日赤通り沿い、
イル・テアトリーノ・ダ・サローネのすぐ近くのビル2Fにあるフランス料理店「コントワール ミサゴ（Comptoir Missago）」。シェフは料理人としてのキャリアを鮨屋からスタートさせ、カリフォルニア料理を経てフレンチに辿り着いたという変わり種。
屋号にある「コントワール（Comptoir）」とは、フランス語で「カウンター」の意。鮨屋よろしくカウンター越しにゲストと会話を重ねながら料理を提供するというスタイルです。我々はお誕生日会での利用だったので、半個室のテーブル席を利用させて頂きました。
まずは泡で乾杯。ワインの値付けは酒屋の2～3倍といったところ。スッキリとした飲み口ながらピノらしい深みもあり美味しいクレマンでした。
名刺代わりに鮨が出てきました。フランス料理屋で鮨を食べるのは人生で初めてです。あっさりとしたマグロに刻んだハーブ（？）にドレッシング。なるほど見た目は鮨ですが、味覚はフランス料理風と、センスの感じる一品でした。
今回はアラカルトでの注文でしたが、お通しもきちんと出てきます。こちらはバーニャカウダ。新鮮な野菜をニンニクのきいたソースと共にポリポリ。食欲が湧く良い演出です。
シャラン鴨の燻製サラダ。サラダとは言え結構な量の鴨が入っており、食べ応えのある1皿です。クリアな野菜に仄かに苦味が感じられる野菜など味覚が多用であり、肉としての味わいもグッド。ワインが進むサラダです。
パンはバゲットにフォカッチャ、グジェール（チーズ入りのシュー生地）。恐らくは手作りでしょう、この規模のお店でこの手間のかけ方は見事ですね。特にグジェールの旨味と塩気が心地よく、食事への愛が感じられるものでした。
穴子とフォアグラのソテー。ホクホクとした食感のアナゴとヌラっとしたフォアグラの味わいの対比が絶妙。シェリーソースには奥行きがあり、下に敷かれたリゾットもムチムチと食べ応えがあります。
気軽な食事会なのでリーズナブルなワインを。これだけ料理がしっかりしたレストランでボトルワインが4,000円台からあるのは実に助かります。
イカと山椒ジェノベーゼスパゲッティ。フランス料理において、付け合わせではなく完成した一皿としてパスタを食べるのは珍しい。これが絶品。ノーマルなイカの食べ応えとホタルイカのビターな味わいに厚みがあり、山椒のアクセントも快活。様々な味覚が折り重なり実にカラフルな味わい。本日一番のお皿でした。
和牛とフォアグラのハンバーグ。これは見た目通りの単刀直入の味わいであり、どうやったって美味しい料理です。味の濃い和牛にフォアグラの脂質が入り込み満腹中枢を刺激する。コロッケに濃厚なタレを絡めて食べればそれだけで立派なごちそうです。
こちらはグルナッシュ。ボリューム感があり程よくスパイシー。4,000円とは思えないほど厚みのあるワインでした。
フィナーレは和牛のフレンチ風すき焼き。これはもう事件性すら感じられる旨さですね。ジュクジュクとジューシーな和牛に濃厚なソースと卵。トリュフの薫り。まさに享楽。相当に味が濃いのでワインがゴクゴクに進みます。
〆のゴハンまで出てきました。鮨やパスタもそうですが、当店はフレンチという枠に囚われず純粋に旨いメシを追及してきます。ある意味では
エクアトゥール的な芸風であり、実に信頼のおける腕前です。ほんと何食べても旨い。
結構食べて、そこそこ飲んで、お会計はひとりあたり1.2万円ほど。これは見事な費用対効果。やっぱりアラカルトで好きな料理を好きなだけ食べるという仕組みが堪りませんね。季節ごとに訪れて全メニュー制覇したい欲望に駆られる。人数の増減により量の調整も自由自在なのが嬉しい。とにかく融通のきく旨いもの屋。気の置けない仲間とガツガツ食べに行きましょう。
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「好きな料理のジャンルは？」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
日本フレンチ界の巨匠、井上シェフの哲学書。日本でのフレンチの歴史やフランスでの修行の大変さなど興味深いエピソードがたくさん。登場する料理に係る表現も秀逸。ヨダレが出てきます。フランス料理を愛する方、必読の書。
