l'adour (ラドゥール)/池下(名古屋)

名古屋は池下駅または今池駅から共に徒歩10分ほどにあるフランス料理店「l'adour (ラドゥール)」。住宅街のマンションの1階にあるセンスの良いエクステリアが目印です。もともとは覚王山にあったのですが、2018年にコチラへと移転。ミシュランならびにゴエミヨに掲載されています。
厨房を取り囲むL字型カウンターが印象的。シェフの調理を間近で観戦することができ、カウンター割烹さながらの臨場感です。奥にはテーブル席もあったので、様々な用途に対応できるでしょう。

松村聡廣シェフは熊本県出身。名古屋「レストラン ルイ」でそのキャリアをスタートさせ、渡仏後はバスクやボルドー、ブルゴーニュ、ブルターニュで研鑽を重ね、帰国後は自由が丘「ラ・ビュット・ボワゼ」で腕を振るいました。
お酒は1杯千円前後から用意されており、気兼ねなく酔っぱらうことができます。ペアリングでもお願いすることができ、このクラスのフランス料理店としては良心的な価格設定でしょう。
まずはスープ。キノコを5種類も用いたコッテリ系の味わいであり、独特の土臭さが食欲をそそります。
アミューズも凝っていて、サラミから時計回りに鮎、ハモ、サバ、エビと色々食べれて楽しくなっちゃう。コース料理9,900円という価格設定からは考えられない手の込みようです。
カキ。下層はカキのババロアに、上層にはコンフィにしたものを敷き詰めバリバリに旨い。凝縮感に溢れたコンフィの旨味を楽しみつつ、ババロアで滑らかに受け止める。スパイスの使い方も面白く、本日一番のお皿です。
牛タンの赤ワイン煮。なのですが、予想に反してめっちゃ緑な外観。調理過程でこそ赤ワインを用いていますが、ソースとしてはハーブを多用しておりオシャレな味わいでOCです。
キンメダイのヴァプール。蒸気で加熱しふっくらとした仕上がりであり、素材そのものの味わいを上手に引き出しています。付け合わせのシイタケも肉厚で凄味があり、心に残ったお魚料理でした。
お肉料理はブルターニュ産ひな鳥の骨付きロースト。骨付きのモモ肉とムネ肉(だっけ?)の2層構造であり、圧の強い味わいと清らかな味わいをブレンドしながら楽しむことができます。ソースも独特でスパイスが立っており凛々しい味覚です。
デザートはセロリのアイス。おお、これは本当にセロリだ。独特の青臭さが鼻から抜けていき、濃密な清涼感に浸りつつごちそうさまでした。
コース料理が9,900円にワインをグラスでいくらか飲んでお会計は1.5万円弱。おおー、これは見事な費用対効果ですねえ。価格設定からは考えられないほど豊かな食材であり、フランス仕込みの技巧で正真正銘のフランス料理を堪能することができました。コース料理1万円未満の部においては日本屈指の実力店。オススメです。

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