三茶酒家 香港バル213/三軒茶屋

趣きのあるアーケード「エコー仲見世商店街」にオープンした新店。「ナテア」といって、三軒茶屋で「スパイスバル317」「蕎麦バル1351」などを手がけるグループがオーナーです。香港の裏路地にあるような飲食店のような雑然とした雰囲気。
店員から、当店はクラフトビール推し、との説明。なるほど点心を出すお店でクラフトビールを取りそろえているというのは珍しい。しかしながらいずれも1,000円前後の価格帯であり、タップでもなくビンを開けて移し替えるだけでその値段というのは抵抗があります。

手早く乾杯を済ませゴクリと1本飲み干すと、連れは可笑しくて堪らない、といった表情で私を見つめる。僕の顔に何かついているかな?
お通しは茹でたモヤシに肉味噌をドロり。中華的わかり易い味付けであり、お酒の蒸発が加速します。

違うの、と呟き、彼女は小さく首を振った。「仲良しだよね。ふたりで瓶ビール2本注文して、互いに手酌なんだもん」
三色冷盤。日替わり前菜3種盛り。手前は蒸し鶏にネギソース。恐らく単に蒸しただけではなく鶏の風味が沁み込んでおり美味。右は酸味の強い茄子。ピチっとした挽肉も強い旨味を放っています。奥の塊はメンマであり、挽肉やソースなどでたっぷりと調味されており、さしずめ担々メンマといったところ。この1皿が980円というのは大変お得です。
こちらは缶を移し替えて1,000円前後。しかもその缶は明らかにブチ落とした形跡があり外観がひん曲がっています。こういったものを平然と客に提供するあたり、色々なことにあまり思い入れがないお店なのでしょう。

それにしても彼女は可愛い。いま読者のあなたが想像しているよりも2割増しぐらいに可愛い。肌など産まれたての赤子のようにスベスベとしており、思わず手が伸びてしまいそうに。「ちょっと、そっちこそジロジロ見ないでよ」見てるんじゃない、見惚れてるんだ。私は可能な限り真面目な顔を作って言う。
自家製のチャーシュー。「焼きたてです」と言う割にヒンヤリと冷えており、この「焼きたて」の定義がわからなくなる。味そのものは八角(?)の風味が強くハチミツの甘味もとろんとして良し。自宅では絶対に作り出せない味わいです。

「またそんな調子良いこと言って。どうせ他の女の子にも同じこと言ってるんでしょ?」まあね、その通りだよ。「何それ最低。あたしのことだけを可愛いって言ってもらえないと意味がないんだけど」
小籠包。普通に美味しいですが、普通であり、キャセイのラウンジで供されるフードと大差ありません。これで3個420円は高いなあ。2019年は年に5回香港を訪れる予定があり、先週ならびに2か月前にも訪れたばかりなので、点心については厳密に比較してしまいます。
トリッパの青唐辛子蒸し。丁寧に処理されたトリッパを爽快感溢れる青唐辛子でピシっと調味しています。やはり家庭では実現できない味覚であり、こういう料理こそ外食の醍醐味です。

「新幹線で肩こっちゃったなあ」陶器のようなデコルテを見せつけながら首筋をぐるりと回す連れ。そう、今夜は出張を前倒しで切り上げ東京の私に会いにきてくれたとのこと。来週は海外出張。時間は捻出するものだ。多忙は怠惰の隠れ蓑でしかない。
割高なビールに見切りを付け、安心安定のアサヒスーパードライに向かいます。それでも小ビンで500円オーバーとしっくり来ない価格設定。このモヤモヤを解決するには事前に飲み放題付きのプランで予約を入れたほうが良さそうです。アラカルトでガッツリ飲み食いするには高くつく。連れとは阿吽の呼吸でもう出ようと同調し、小一時間で店を後にしました。
「次はいつ会えるかな?」いつでも。暇を燃料にして飛ぶ航空機があるとしたら、私の航続距離はボーイング777-200LRを遥かに凌駕するはずです。「それじゃ、来週の水曜日に」特に時間やお店は決めず、その日に行くお店と時間を決める関係。こういうアドリブな付き合いも大好きだ。


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三茶は店主の思い入れの強い哲学のあるお店があっていいですね。ちなみに三軒茶屋は「さんげんちゃや」ではなく「さんげんぢゃや」と読むのが正解です。これ豆な。

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