モリエール(Molière)/円山公園(札幌)

北海道のフレンチを長く牽引する 「モリエール(Molière)」。ミシュランでは3ツ星を堅持し続け、食べログの得点も4.28(2019年9月)とトップをひた走り、「ルレ・エ・シャトー」というフランス発祥の会員組織にも属しています。ちなみに外観は古いマンションの1階という風情であり、あんまり格好よくありません。
中道博シェフは23歳で渡仏。数年の修行の後、札幌グランドホテルで腕を磨き、1982年には世界料理コンクールで金賞・特別賞を受賞した本格派。私は前夜にフレンチの料理人と飲んでいたのですが、「え!モリエールいくの?いいな!」というリアクションが普通に訪れるレジェンドです。
泡を1本飲もうかとワインリストをお借りしたのですが、一番安いシャンパーニュがモエアンペリアルであり、それが1.5万円近くします。リストを丁寧に閉じ、グラスのシャンパーニュを注文。なのですが、コチラはグラスにたっぷり入って1,680円と割にお買い得。謎な値付けである。
トウモロコシのスープ。一粒一粒が大層マッチョであり非常に食べごたえがあります。味に厚みがあって美味しいのですが、最初の1皿には甘ったるく感じました。
揚げたシイタケ。これはまあ、見たまんまの料理です。山ワサビをトッピングする試みは面白いのですが、味わいは凡庸に感じました。
二十数種類の野菜。素材ごとに火入れを変えており非常に手の込んだ1皿です。なのですが、混ぜて食べてしまえば割に単調な味わいであり、作業時間対効果があまり見合わない料理に感じました。何なら「クリスプ サラダ ワークス(CRISP SALAD WORKS)」のような雑なサラダのほうが美味しく感じてしまう。
フォアグラに舞茸。フォアグラはさすがの美味しさであり、気品あふれる脂が旨い。他方、舞茸はあまり火が通っていなく(生?)、野性的を通り越して土臭さが目立ちます。
ここからはワインペアリングでお願いしました。が、どういうわけかアルザスのリースリングという提案。フォアグラのコクにもキノコの土臭さにもどちらにも合わなかった。
パンはシンプルなバゲットでした。
アワビを丸ごと。外観も突然ナリサワが入り始め連れと共に苦笑い。量がたっぷりあるのは嬉しいのですが、調味が薄く歯ごたえも妙に固く、名前負けした料理です。
ワインはローヌのシラーとグルナッシュ主体。うーん、やはり全くもって謎な組み合わせです。値付けを含め、当店のワインに対する価値観は私とは異なるのかもしれません。
口直しに洋梨と紅茶のソルベ。これは美味しいですねえ、素材の味がしっかりと引き出されており、口直しと言わずにデザートに昇格してもやっていける味わいです。本日一番のお皿でした。
先のソルベにキンキンに冷やしたオー・ド・ヴィーを少したらすと味がグイっと変わります。こちらの演出も魅力的。
メインは十勝牛。意図してなのか粗野な味わいであり完璧を追求したバーベキューのような風味です。美味しいのですが私はもう少し繊細な調理を好みます。付け合せのポテトグラタンは正統的な美味しさ。
メインにはバチっと合わせて貰えて大満足。ちなみにこのペアリング、たっぷり入った4杯が4千数百円と大変お買い得です。
デザートは牛乳のソルベ。 素材そのものといった味わいであり素直に美味しい。ただし3ツ星レストランのデザートとしては少し物足りないなと考えていると、、、
どういうわけか特大の揚げパンが届きました。これが、旨い。摂取カロリーを考えると恐怖しか感じませんが、やはりカロリーが高い食べ物は美味しいのだ。
揚げパンにシェリーもよく合う。前半2杯のペアリングについては首を傾げてしまいましたが、後半戦のワインのチョイスはすごく好き。
お会計はひとりあたり2万円強。なるほど納得がいかない場面も多かったですが、これだけ飲み食いして2万円というのは中々にリーズナブルです。もちろん味わいなど人の好みに拠るものなので、当店の料理が好きな方であればミラクルにハイコスパなお店かもしれません。サービス陣の動きや皿出しのテンポは完璧であり、会食や家族な集まりなどには最適でしょう。ひらまつ系のレストランにニュアンスが近く感じました。


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レストラン・モリエール
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