うな文 中日ビル店/栄(名古屋)


中日ビル地下2Fの、なんとも地下2F感溢れるお店。平日の正午でしたが客は半分の入りでした。鰻屋って一歩間違えるとすぐに数十分待ちになるので、この使い勝手の良さは助かります。
コチラは定価のメニュー。ランチタイムだと、ここから大幅に値引きがあります。例えば私が注文した特上のひつまぶしは2,800円から400円の値引きで、最終的には税込み2,400円でした。
注文して数分で到着。本格的な、すなわち注文してからさばき始めて1時間かかるようなお店とは異なり、ある程度下ごしらえを事前に済ませているようです。
ううむ、特上でこの鰻量かあ。やはり値段相応といったところ。当店よりも価格の高いあつた蓬莱軒まるやと比べると迫力に欠けます。
肝吸い。標準的な味わいです。別料金ではなく自動的に付帯してくれるのが嬉しいですね。
さて、ひつまぶしを始めます。まずはプレーンにそのままで。他店に比べると思い切りバリっと焼ききる芸風で、より一層の焼き魚感を楽しめます。タレはハッキリと濃く、たっぷりジャブジャブとかかっているタイプ。
2杯目は薬味を載せて。海苔は別盛りを振りかけるのではなく、最初から鰻の下に敷き詰められていました。
3杯目はお茶漬け。ダシは薄め。ただし元々のタレの量が多いため、お茶漬けにすると調整された味わいとなります。バキバキに焼かれた表面も、ダシに漬かるとちょうどよい柔らかさに。
ナスのお漬物でインターバルののち、
ラストは残りのダシをぶち込んで一気にかき込みます。うん、当店はこの瞬間が一番美味しかった。そうそう、当店の店員さんは「お茶漬けの際には~」と、明確に「お茶漬け」と定義していました。この前のお店でも「お茶漬け?ダシなのに?」と疑問に思いましたが、名古屋では一般的な呼称なのかもしれません。一人っ子なのに双子座と聞かされた際の違和感にちょっと似てる。



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仕事の都合で年間名古屋に200泊していたことがあり、その間は常に外食でした。中でも印象的なお店をまとめました。

食通たちが鰻の魅力とこだわりを語り尽くす一冊。よしもとばなな、沢木耕太郎、さくらももこ、椎名誠、村上龍、村上春樹、島田雅彦、五木寛之、遠藤周作、群ようこ、などなど最強の布陣が送るアンソロジー。



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十番のおばちゃん/麻布十番


北イタリア料理を堪能した後、ほろ酔い気分で夜の十番を練り歩く。
あべちゃんの脇道に、ぶっきらぼうに「十番のおばちゃん」とだけ書かれたお店を発見。怪しい。ひとりで入るには躊躇するファサードです。

しかしカウンター席で美男美女が酒を酌み交わしていたので、意外とちゃんとしたお店かも、と、連れたちと頷き合い、命まで取られることはなかろうと突入。
「外から美男美女が見えたので思わず入ってしまいました」と述べると、「じゃあ一緒に飲みましょう」という運びになり、2階へ移動。私は女性ふたり連れだというのにナンパ成功。罪な漢である。
セルフサービスで酒を注ぐ。 店名の通り、おばちゃんがすべておひとりで業務をこなしているため、客には協力する義務があります。みんなで作り上げる店である。
サツマイモのフライドポテト。シンプルな料理ですが、心なごむ美味しさ。ついつい手が伸びてしまいます。美男美女と共に心からくだらない与太話に華が咲く。

私は完膚なきまでに酔っ払いであったため、隣のテーブルで飲んでいた青年にもトゥギャザーしようぜ、と、ついうっかり声をかけてしまいました。

「さっきタケマシュランって呼ばれてましたけど、ご本人ですか?」と、当ブログの読者であることが判明し、微に入り細に入り私の生活をご存知でした。壁に耳あり障子に目あり。十番では品行方正に過ごさないと。
から揚げも先の料理と同じ方向性であり、まさに「おばちゃん」の家庭料理である。

「今、目の前に本物のタケマシュランがいるんだけど」と友人に慌てて電話する青年。その数分後、息を切らした可愛らしい女の子が到着しました。「あ、あたし、毎日読んでます!」いいねえ、美人はいつでも大歓迎だ。それにしても25時を過ぎているというのに軽快なフットワークである。

