2025年4月にオープンしたハンバーガー専門店「TEDDY BROWN(テディブラウン)」。人気焼肉「ビーフキッチン」のムッシュ大矢貴博氏が長年培ってきた黒毛和牛への深い知見をハンバーガーというフォーマットに注ぎ込んだ結論として耳目を集めました。場所は広尾の商店街をチョロっと脇に入った静かなところです。
白い外壁と大きな窓が特長で明るく開放的な雰囲気。内装は華美な装飾を排しており、石のような質感の床と、温かみのある木製家具を組み合わせたシンプルでモダンなデザイン。先に注文して席で待ち、料理ができあがれば配膳してもらえる仕組みです。
ハンバーガーが焼きあがるまでコールスローで繋ぎます。キャベツとキュウリをマヨネーズ、マスタード、ディルや各種スパイスで和えています。クミンのエキゾチックな香りがふわりと広がり、カレーを思わせるようなスパイシーな風味が鼻を抜けていく。キャベツはシャキシャキとした心地よい食感を残しつつも、全体としてはクリーミーでまろやかな口当たり。コールスロー界隈ではかなりの上位と言えるでしょう。
チキンバイツ。いわゆるチキンナゲットであり、大山どりのむね肉、もも肉、皮、ヒザナンコツの4つの部位を使用しているそうです。ややもすると焼鳥屋の「つくね」を揚げたようなニュアンスが感じられ、期待の斜め上を行くクオリティ。記憶に残るサイドメニューです。
お店のシグネチャーのひとつである「Teddy Burger(テディバーガー)」。黒毛和牛180gのパティに卵サラダ、グリルトマトにオーロラソースがたっぷり。バンズにはブランド小麦の「ゆめちから」を使用しているそうで、ふんわりと軽く歯ざわりはモチモチ。やや甘めに仕立てており、そのためか香り高い茶色に焼きあがっています。
パティにつき、鹿児島産の黒毛和牛を用いており、毎朝自分たちの手でさばいて挽いているそう。赤身と脂身を程よいバランスで配合し、肉のゴロゴロとした塊感を意図的に残すことで、野性味あふれるワイルドな食感を生み出しています。また、チキンバイツ同様に時折ナンコツのコリコリとした歯触りを感じることができ、一般的なハンバーガーパティでは決して得られない複雑性をもたらしています。
備え付けのフレンチフライも手が込んでおり、「メークイン」と「男爵いも」の2種類のを起用しています。スチームしたりローストしたり米油で揚げたりと凝っている。味付けはアルプスの岩塩とシンプルですが、オマケの自家製ケチャップも滅法旨い。ハンバーガー業界ではトップクラスに位置付けられるフレンチフライと言えるでしょう。
以上の料理が3千円。ハンバーガーとして捉えれば一見高く感じますが、これだけの品質の肉料理を楽しんでこの支払金額はお値打ち。マクドナルドでもお腹いっぱい食べれば1,500円近くを要することを考えれば悪くないディールです。
パティやバンズ、フレンチフライなど、骨格となる構成要素のレベルが非常に高いので、まずはプレーンなハンバーガーから始めてみると良いかもしれません。私は次回はサンドイッチを試してみようっと。

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広尾は初デートに良い街です。謎にハイセンスな雰囲気と下町的な親しみやすさが同居する。飲食店も都内トップクラスの名店が比較的リーズナブルな価格設定に落ち着いています。
- TAIAN TOKYO(タイアン トウキョウ) ←この迫力はやはりフランス料理でないと到達できない。
- ア・ニュ Shohei Shimono ←フレンチをベースとした旨いもの屋。
- Alternative (オルタナティヴ) ←おもろくておいしい料理。
- レストラン アラジン ←記憶がハッキリと残る料理。
- レストランひらまつ ←何度も何度も訪れているのに美味しい。
- マルゴット エ バッチャーレ(Margotto e Baciare) ←あれだけのトリュフ料理とキャビアを食べてこの価格というのはリーズナブル。
- おでこ(au deco) ←フランス料理を食べ込んだ仲間たちでどうぞ。
- コントワール ミサゴ(Comptoir Missago) ←とにかく融通のきく旨いもの屋。
- ヨシダ ハウス(YOSHIDA HOUSE) ←日常に寄り添う究極の普通。
- ポンテ デル ピアット (PONTE DEL PIATTO) ←抜群に旨くてそんなに高くない。
- リストランテ ペガソ(PEGASO) ←接待や綺麗なデートにうってつけ。
- ラ トラットリアッチャ(La Trattoriaccia) ←令和のビスボッチャ。