創和堂(SOWADO)/恵比寿

明治通りから恵比寿橋にかけての渋谷川脇にオープンした「創和堂(そうわどう)」。渋谷の大人気居酒屋「酒井商会」の姉妹店です。コンクリート打ちっ放しの倉庫のような外観が印象的。看板が無いのでご注意を。
店内は思いのほか広く、40席はあるのではないでしょうか。白金「酒肆ガランス」のような、厨房をぐるりと取り囲むカウンター席が特徴的であり、また、渋谷川沿いのテーブル席も魅力的。そして何より店に入ってすぐ左のバーコーナーがカッコイイ。
酒はいずれも千円以下と悪くない価格設定です。日本酒など1合が千円前後という気前の良さ。他方、お料理については量はそれほど多くない割に1皿づつの値段は結構しっかりしているという印象。

ちなみに今夜は、いつかの飲み会にオッサンが一回り以上も年下のギャルを連れて来ており、どういう関係かと問うても「親友です」と意味不明な抗弁をしていたので、そのギャルに対しての説教です。
お通しは「おきゅうと」。エゴノリという海藻から作られる福岡の郷土料理であり、九州出身の対象の思い入れが滲み出る。

この前の飲み会、何で来たわけ?どういう関係なの?親友って説明を受けたけど。「親友なわけないじゃないですか」彼女はあっけらかんと笑う。「どういう関係でもないですよ。誘われて暇だったからついて行った、それだけです」
おばんざいのわっぱ盛り。なのですが、思ったよりも盛られておらず、これで1,800円というのはかなり高く感じました。先のおきゅうとを含めてお通し代1,000円という仕組みのほうが納得感が高いような気がする。

どういう関係でもないオッサンに誘われてついて行くっておかしくない?意図がわからないんだけど。「意図とか言われても、、、もちろん色んなお店に連れて行ってくれるし、素敵な人とも知り合えることができるのは嬉しいですね。あたしの知らない新しい世界への扉を開けてくれる、って感じですかね」
イワシのぬかみそ炊き。骨までクタクタに炊かれたイワシに塩辛のタレ的なソース(?)がたっぷりと絡まっており、いわゆるひとつの酒泥棒です。こういう料理は自宅では作れないので外食するに限る。

ちなみにワリカンだったらどうするわけ?「それは行かないです」即答。随分と安い「あたしの知らない新しい世界」である。
雲仙ハムカツ。厚いと言うべきか太いというべきか、断面のシャーベットピンクが見事に映えます。長崎が誇る名産品を軽やかに揚げきり、ビールが進みます。

そんなの互いに時間の無駄じゃない?そりゃあオッサン側のワンチャンあるかって動機は理解できるんだけど、女の子目線でのゴールはどこにあるの?自腹なら行きたくない食事会や飲み会なんかに行って得るものなんて何も無くない?「マックやスタバでもいいから会いたい」、そう思える相手じゃないと、会うだけ時間の無駄だと僕は思うんだけれど。
いかゲソと水ナスの南蛮漬け。いわゆるエスカベッシュ的な揚げて似たやつを期待していたのですが、おひたしのような1皿であり拍子抜け。量も少ない。

「ゴールとかそういうのはよくわかんないです。本当に深い意味なんて別にないですよ。20代前半の女の子なんてみんなそんなもんだと思うけど」そうなのか、そんなもんなのか。理解に苦しむ価値観だ。パパ活の一環だとか、愛人関係にあるとか言ってもらったほうが余程スッキリするんだけど。
鮎と新じゃがの山椒春巻き。和食店で鮎と言えば塩焼き一辺倒ですが、当店はジャガイモを合わせ春巻きにしてしまうというアイデア賞。鮎の苦味をジャガイモの甘味が受け止め乙な味。

「ただ、、、」彼女は気になることを言う。「女って、奢ってもらったり、プレゼントを貰ったりするのが本当に好きなんだと思います。男のひとに比べるとその欲望はたぶん強い。自分の存在意義、は言い過ぎかもしれないけれど、誰にどれぐらい貢いでもらったかっていうのはとても重要。ただ、ごちそうしてくれる男の人の評価に直結するってわけじゃなくて、自分自身の価値を再確認できるっていう自己満足ってカンジかなあ?説明が難しいなあ」
つくねは美味しいのですが、これ1本で800円は高く感じました。前夜に白金「やきとり陽火(はるか)」でつくねラッシュアワーを体験してきたばかりなので、余計にそう感じてしまったのかもしれません。
いか焼売。イカがたっぷり詰まっており美味しいのですが、やはり4粒で千円かあと色々と考えてしまいました。

なるほどこれらの行動は理屈ではなく多分に直感的なもののような気がしてきました。太古、ヒトが狩猟民族であった頃、男子は狩りに出かけ女子は家で獲物を待つしかなかった。その時の行動原理や価値観が遺伝子に刻み込まれているのかもしれません。
〆はトウモロコシと新ショウガの土鍋ごはんなのですが、やはりコチラも2,500円と割高に感じます。下の写真のお新香とのセット価格と考えるしかないのかなあ。

「そうそう、だから『飲み会で3千円徴収されたムキー!』みたいな話がいつまでたっても無くならないんだと思います。3千円くらい払えるけど3千円以上に何かを失っているような気がするの。そういう意味で、男性側は常に全オゴリというスタンスのほうが、長い目で見ると意外と良いのかもしれませんよ」よーし今夜はおごっちゃうぞ。
あまり飲み食いしない女の子とお邪魔したためひとりあたり7千円ほどで済みましたが、成人男性がまともに飲み食いすれば余裕でひとり1万円を超えることでしょう。となると比較対象が居酒屋というよりも割烹に近づいていき、例えば「島之内 一陽(しまのうち いちよう)」の費用対効果に思いを馳せざるにはいられない。

酒は高くなく空間はカッコイイので、しっかりとした食事というよりもギャルとオシャレに飲みたい時に使えるお店なのかもしれません。

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