典型的な日本の地方都市の夜の顔、桜木町に店を構える「喃楽(なんらく)」。ミシュランガイドにも掲載されたことがあるタイ料理専門店であり、食べログでは百名店に選出されています。1日1組限定でトゥクトゥク送迎サービスがあるのが面白く、その時点で店主のタイ愛が感じられます。
カウンター4席にテーブルが2卓とこじんまりとした店内。タイを感じさせるオリエンタルな内装に加え、点在するタイの小物がかわちいです。オーナーの中川幸夫シェフはタイに100回以上訪れ、現地の野菜、香辛料、調理器具を使用し、本場の味を忠実に再現しているそうです。
タイの飲み物が色々と用意されており、ビールは小瓶でいずれも770円。シンハは瓶のまま飲むスタイル。雰囲気はあるのですが、個人的にはグラスに注いで飲む方が好き。天使のエビのカルパッチョ。香辛料とナンプラーを用いており、辛味と酸味が海老の甘味を引き出します。素敵なアミューズだ。
蒸し鶏。カオマンガイの肉の部分です。しっとり柔らかでジューシーな食感が特長的で、下味も強く、シンプルながら奥深い味わい。
空芯菜炒め。シャキシャキの空芯菜をニンニク、唐辛子、ナンプラーで炒めたタイの定番料理。濃いめの塩味とピリッとした辛さが食欲をそそり、ビールとの相性も抜群です。トムヤムクン。濃厚な海老の出汁に様々なハーブやスパイスが溶け込み、多彩な味覚が重なり合います。エビがレア加減で調理されており、エビの甘味をたっぷりと楽しむことができるのも心憎い演出。
ナマズの唐揚げ スイートチリソース。淡白で柔らかなナマズをカリッと揚げた上で、タイ風に味付けします。スイートチリソースは、甘みと酸味、程よい辛さがナマズの淡白な味わいに良く合う。
プーパッポンカリー。カニをカレー粉と卵で炒めとじた、タイの人気料理です。カニの濃厚な旨みに、カレー粉のスパイシーな風味が重なり、また、たっぷりのふわふわな卵がその刺激を優しく包み込みます。白ゴハンが欲しくなる。
タイの焼き鳥、ガイヤーン。タレに漬け込んだ上でシットリと焼き上げており、コチラも白ゴハンが欲しくなる味覚です。タマリンドを用いているのか、仄かな酸味がオシャレです。
クンオップウンセン。冒頭の天使ダシの出汁を活かした春雨の蒸し物です。エビの濃厚な旨味を春雨が余すことなく吸収し、炭水化物ながらビンビンに酒が進みます。
〆にグリーンカレー。ココナッツミルクのまろやかなコクと甘みの中に、青唐辛子の爽やかな辛さが際立ちます。野菜もたっぷりで、それらの甘味やハーブの香りが味覚に奥行きを与える。香り高いタイ米に良く合う。
以上のコース料理が5,500円で、ビールを3本飲んでお会計は8千円弱。丁寧な調理で仕事も早く、心地よい食後感。同じタイラヴァーながらダークサイドに向かった「みもっと」とはダンチの満足度です。次回はオリジナル料理である「グリーンカレーしゃぶしゃぶ」を試してみたい。トゥクトゥクに迎えに来てもらうんだ。

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富山は食の宝庫。天然の生け簀である富山湾にジビエや山菜が豊富な山々、そして米と水。レストランのレベルは非常に高く、支払金額は東京の3割引~半額の印象です。だいぶ調子に乗ってきた金沢が嫌な方は是非とも富山に。
- 鮨 大門 ←銀座の半額で味と居心地の良さはそれ以上。
- 海老亭別館(えびていべっかん) ←多皿なのにモブキャラがひとつもない。
- ふじ居(ふじい) ←非の打ち所がない日本料理店。
- 美乃鮨(みのずし) ←最も幸せパワーが発揮される価格帯。
- 吟魚のはなれ 吟チロリ(ぎんちろり) ←海鮮居酒屋の最高峰。
- ピアット スズキ チンクエ(Piatto Suzuki Cinque) ←青は藍より出でて藍より青し。
- ランソレイエ(Lensoleiller) ←フランスの田舎のレストランをそのまま持ってきたような感性。
- カーヴ ユノキ(Cave Yunoki) ←料理のほとんどを富山の食材で勝負しているのが素晴らしい。
- 日本料理 山崎 ←ミシュラン3ツ星和食がこの価格で楽しめるのは富山の奇跡。
- 天ぷら小泉 たかの ←富山駅から近く昼も夜も空いているのが旅行者にとっても便利。
- KAWAZ(カワズ) ←「レヴォ(L'evo)」でスーシェフだったムッシュ川崎淳が富山市内で開業。
- レヴォ(L'evo) ←クマがぶらさがっている。
- パティスリー ジラフ(PATISSERIE LA GIRAFE) ←サロショを席巻する予感。
待機児童ゼロ、結婚した女性の離職率の低さ、貧困の少なさ、公教育の水準の高さなど、日本型の「北欧社会」が富山県にはあると分析する1冊。10年間にわたって富山県でのフィールドワークを続けてきた財政学者の視点が興味深い。