ラ トラットリアッチャ(La Trattoriaccia)/広尾

広尾駅から徒歩数分。イタリアはトスカーナ州の内陸部シエナ、フィレンツェ料理のお店。ミシュラン東京2020においてはビブグルマン(安旨店)として掲載されています。河合鉄兵シェフはイタリアで16年という、修業というよりも人生そのものと言うべき長い時間を過ごしています。
店内は個室、テーブル、カウンターと様々な用途で利用できそう。おひとり様もOKであり、夜はアラカルト主体なのでちょっと良い独りメシにも良いかもしれません。イタリアで購入した調度品や料理本が至る所に並べられており楽しい気分になります。
グラスのスパークリングワインで乾杯。当店は酒類が安くボトルワインは3千円台~、グラスワインも700円~と、気軽にガブガブいける系です。店名はシエナの方言で「トラットリア(食堂)」のこと。あくまでトスカーナ地方の郷土料理店であり、魚料理はなく肉料理ばかりです。
豪華な前菜盛り合わせに嬌声があがる。完全に女子キラーなビジュアルです。ここ数年における前菜盛り合わせにおいって、もっとも迫力のある1皿でしょう。チーズやシャルキュトリ、野菜やキノコなどがたっぷり。個人的にはまったりとした舌触りの鶏レバーと、ソプレッサータ(豚の耳やタンなど頭部の色々な肉で作るパテ)がお気に入り。ううむ、これ1皿でワイン1本いけちゃいます。
パンは塩味が無くて味気ないなと思ったのですが、そもそもあえて塩を除いて味付けの濃い料理と共に頬張るための、トスカーナ流の仕立てとのこと。世の中知らないことがたくさんあるなあ。
リボリータ。「リ」は再び、「ボリータ」は煮込むという意味であり、残り物の野菜をや硬くなったパンを再利用したトスカーナ地方の家庭料理です。豆のホクホクとした食感に黒キャベツ(?)の甘味が優しい味覚を表現します。量もしっかり。
フィレンツェ風ジャガイモのニョッキ「トピーニ」。ジャガイモの濃度が高く、一般的なニョッキよりもサラサラとした食感で、舌の上で溶けていくかのようです。ソースもフィレンツェ風のラグー。肉肉しさとハーブの爽快感が同居する。
メインは「ペポーゾ」。牛のスネ肉と香味野菜ならびに黒胡椒を赤ワインで煮込むトスカーナの郷土料理。凝縮感のある肉の味わいに黒胡椒の粒をガリっと噛んだ際の爽快感。付け合わせの白インゲン豆のホッコリした味わいが優しい。
ワインがいくらか残っていたので、チーズ風味のクッキー的なものをお出し頂けました。こういう発想は酒飲みのやることであり、ここの従業員とは仲良くやれそうである。
デザートはティラミスを中心にマニアックな郷土菓子。小麦粉を使わずに卵白と砂糖だけで仕上げた焼き菓子が面白い。グルテンフリーこうなってくると楽しいのにな。
王道のエスプレッソで〆てご馳走様でした。お会計はひとりあたり1万円。しっかり食べて、そこそこ飲んでこの支払金額には満足感しかありません。すべてが期待以上であり、ご近所の「ラ・ビスボッチャ(LA BISBOCCIA)」の半額で済むことを考えると、広尾の奇跡と呼べるでしょう。コロナ的フォースマジュールがあるにも関わらずしっかりと満席であることにも納得。オススメです。


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