草片(cusavilla)/西麻布

西麻布の人気イタリアン「erba da nakahigashi(エルバ・ダ・ナカヒガシ)」が業態を変更し「草片(cusavilla)」へ。これまでイタリアンレストランとしてはかなりの高額店でしたが、リニューアルに際し飲んで食べて1万数千円の客単価となりました。運営は「subLime」という会社なのですが、麻布台「Series(シリーズ)」西麻布「浮雲」など少量多皿で高くない系列店が急に増えた気がする。
カウンター10席弱に個室がひとつと丁度良いサイズ感。内装は隠れ家感がありつつもイヤラシクはなく、デートにピッタリの雰囲気です(写真は公式ウェブサイトより)。

中東俊文シェフは京都、いや日本で最も予約の取りづらい和食店のひとつ「草喰(そうじき)なかひがし」中東久雄シェフの次男坊であり、18歳でイタリアに渡り彼の地の名店で腕を磨いてきたサラブレッドです。
前述の通り、お食事にアルコールのペアリングをつけてお会計はひとりあたり1万円強です。立地を考えれば実にお買い得であり、ワインもしっかりしたものが多く気前よく注ぎ足しもしてくれるので酒飲みにとってはこの世の極楽と言えるでしょう。
まずはトマト。ちょうど暖かくなってきつつあったので、爽やか酸味が清涼感を誘います。
「ただのサラダ」といって、農園で生えている食べれそうな草(?)を採ってきたもの。無料のサラダです。皿が軽くカラカラとしており不安定で倒しそう。
コシアブラにグラナパダーノ(固いチーズ)を削りつけます。美味しいのですが、このあたり料理というよりも素材が続くなという印象。
お肉に軽く火を通し、ワラビと花山椒と共に。ようやく肉であり、久々の旨味にほっとする。貴重なタンパク源である。
タラの芽はフリットにして、やはりチーズを削ります。美味しいのですが似たような調理ならび味覚が続くので飽きてきました。
薄く切った生ハムにタコ焼き型で焼いたオムレツ(?)。中には伸びるチーズが組み込まれており、タコ焼きの熱でジュワっとハムの脂が溶け、口中で調和する味わいです。
タケノコに鹿肉のラグー。貴重なタンパク源。調味もどっしりとしており人心地がつきました。
アスパラに温玉、トリュフと定番の組み合わせ。美味しいのですがいつかどこかで食べた味であり驚きはありません。
スペシャリテの「ミネストローネ」は多種多様なお野菜に食材の端材から抽出したスープを注ぎます。素材の味わいを余すことなく食べつくす、当店のコンセプトというべき料理です。
焼きたてパンが美味。パンながら謎にジューシーであり、ジュワっとした口当たりが印象的。観賞用かと思っていた小さな花瓶の花びらを風味付けに乗せるのも面白い。
パスタには牛肉が入ります。貴重なタンパク源です。この肉が小麦の旨味と独活の風味をトミー・ジョン手術のように圧着し見事な調和を奏でます。本日1番のお皿でした。
メインは豚肉。ようやくまとまった形での貴重なタンパク源なのですが、まあ、よくある豚肉なので印象に残らず。さっきのパスタお代わりしたい。
デザートはタンポポを用いたティラミス。〆のハーブティと共にごちそうさまでした。
店名の通りひたすらに草料理が続き、いよいよ大草原なので好みは分かれるかもしれません。ここまで少量多皿にせず、「リニュ(Li.nu)」のようにバコーンとした特大サラダを用意したほうが記憶に残るかも。

しかしながら、価格を考えればかなりの企業努力が感じられ、くどいようですがアルコールのペアリングを含め大変リーズナブル。野菜中心の面白いツマミが出るワインバーのつもりで訪れると良いかもしれません。飲みに行こう。

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