ル ジャルダン グルマン( LE JARDIN GOURMAND)/古江(広島)

広島市から宮島方面への郊外にある「ル ジャルダン グルマン( LE JARDIN GOURMAND)」。ミシュラン1ツ星。丘陵地の閑静な住宅街にありますが、古江駅からは歩いて5分ほど。駐車場もあり車でのアクセスも可能ですが、細い路地なので離合に注意しましょう。ちなみに「離合」とは西日本を中心に使用される方言で、「細い道で車がすれ違う」という意味だそうです。広島でよく見かけます。
店名は「くいしんぼうの庭」という意味であり、大きな窓から望むお庭が超イケてます。鳥の巣箱や落花生のリースが配置されており、しょっちゅう鳥が集まって来て楽しい。人生の豊かさとはこういうことである。

小山賢一シェフは広島県出身。スイスやフランスで経験を積み、帰国後に当店を開業。何度かの移転を経て、現在の地に落ち着きました。JR西日本の寝台列車「TWILIGHT EXPRESS 瑞風」の料理も監修しているそうです。
まずは水イカ。イカスミを用いてグツグツと凝縮煮込みです。これは日本酒が欲しくなる旨さですねえ。クランブル(?)には豆板醬が含まれていて、ピリっとした隠し味が含まれているのが面白い。
自家菜園の野菜やハーブがふんだんに盛り込まれたサラダ。野菜そのものの味が濃く、ほろ苦さもきいて大人の味わいです。中央にはシイタケのローストにシイタケのクリームが込められており、底が深い味わいです。
パンは素朴なスタイルですが、穀物の風味が強く仄かな酸味が感じられ、フランスのオーセンティックな味覚を想起させます。
カマス。ぼってりと肉厚で、脂がのって実にジューシー。ソースもリッチなスタイルでカマスの迫力に負けていません。フィンガーライムの落ち着いた酸味も名脇役。
鳴門の海で活躍する漁師のレジェンド、ムッシュ村公一が獲ったヘダイ。身は厚いもののあっさりとした風味で口当たりが良いですね。皮の香りもすごくいい。スープにはシナモンの風味がきいていてお洒落な味わいです。
メインは「榊山牛(さかきやまぎゅう)」。水やエサに拘り長期肥育で生み出した広島の最高級ブランド和牛です。先日の「hiroto(ヒロト)」ではシンプルな調味でしたが、この日はしっかりとソースの風味を立たせており、より重層的な味わいです。付け合わせのナスもバリ旨い。
デザートは地元の果樹園のブドウを用いたパフェ。様々な種類のブドウが用いられており、その隙間を白ワインのジュレやアイスクリームで埋められており、見事なハーモニーを奏でています。ブドウって酒にしても旨いしそのまま食べても美味しいし最強のフルーツやな。
お庭を眺めながら食後のお茶で一服。ごちそうさまでした。

上記のコース料理は7,700円と神現場。こんなに有意義なお金の使い途はそうそうないでしょう。惜しむらくは車で来てしまったことであり、次回はかならず電車やタクシーで訪れ、しっかりとワインを合わせて楽しみたいところ。だとすればディナーかなあ、でも昼間の眺望も捨てがたい。ちょっとした海外旅行に来たかのような満足感のあるランチでした。

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