Blanc d'or(ブランドール)/白金高輪

白金高輪駅からすぐのビストロ「Blanc d'or(ブランドール)」。「銀座山科」や「中勢以 茗荷谷」など肉料理を手掛けるグループが白金の地にてフランス料理に進出し話題となりました。
店内は全てがテーブル席で、トータルで20席強といったところでしょう。ワインのフリーフローを推している店なので客層は若めを覚悟していたのですが、この日は思いのほかシニア層が中心で、落ち着いた雰囲気でした。
論点となるフリーフローなのですが、一般的にイメージする「飲み放題」ではなく、お料理に合わせてワインが出て来、たまに注ぎ足しがあるといった程度です。うーん、これは果たしてフリーフローと呼称して良いのだろうか。もちろん言えばいくらでも持って来てくれるのかもしれませんが、多少の誤認を誘っている気がしました。
前菜4種盛り合わせは良いですね。菊芋(?)の冷製スープにホタテと根セロリ、パテカン、ちょっとしたスナックと、序盤のサケのアテに最適です。
秋刀魚のマリネ。程よく脂が乗って美味。アンチョビやケッパーの風味とも良く合う。焼き茄子のピューレも季節を感じさせる味覚です。
メンチカツ。万人受けする美味しさで悪くないのですが、サイズがピンポン玉ほどのであり目指している方向性がわかりませんでした。ほんのシャレ程度であれば前菜盛り合わせの一部で充分な気がします。
キンメダイのポワレなのですが、よくこんなに細く切ったなと感心するほどです。あまりにフィンガーサイズで食べ応えがなく、味の良し悪しを語る以前の問題な気がしました。
あれ?もうメイン?黒毛和牛のローストであり、悪くはないのですがまあ肉だよねという印象です。一方で、付け合わせのクオリティは非常に高く、きっと料理人の腕は悪くないのでしょう。先のキンメダイやこの皿の黒毛和牛など耳障りの良い食材を少量で導入するよう会社に求められているような感じがし、気の毒に思えました。
食事の量が少ないのを見越してか、ごはんものも用意されていました。仔牛の煮込みとバターライスであり、もちろん美味しいのですが、炭水化物でお茶を濁された感は否めません。
デザートはあんぽ柿を用いたひと品。柿の風味が凝縮的、かつ、ショコラの風味も荘厳で美味しかった。本日一番のお皿です。
食後のお茶でフィニッシュ。ごちそうさまでした。以上の食事にペアリングのワインが付いてひとりあたり1.5万円ほど。ワインの量および質を考えるとペアリングが5千円かそこらというのは大変お値打ち。他方、食事が9千円というのは割高で、結局のところ行って来いで、まあこんなもんかというお気持ちです。アルコールが飲めない方は厳しい闘いを強いられるかもしれません。
また自分たちの店の売り文句を「圧倒的コスパ」「フリーフロー」「飲み放題」とするのはどうなんだろう。飲み放題にはある種の客層を引き寄せるパワーがあるので、いま一度どのようなお客様で座席を埋めたいのかの議論は必要に感じました。

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