umbilical(アンビリカル)/三軒茶屋

2016年夏にオープンしたビストロ。共同オーナー2人は岩手は一関出身で、高校の同級生。店名の「umbilical(アンビリカル)」は、英語で「へその緒」の意味。「人と人が繋がる場所」や「一関が東北地方のへそ(中心)にあたる」などが由来だそうな。
内装は木材が中心であり温かみがあり居心地が良い(写真は公式facebookページより)。何よりスタッフ全員の雰囲気が皆ゆるふわ系ですごく優しく、サービスを頭で行おうとはせず歓待の気持ちを自然な行動で示してくれます。
既に食事は済ませて来たので、ひたすらに酒を飲む。シュナンブランの泡であり、スッキリとした飲み口で初夏にピッタリ。

「半年もあいていたのに、ぜんぜん久しぶりな感じがしないよね」と科を作る彼女。ちょっとした事情によりしばらく距離を置いていた我々。無遠慮な友人(主にシイタケ嫌い)などからは「三茶の女とは別れたんスか?」などとよく聞かれたものです。

ちなみに今日の我々は夕方にカフェで緩やかに待ち合わせ、ほんの2~3挨拶を交わしたのち2時間近く無言で互いの作業に没頭するという、互いの素敵な無関心。ふたりが次の段階に入ったことの証明と言えるでしょう。
お通しはフォアグラのマカロン。わーお、なんて手が込んだアミューズなのでしょう。マカロンとは恐ろしく難易度が高い料理であり、どんなプロでも3割ぐらいは焼きミスが生じ歩留まりが悪いもの(だからマカロンはあんなに高い)。それを無条件で客全員に配布するとは中々やりおる。滑らかな舌触りのフォアグラの味覚もグッド。

「あたしに会えない間、何してた?」赤ちゃんのように緻密で栄養のある肌を輝かせながら彼女は問う。ちなみに男女問わず肌がキレイな方がモテるのは、「肌が汚いヤツは疫病の可能性が高いから避けろ」という情報が、数億年にわたってヒトの遺伝子に組み込まれてきたかららしいです。

鬼の居ぬ間に洗濯、ってのは冗談で、特に何も無いよ。Metro, boulot, dodo(地下鉄乗って、仕事して、帰ったら寝るだけ)な毎日さ、とお茶を濁す。彼女は私の回答に満足がいかなかったのか、「前にも言ったけど、あたしは一番じゃないと嫌なの」と、双眸が燃えている。彼女の瞳に見つめられると、何でも正直にしゃべってしまいそうになる。
外のテラス席が気持ち良さそうだっとので、移動させて頂くことに。連れはスタイル抜群かつ露出度多めかつカワイイと美人が同居するという割と最強系の女の子なので目立つ目立つ。「あ、テラス席気持ち良さそうだな、いいな。ああ!あの女の子超かわいいじゃん!いいな!」と、通行人から2段式の羨望を浴びることとなりました。
島らっきょうとシシトウのフリット。深夜に食べるには重いかなあと思いきや、サクサクと軽やかな揚がりっぷりであり、健康なスナック菓子を食べているかのような錯覚。コッテリとしたタルタルソースも万人ウケする味わい。

「あたし、独立しようと思う。色んな手続きとかあるから、あたしのこと、支えてね」これは体の良いインテリパシリでしかないのですが、黙って頷くほか術は無い。それでも人に何か頼りにされるということは嬉しいもの。今後の我々には、より強固な何かが約束されたような気がします。
1本空けた後はグラスワインへと移行。1杯1,000円前後から気軽に楽しむことができるので我々得。お酒が弱い方は上質なワインを少量のみで満足する傾向にあるのですが、我々のような大酒飲みはある程度の量を確保できないと心が満たされない。

今夜はお酒を飲むだけにお邪魔しましたが、料理に対するセンスが感じられる空気でした。「タケマシュランまた来たいリスト」にしっかりと記載し、また別の機会にしっかり食べにお邪魔したいと思います。

「あたしははやるといったことはやるからね、徹底的に」彼女は何事も偶然に任せない。彼女が言うことは常に実行され、達成される。


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三茶は店主の思い入れの強い哲学のあるお店があっていいですね。ちなみに三軒茶屋は「さんげんちゃや」ではなく「さんげんぢゃや」と読むのが正解です。これ豆な。

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