ヨシダ ハウス(YOSHIDA HOUSE)/広尾

恵比寿と広尾駅の中間、明治通り沿いの真っ黒な建物。ミスター吉田の「友人が家に来てくれるようなフレンドリーな店にしたかった」という思いを込めたビストロ「ヨシダ ハウス(YOSHIDA HOUSE)」。このあたりは「ボッテガ(BOTTEGA)」「メログラーノ」などカジュアルなイタリアンは多いのですがビストロは珍しい。
吉田佑真シェフは初台の名店「レストランキノシタ」出身。オールドスクールなフランス料理の世界で生きてきた漢です。まさに家といった雰囲気の内装であり、良い時間帯は予約で何回転もし、遅くなってくるとウォークインの常連が出たり入ったりするという繁盛店。営業は深夜3時までと使い勝手抜群。
酒が安い。フランスのスパークリングワインが4,500円と、この手の店としては絶対額が低めに設定されています。連れが「何でも良いですよ」と言うので、お言葉に甘えて一番安い泡を選んだのですが、途端に眉をひそめる彼女。何でも良いと言ったのはお前だろう。ちなみにドンペリ08が2万円台、クリュグが3.2万円と高いワインの値付けも良心的です。
根セロリのサラダ。ホールスタッフに「量が多い」と脅されていたのにちょこっとloveな量で拍子抜け。ひとり1口づつで終わりました。
セミドライトマトはセミドライなのに新鮮さが感じられる味わい。つまり美味しいのである。
白子のムニエル焦がしバターソース。おおー、見るからに旨そうな正統派ビストロ料理であり、実際に食べても美味しいです。白子の表面に思いきり焼き色をつけてザクっとした食感とトロっとした食感の2種を楽しめるのが楽しい。
バゲットは普通中の普通。まあ、フランスのビストロもある程度投げやりな部分もあるので、ある意味では本格的なのかもしれません。
ブイヤベース。ごった煮というよりは具材が整然と並べられている良識のあるスープです。素材によって加熱時間を変えているのかなあ、特定の食材がカタくなったりはせず、それぞれが火入れの頂点を迎えており実に上品なブイヤベースでした。
残ったスープでリゾットを作って頂きました。これは麦?普通の米ではなく弾力と食感が特徴的であり、スープの濃い口に負けない迫力が感じられます。
ミスジのロースト。素材そのものといった肉の味わい。トリュフの使い方が良く、ちょうど良いバランスで風味が香ってきます。付け合わせの野菜たちもグッド。
少しワインが残っていたのでツマミにパテドカンパーニュ。粗目に挽いた肉にレバーなどがザクザクと込み入っており、なめろうのような食感でどこの田舎のパテカンやねんとツッコミ待ちな味わい。脂のじっとりとした口当たりも見事であり、このサイズで980円というのはお買い得でしょう。
ガッツリ飲み食いしてひとりあたり1.1万円。女子が常識的な量を飲み食いすれば7~8千円に着地する計算であり、この界隈ではかなり費用対効果の良いフレンチと言えるでしょう。ここでしか食べることのできない超絶技巧の何か、といった芸風ではなく、日常に寄り添う究極の普通とも言うべきビストロです。わざわざ遠くから予約をして、というベクトルではなくご近所さんがフラっと旨いものを、といった印象のお店でした。


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