犬の散歩がてら立ち寄った常連客も我々の和に加わる。この飲み会、8人のうち5人が初対面。

偶然見つけた素晴らしいお店でした。ちょっと飲んだり食べたりラジバンダリしたい時にうってつけのお店です。

おばちゃんの、店の運営の大半を客に投げている姿勢がいいですね。自然と客同士が助け合うようになり心が通う。値段も安いし料理も旨い。これは通い詰めてしまいそうである。

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東京カレンダーの麻布十番特集に載っているお店は片っ端から行くようにしています。麻布十番ラヴァーの方は是非とも一家に一冊。Kindleだとスマホで読めるので便利です。


オステリア ディエチ/麻布十番


OSTERIA dieci。ディエチはイタリア語で「10」の意味だから、十番にちなんでいるのかしら。
洒脱で印象的な店構え。期待が高まります。
フランチャコルタで乾杯。一年ぶりにコレ飲みましたがいい泡ですよね。新鮮で、酸味がはっきりしてる。食前酒として最高の1本です。
前菜盛り合わせ。連れはトリッパが苦手なのですが。「ここのは食べれる!」と、クリアな味わいに大満足のご様子。個人的には緑色の物体が記憶に残りました。スフレのような食感で、後から香るチーズの風味がクセになる。それにしても、「ぜんさい」と打つと100%「前妻」と表示されるのが実に腹立たしい。
パンは密度が高くしっかりとした味わい。みっちりと濃くタイプです。
3人で飲んでいるので1本が空くのはあっという間。白へと突入。

ワインエキスパート女子にブラインドで飲んでもらい、このワインいくらだと思う?と問うと「6,000円ぐらいかなあ」と回答。正解は2,600円。十番でボトルが2千円台で飲める稀少なお店です。
サラダにはパルミジャーノとサラミがたっぷり。これはもはやサラダではなく酒のツマミである。
コトレッタ。ミラノの郷土料理です。極厚スタイル。フォトジェ肉なビーフがキメの細かい衣と共にカラリと揚げられています。赤身肉が滋味に富み、噛む度に旨い。

日本で食べるいわゆる「ミラノ風カツレツ」は、真っ平らに広がり揚げ油をたっぷり吸った衣が妙に厚い印象。当店のそれは良い意味で全く別の料理です。
先のワイナリーの赤ワイン。こちらも2,600円。やっぱりワインは値段を気にせずガブガブ飲むに限る。

〆の炭水化物は多彩なパスタ料理。アラカルトでの注文なので、自分の好きなようにメニューを組み立てられるのがいいですね。イタリア料理のコースの構成は、前菜とメインの間にパスタを挟むのが一般的ですが、根っからの日本人としてはどうも慣れない。やっぱり炭水化物は最後に食べる方がしっくりくる。
タヤリンにラグービアンコ。タヤリンとはピエモンテ名物の手打ち細切りパスタのこと。行列のできるラーメン屋のように旨い麺。

ラグービアンコは白いミートソース。ウサギ肉とヘーゼルナッツから成り立っており北イタリアが冴え渡る。
ミラノ風リゾット。ミラノが位置するロンバルディア州はイタリア一番の米どころであり、名物料理のひとつとしてリゾットがあげられます。やや芯を残した噛みごたえのある火入れ。サフランの色合いがビビッドですが、米本来の美味しさを再確認できる一皿でした。
少し南に下ってカルボナーラ。生クリームを一切使用しない本物志向。卵愛好家の私としては断然このスタイルのほうが好き。

ちなみに生クリームを用いるのは卵が凝固しなくなってソースとして作り置きし易いからなんですね。カルボナーラ・ジャポネーゼ。それはそれで旨いのですが、カルボナーラと名乗るのはちょっと違う。
「もうちょっと飲みたいね」ということでもう1本。オルトレポ・パヴェーゼがたったの3,500円。酒の値付けが安い店は良い店だ。
ツマミにオリーブと
生ハムたち。黄色はポレンタ。トウモロコシの粉を練ってオーブンで焼き上げたもの。どの皿もいちいち本格志向であり現地感覚に溢れています。

郷土色が極めて強い中毒性の高いお店です。ドンチッチョを始めとした南イタリア系のお店は結構多いですが、北イタリア料理を前面に出したレストランは意外と少ないので、重要なお店です。

