nerisa(ネリザ)/西小山

学芸大学「リ・カーリカ」などを展開するタバッキ社で腕を振るった田中隆照シェフが西小山で2021年末に独立開業。西小山ってどこやねんな立地ですが地元客を中心に評判は上々で、さっそく食べログでは百名店に選出されています。
お店の構造はラーメン屋に似ていて、厨房に面したカウンター席が7-8席に奥にテーブル席が1卓。料理人ひとりサービスひとりといった陣容にちょうど良いサイズ感です。

田中隆照シェフは自由が丘「バッボアンジェロ」で経験を積んだのち渡伊。トリノで腕を磨き帰国の際にタバッキ社の立ち上げにジョインしたようです。店名は「田中」をイタリア語でもじったものだそうです。
グラスワインは千円台~ですがボトルワインが充実しており、ゲストがセラーから自ら選び取ることができます。ボトルワインは7-8千円が最多価格帯のように見えました。
お口取りはポレンタ(トウモロコシ粉のアレ)に干しダラのペースト。ほんわりと温かく、程よい塩気が食欲を掻き立てます。なお、料理はおまかせで7,500円~なのですが、我々はアラカルトでお願いしました。
初ガツオのタルタル。カツオとは存在感つよつよな味覚であることが多いですが、こちらは調味で上手くその主張をマスキングしており、たっぷりの薬味(?)も混ぜ込んで一体的な味わいへと昇華させています。なんともセンスの良い味わい。
マダコのローストとチュッピン。チュッピンとはリグーリア州の魚介スープであり、濃密な磯の風味に浸ることができます。タコの脚も肉厚でグニグニとした食感が楽しい。スープというよりも頑強なタコと濃厚な魚介ソースを愉しむ逸品です。
和牛モツのアラビアータ。和牛の脂が円やかで少しもクドくありません。また、アラビアータ部分もトマトの酸味は穏やかで程よくスパイシー。料理名からは割にどぎついものを想像していたのですが、思いのほか優しい味覚です。
入間地豚ロースのロースト。シェフは埼玉出身だそうで、その埼玉愛は留まることを知らず、埼玉の食材を多用しているそうです。厚切りでザックリとしたストレートな料理であり、ヒトのDNAに訴えかける率直な味わいでした。
〆に炭水化物でも取ろうとスパゲッティ・ミートソース。トマト味を主軸に置いたものを想像していたのですが、思いのほか肉々しいソースであり、四捨五入すると肉料理かもしれません。赤ワインと合わせて食べるよろし。
もう少し食べれそうだということでパプリカのリゾットも注文。パプリカのエキスで炊いているのか真っ赤っ赤でありその風味も潤沢です。パセリの濃密な緑の味わいとアンチョビの塩気も交互に押し寄せ、ある意味では雑炊風でもあり、日本人なら必ず好きな味覚でしょう。

また、このようにアラカルトでの注文で追加注文も全然アリなので、順番を自由自在に組み立てることができるのが良いですね。イタリアンの序盤にいきなりパスタ食べるスタイルはいつまでたっても慣れないのだ。
以上の料理を2人でシェアし、ひとり1本ペースで飲んでお会計はひとりあたり1.5万円といったところ。料理の質が素晴らしく、また自由度も高いのが良いですね。都心の予約困難で一斉スタート2回転のような働き方に一石を投じる商売であり、ご近所さんの日常に溶け込むスタイルです。遅い時間にはバーとしての利用としてもOKだそうで、「caillou(カイユ)」と同じく10年後も20年後も地域住民に愛され続けること間違いなし。オススメです。

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