焼き鳥 陀らく(だらく)/渋谷

渋谷は道玄坂、マークシティ脇の猥雑なエリアにある「焼き鳥 陀らく(だらく)」。同じ焼鳥屋だと「森本」とかあのへんです。食べログでは百名店に選出。「2名様のみ予約可能です。1名様、3名様以上はご予約頂けません」という不思議なルールのあるお店です。
のれんをくぐった引き戸に手を掛けるとガチャンとしたロックの食感。据え付けられたインターフォンで予約名を告げると「おふたり様お揃いですか?」という硬い声。もちろん我々は揃っていたのでそのまま案内されましたが、他の組のうち1人だけ先に到着した方がいて、「お揃いになるまでは~」と外で待たせていました。恐らく雨でも雪でもこの運用であり、お店全体が七対子の呪縛にでも囚われているのかもしれません。
ビールは千円を切り、日本酒は1合が1,350円、ボトルのワインは8千円前後が多く見られました。店主がかなり熱っぽくワインについて説明してくれたので、当店ではワインを注文するのが吉とみた。
アミューズにカブとエンドウ豆のスープだったけな。やや雑味やエグ味が感じられ、私の口には合いませんでした。
さっそく焼鳥に入ります。まずは胸肉。なのですが、底に敷かれたたっぷりのお野菜に目が惹かれます。ベジファーストで大変うれしい。ちなみに当店はお任せコースのみであり、それで足りなければ追加の串を注文というシステムです。
手羽元には青リンゴソースが。焼鳥というよりも、欧米系の完成されたひとつの料理のようなニュアンスを感じました。
ヒザのお肉にはマンゴーのソース。ただ甘いというわけではなく、どこかスパイシーな味覚も感じられ、面白い一本です。
モモ。なのですが、ドーンと置かれたタケノコに芽キャベツやパールオニオン、スターフルーツなどの脇役陣に目を奪われます。これは映えますねえ。とりわけタケノコの風味が良く、どこか上質なトウモロコシの甘味すら感じさせる逸品です。
超特大のナメコは小鉢にて頂きます。ムッチリとした食感が心地よく、思いきりの良い調味で酒が進みます。
レバー。ここのところ限りなく透明に近いレッドの状態で出すお店が流行っていますが、当店は割にしっかりと火が通っており、ザリっとしたレバー特有の風味を堪能することができます。
ハツ。レバーから一転、実に綺麗な味わいであり、これが心臓かと目を剥く美味しさです。
ソリ。言わずと知れた高級部位であり、ラスイチはズバっとシンプルに塩焼きです。フランス料理店ではややこしいソースで食べることが多いのですが、なるほど鶏肉そのものの率直な美味しさ伝わる一本でした。
〆のお食事はそぼろご飯。ほどよくトリュフの香りが練り込まれており、卵黄(?)の濃厚な味覚に良く合います。他方、スープは濃厚というよりもエレガントな味わいであり、こういうスープを家庭に常備したい。
イチゴとお茶でお口を整えてごちそうさまでした。以上を食べ、ビール1杯にワインをふたりで1本飲んでお会計はひとりあたり1.6万円。思ってたよりも高くついたので、税サは別な料金体系なのかもしれません。

印象としては焼鳥屋というよりもまた別のジャンルの料理であり、武蔵小山「シノリ(Shinori )」に似たベクトルを感じました。「今夜は焼鳥だ!」というテンションではなく、焼鳥を軸にしてピボットした創作料理を楽しみに行くつもりでどうぞ。

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素人にとっては単に串が刺さった鶏肉程度にしか思えない料理「焼鳥」につき、その専門的技術を体系的に記しています。各名店のノウハウについても記されており、なるほどお店側はこんなことを考えているのかという気づきにもなります。