ところで、当店は珍しく店内わんちゃんOKで、麻布十番中の犬好きが全員集合しています。愛に満ちて育てられた品の良い犬たちがゆったりと寛ぐ様を見ていると、こちらの心にも余裕が生まれる。今度はわんちゃんと一緒に行こうっと。

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麻布十番はイタリア料理屋も多い。ただし、おっ、と思えるお店は少数です。個人のお店のランチが狙い目ですね。
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忘年会に行ったら袋叩きにあった件


イケメン起業家より「鍋パ忘年会やろうぜ」とのことでお誘い頂けました。小規模で内輪な会にお招き頂けるのって嬉しい。

ということで、イケメン起業家、美人シェフ、美人広報、美人M&A専門家、美人外資、そして私、と、何とも東京カレンダー感溢れる忘年会。
ぜ、前菜、だと…っ?鍋と聞いたので、呑気に日本酒を1本だけをお持ちした自身の短絡的な思考回路を悔いました。ちくしょう、お洒落じゃねえか!

「ってかさー、東京カレンダーとタケマシュランって芸風被ってるよね」何をおっしゃる、当ブログのほうが歴史は長いのだ。
カブ料理も美人シェフの手に掛かれば一気にクリスマスカラーに。旬真っ盛りで甘い。トマトで旨味も補強され、(私が持ってきたわけではない)ワインが進みます。

今夜の女性は皆未婚。「この歳になるとさ、結婚って話になると、色々考えちゃうよね。親のこととか」「わかる。イイ人がいたとしても、『親が気に入ってくれるかな』とか考えちゃう」「わかる。相手がバツイチなのは全く気にしないけど、子どもがいるとNG」「わかる。養育費とか絶対ムリ」
お肉には心地よいジュレが並べられ、これまた(私が持ってきたわけではない)ワインが進みます。

ハァ?養育費ぃ?と思わず食って掛かってしまいました。私としては、相手のことが好きだから結婚するのであって、月十数万円の養育費など取るに足らない問題である。

自分の好きな人とふたりでひとつの人生を歩めるのであれば、それで充分ではないか。その他の些細な不都合に一喜一憂する必要は全く無い。自分が結婚したいと思う人はかなりのレアキャラだけど、養育費を稼ぐ手段などいくらでもあるのです。
アルバ産のサラミ。こういう食べ物は実に脂が旨い。そしてコチラは私のお持ちした日本酒にもピッタリでした。

「養育費って言ったけど、単純にお金だけを問題にしてるわけじゃないの。もしあたしとの間に子供ができたとして、前妻との間の子のほうを可愛がってなんかりしたら絶対に許せない。あたしの子供を一番に可愛がって欲しいの。まして、自分との間に子供ができなかったりしたら、地獄だわ」
キノコのマリネ。キノコの大地の味わいとオリーブオイルの香りが鼻腔をくすぐりいくらでも食べてしまう。

ちょっちょっちょっちょっと待って!あなたたちは、親とか子供とかお金とか、何のために結婚するの?その人が好きだから結婚するんじゃないの?自分の好きな人と毎日を過ごせて、それ以上、何を望むの?
10日寝かせた鯛のカルパッチョ。吸い付くような舌触りに増した旨味。とんぶりやクコの実の食感が華やかに弾け、本日一番のお皿です。

「タケマシュラン、さっきから歌謡曲のサビみたいに同じこと言ってっけど、あんた結婚のこと何もわかってない。いい?結婚って、好きとか愛してるとか、それだけじゃないの。不妊が原因で離婚する夫婦、多いんだから」

これは別に私が強がっているわけじゃなくて、心から理解に苦しむ価値観です。あなたは私のことが好きだから結婚するんじゃないの?「子供が欲しいから結婚して」だなんて、私にとっては不気味で屈辱的な結婚理由なのですが。
春菊のサラダ。グランボッカの春菊サラダも美味しいですが、今夜のそれはさらに手が込んでいて絶品。オリエンタルなスパイスがじっとりと染み入り、 気持ちが和らぐ旨さです。ピータンやヒマワリの種による演出も心憎い。お茶のような香りも感じたのですが、気のせいかしら。

で、でもさ、養育費が発生してるってことは、少なくとも相手が種ナシじゃない、つまり生殖能力があるってことでしょ?不妊治療で悩む夫婦もいるんだから、その片方の能力は認められたってことでいいんじゃないかな?と、必死で世界の子持ちバツイチ男子の肩を持つのですが、シベリア寒気団のように冷ややかな視線を浴びるだけでした。
大根いいねえ冬ですなあ。産地と旬に一家言。たっぷりの香草と爽やかなレモン。こんな豪勢な鍋パがあるか?

