日本料理 舞(まい)/恵比寿

恵比寿のウェスティンの2F階にある日本料理「舞(まい)」。いわゆる都市型ホテルに必ずひとつはある和食店であり、中華料理「龍天門(リュウテンモン)」のお隣です。
寿司に天ぷら、日本料理と和食であれば何でも出します形式であり、それに合わせて座席も寿司カウンターにテーブル席、個室とバリエーションに富んでいます。テーブル席からはお庭がチラりとうかがえます。
ドリンク付きのコースでお願いしていたのですが、スパークリングワインが酒屋で1本千円かそこらのものであり、ウェスティン様でお出しするワインとしてはいかがなものか。今後、当館でワインを愉しむのはちょっとアレだなあと判断した瞬間です。

「ねえねえ、夫婦別姓についてどう思う?」うーん、どうも思わないねえ。ふたりで話し合って好きに決めたらいいんじゃない?どちらかの姓にまとまったほうが幸せならそうすれば良いし、そうでないなら事実婚なり内縁のままでいるなりすればいい。
まずは前菜。ランチのセットメニューにしては結構いろいろ出てきます。いずれの料理もきちんと美味しく、予約が取れない系の日本料理店の八寸に比肩するクオリティです。

「そういう意見ってさ、苗字が変わらない男性サイドの意見とは思わないの?」うーん、別に僕は自分の苗字にこだわりなんて無いけどね。明日からタケマシュラン・ディカプリオになったり、タケマシュラン・ゼタ=ジョーンズなったりしても、僕は僕だよ。苗字なんて、僕の本質に何も関係が無い。

「ふうん。まあ、合格ね」合格?なんだよそれ。意味がわからず問い質そうとする前に彼女は私を制して言う。「あたし、夫婦別姓を訴えている女とか、ほんとムカつくんだよね」
メインに天ぷらか豚肉かキンメダイかを選べたので私は天ぷらをチョイス。海老が2本にアスパラ、オクラ、レンコン、ミョウガ、枝豆とトウモロコシのかき揚げと、これまたランチセットの天ぷらとしては豪華な仕上がりです。

夫婦別姓を訴えている女がムカつく?穏やかじゃないねえ。それって世論の流れと真逆に向かってる危険思想なんじゃないの?フェミとかポリコレとかヤバイんじゃないの?「違う違う。夫婦別姓はね、マウンティングの一種なのよ」
お食事が面白くって、白米か素麺か野菜寿司かの3種から選択できます。珍しいので野菜寿司をチョイス。なるほど野菜をタネにした寿司であり、海外の和食店を訪れたかのような目新しさがありました。

マウンティング?「そう、あれは絶対にマウンティング。『私たちは結婚できる上に女性の権利まで主張できちゃうのよ』っていう自慢話」なるほど確かに彼女はいわゆる「結婚できない女」である。

「結婚した上でさらには自分らしく生きたいだ?ふざけんじゃないわよ図々しい。誰でも結婚できるって思わないでよ。苗字変わりたくても変われない腐女子も沢山いるんだからね。『結婚できないのは高望みしてるから』だ?『現実を見ろ』?何よ偉そうに。現実なんて、夢を諦めた人の専売特許でしょ?」
デザートはずんだ餅にスイカ。これまた珍しい組み合わせであり、当店の料理長は中々ひょうきんな方なのかもしれません。

まあまあ喧嘩は止めなよ。きみが結婚できないのは彼女たちのせいじゃないし、彼女たちが結婚できたのはきみのおかげでもないよ。多分そいつら、今ごろパフェとか食ってるよ。婚姻関係の有無に関係なく、きみはきみで魅力的なところもあるんだから、弱みを嘆くより強みを示そうよ。人生は短いよ。

お会計は6千円。ホテルのランチとしてはこんなものでしょう。個室を始めとする空間づくりに注力しており、会食や親族のイベントなどに使えるお店。グルメ仲間でワイワイやったり恋人とガチデートとは少し違う(本気で飲み食いしたいなら1階の「ザ・テラス (THE TERRACE)」がオススメ)。「シティホテルの和食店」という存在意義をキッチリと抑えたお店です。

正義を主張しているつもりでも、思わぬところで人をイラつかせていることもあるんだな、と、勉強になったランチでした。

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