワイン1択であり、ビールすら置かれていないのには驚きました。
まずは「鯛寿司」。鯛の皮目を剥ぎ、身を昆布で抱き込んだお鮨です。
頂く際は昆布を取り外し別々に食べるのがルールです。少し熟成が進んでいるのか、鯛特有の弾力は失われ、ライスと一体化するような食感。凝縮が進み、甘味すら感じられました。昆布も地味に旨く日本酒が欲しくなる。
一番人気の「鯖姿寿司」。鯖は日本近海の真鯖、米は滋賀の江洲米(ごうしゅうまい)を用いており、昆布は天然の北海道産真昆布。
先の鯛とは芸風が異なり、昆布の風味が直線的。鯖にもたっぷりと脂がのっており、強い昆布の風味と鯖の脂が相まって破壊力抜群。
限定の「鰻寿司」。これまでの2種とはまた違った趣であり、鰻の旨味もさることながら調味が相当に強いです。ごってりとした味わいで素直に美味しい。ただしこれは当店の功績というよりは鰻という素材に拠る部分も大きいでしょう。シャリの多すぎるきらいがあり、ややバランスを欠いているようにも感じました。
以上3種を注文してお会計は9千円弱。うーん、ちょっと高いなあ。それなりには美味しいのですが、じゃあ同じ金額を出して高級回転寿司で本気で食べた場合とどっちが満足度が高いかと問われると、うーん。

祇園という土地で歴史を味わうという、ある種の観光スポット的な取り扱いで訪れましょう。また、誰かの家にお邪魔するときの手土産などには良いかもしれません。


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