「じゃあさ、結婚できる人とできない人の違いって、何だと思う?」これには即答で『ノリの良さ』と回答。あまり深く考えず、とりあえず結婚する。ダメならすぐに別れてハイ次。5回も結婚すれば、そのうち1回ぐらいは当たるでしょ?僕はたまたま2回目で上手くいったけど。それこそツタヤの会員になるぐらいのつもりで気軽に結婚すればいい。

自分勝手な意見を滔々と述べると、「駄目だこいつ…早くなんとかしないと…」と、私を除いた皆の間で謎の一体感が醸成されました。
薬膳キノコ鶏モモ鍋。スープが抜群に旨い。シンガポールのバクテーを優しくしたような味わいで、八角の香りに心があたたまり、キノコとネギの滋味に癒される。

「でもさ、タケマシュランのシンプルな意見って最強だよね。こうして5人がかりでようやくバランスの取れた議論になる」その通り。全てはオッカムの剃刀。最も有効な解決策とは最も単純な解決策なのである。
〆の雑炊は鍋奉行の最高の署名。片足けんけんで胃袋にスペースを空け、冬眠前の熊のように貪りつきました。

「じゃあさ、この中で、タケマシュランは誰と一番結婚したい?」と聞かれたので間髪居れず、○○さん(美人シェフの名)!健康で明るくて可愛くて自立してて食べ物に対する価値観が似てるから!と即答すると、「ふざけんじゃねえ!」と他の女性たちから袋叩きに合い、三途の川が見えました。

同性として唯一の理解者であるイケメン起業家が「おまえな、こういうときは少し考えるフリをしてだな、『そんなの決められないですよぉ』とか適当に濁すもんなんだよ」と丁寧に解説して下さいました。なるほど、質問に回答するだけではダメなのか。大人って難しい。ぜんぶ雪のせいだ。

「だからタケミシュランはさあ」誰やねん。
心地よいカキでリフレッシュ。ごちそうさまでした。

それにしても、恋愛や結婚、出産、育児となると、全員がその道の専門家となり、終わり無き弁論となるのは実に興味深い。

私はきっとこういうこと、すなわち女子会的な議論が生まれつき好きなのでしょう。根性は無いが野次馬根性だけはある。どうか私に呆れることなく、2017年もどうぞよろしくお願い申し上げます。


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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。


カンテサンス/御殿山


Quintessence。当ブログの読者であれば知らない人はいないでしょう。ミシュラン9年連続三ツ星。東京、いや日本を代表するフレンチレストラン。
訪れた日の食べログでは4.88で堂々の1位。私は白金時代に一度お邪魔したことがあり、それはそれは感激し、当時の記憶を1,000ピースのパズルにでもしておきたいぐらいなのですが、その後、御殿山へと移転してからは全く予約が取れない。次第に電話をすることが億劫になって、「そのうち誰かが誘ってくれるだろう」モードに据え置いてしまっていたのです。

そんな折、友人の「必死の思いで予約を取ったはいいが、一緒に行く人がいないことに気づいた」という美食家あるある的な誘い文句。渡りに船とふたつ返事で約束し、今日この日が来るのを指折り数えて楽しみにしていたのです。
当店は個室を除いて写真NG。したがって、今回は文章のみでお届けします。

■シャンパーニュ
乾杯はシャンパーニュ。よく飲む仲間なのでボトルで頂きます。もちろん上を見ればキリがありませんが、最も安いシャンパーニュは12,000円と、このクラスのお店にしては悪く無い価格設定でした。ブラン・ド・ブランながらもじっとりとしたコクと甘さがあり、シャルドネらしからぬ太さがある。

■アヴァン・アミューズ
まずはオックステールのスープ。その熱さはスタバのエキストラホット級でアミューズとしては斬新な温度です。

チコリやシャントレル(キノコの一種)がたっぷりと切り刻まれており、ブラインドで食べれば日本の田舎のごった煮のような味がします。奇しくも先のシャンパーニュとの組み合わせはバッチリ。幸先の良いスタートです。

