sio(シオ)/代々木上原


代々木上原「sio(シオ)」の鳥羽周作シェフがこの本の中で「料理以外にお金をかけているぶん、コースの原価率は低めに設定しています」「料理自体の原価率は低い」と述べており、私の中の「絶対に行きたくない店リスト」に入れていたのですが、セカンドラインの定食屋「o/sio(オシオ)」が思いのほか良かったので、やはり総本山にもお邪魔することに。
数週間前からランチの予約を入れていたのですが、コロナの影響で軒先でバリバリに弁当が売られており拍子抜け。ランチでひとりあたり1.3万円もする店とは思えないほど雑然とした雰囲気です。加えてテレビのロケか何かで巨大なカメラを携えた撮影班まで入っており、そういうのやるんだったら予約を入れている客には事前に断り入れろよなあ。
ワインリストは無く「お客様のお好みを伺いながら決めていきたいと思います」というスタイル。うーん、自分の好みのワインとこのお店の料理が合うかどうかは別問題だと思うけれど。ただしここで議論をするのは面倒なので4,000円(税サ別)のペアリングコースでお願いしました。
テレビの対応か何かでかなり待たされた後、ようやく食事が始まりました。取材が入って浮かれる気持ちはわからないでもないですが、それで目の前のお客様を大切にできなくなるのはプロとして失格です。そんな気分の中で頂くトマトのエキスの味わいは中くらいである。
続いて馬肉。おお、料理は美味しいじゃないか。ザクザクとした食感の生地を土台として、ユッケ的な馬肉やビーツを盛り込みます。馬肉の猛々しい味わいにプラム(?)の爽やかな風味。冒頭の不快感はどこへやら、です。
極太のホワイトアスパラ。ジューシーなエキスがとても美味。和牛のジャーキーやすりおろしたチーズなどで旨味も加わり、タレの濃度も強く完成度の高い一皿です。
パンは駒場の有名なパン屋から取っているそうで、なるほど確かに美味しいのですが、おかわりはもらえませんでした。しゅん。
ところで序盤に「雑然とした雰囲気」と述べましたが、その一翼を担うのが大音量のBGM。古いJ-POPを不気味にアレンジしたものであり、食事に全く合いませんでした。まさかフランス料理屋で今田耕司の「ナウ ロマンティック」を聴くとはね。
閑話休題。パスタはカーチョエペペ。胡椒とチーズ、鰹節だけのものですが、これが旨い。コロナ禍で席数を絞っていたからか茹で加減も完璧であり、記憶に残る1皿でした。
魚料理はキンメダイ。中華料理のようなニュアンスがあり、胡麻油の香りが心地よい。身はふっくらと、皮目はパリっと。白い半液状のもの(おかゆ?)も面白い役目を果たしています。
メインは大山鶏。これはこれまでの料理と違ってめちゃくちゃ普通ですね。悪くはないが、良くもない。その辺の安いビストロと同程度の味わいです。
デザートはブリア・サヴァラン(チーズ名)のアイス。チーズ特有の香りと塩気が心地よいアクセント。濃厚ながらもスイスイと食べれる見事な締めくくり。
紅茶と板チョコで〆。ごちそうさまでした。

前述の通りお会計はひとりあたり1.3万円。料理と飲み物だけを見ればリーズナブルと言えるでしょう。ただしテレビの取材で浮かれてしまって目の前のゲストを大切にできない点や気持ちの悪いBGM、価格の割に妙にカジュアルな雰囲気などを考えると、支払金額に見合った食事とは言い難かった。

タイミングが悪かったのかなあ。料理そのものは結構美味しかっただけに勿体ない。普通な時期に訪れればまた印象は異なるのかもしれません。


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