■パン
パンは当店おなじみのパンドカンパーニュ。フランスの正統的なそれであり、ほのかな酸味がクセになります。

■アミューズ・ブーシュ
アミューズはスペシャリテのババロア。京都の山羊のチーズから造られるものであり、百合根やマカデミアナッツが食感に変化を与えます。品の良いプロヴァンスのオリーブオイルやブルターニュの塩で味付け。ただし想像通りの味であり、地殻変動を起こす傑作というわけではなく、テレビを観ながら食べればその有難みがわからないほど繊細な一皿です。

■前菜
前菜はケークサレ。塩味のケーキ。具材と生地が別々に調理されており、プレーンな生地の上にマッシュルームとウニが鎮座します。生地の美味しさはさすがの一言。こういう普通のものを極上の逸品に仕上げてくるのは実力がある証拠。一方でマッシュルームは土臭さを感じ、味付けも何か悩みでもあるのかと心配したくなるような思い切りの無さ。ウニは当然に美味しいですが、料理が全体として調和しているかというと疑問です。

合わせるワインはオーストリアのグリューナー・ヴェルトリーナー。華やかな香りと格調高いミネラルがウニとピッタシカンカンです。

■魚
魚料理はサワラ。ここのところフランス料理屋に行くと100%サワラが出てきます。ミキュイ(半生)の具合は私好みではあるのですが、やはり先日の東麻布天本の幽庵焼きと比較してしまう。トップクラスの料理人はジャンルレスで評価されるから大変だ。

ホウレンソウと貝の出汁のソースも先の味付けと同じく歯切れが悪い。付け合わせのカリフラワーとホタテの和え物についても、カリフラワーの土臭さが前面に出ておりあまり好きじゃありません。ワインはロワールのものだっけ?特に印象に残らず。

■肉
メインは豚。がーん、鴨とか鳩とか鹿とかを食べたかった。。。豚肉は好きな食材ではあるのですが、先日のレフェルヴェソンスと同じく世界トップクラスのフランス料理屋で食べるものでも無いと思っているのです。

色鮮やかなピンクの断面はさすがの調理技術。このままチーフにして胸に挿したい程の美しさ。しかし味は極めて淡白、かつ、脂身がクドい。他方、ソースはフォン・ド・ボーとノイリー・プラットを上手に配合しており素直に美味しかった。

ワインはジュヴレ・シャンベルタン。純真無垢な豚肉にはややバランスが悪かったかもしれません。

白眉は付け合わせ。つくねのような球体は豚足とジャガイモとソース・ベシャメルのお団子です。その他周囲を取り囲むジロール茸も秀逸。どうして主役よりも外野のほうが完全に美味しくなってしまったのか。リットン調査団でも派遣したいところです。

勇気を出して、なあ、カンテってこんな普通の料理出す店だったっけ?と連れに聞いてみると、「同じこと考えてた。よかった~、自分の舌がバカになったのかと思ってた」と、互いのこれまでの記憶に想いを馳せる。

■アヴァン・デセール
デザートはピーカンナッツとナツメヤシのケーキ。焼きたてのアツアツで、優しく丸みのある味わいです。しかしデザートとしての華やかさは皆無であり、この構図では港区女子を萌えさせることはできないでしょう。

■デセール
〆はメレンゲのアイスクリーム。焼きたてのメレンゲを崩してアイスクリームにしたばかりの、これぞという傑作。私の知る限り世界で最も美味しいアイスクリームです。終わり良ければ全て良し。ごちそうさまでした。

ちなみにサービス陣は軍隊並みの行動力および手際の良さであり、ストレスを感じることが一切ありません。しかもイケメン率が高く体系もシュっとしており、男の私から見ても惚れ惚れする身のこなしでした。
お会計は、ひとりあたりたったの2万円強!ぶっとびー!今まであれやこれやと文句ばっか言ってすみませんと土下座したい気分です。これだけの料理と酒を飲み食いしてこの値段はスーパーリーズナブル。この世に並ぶものはない程に懐に優しい三ツ星フレンチです。

ただし、あまりにも見事な費用対効果なので、私が三ツ星レストランに期待している方向性とは異なります。したがって今回は意見差し控え。次回はディナーにお邪魔して、新天地でのシェフのフルパワーを体感してみたいと思います。

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「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
日本フレンチ界の巨匠、井上シェフの哲学書。日本でのフレンチの歴史やフランスでの修行の大変さなど興味深いエピソードがたくさん。登場する料理に係る表現も秀逸。ヨダレが出てきます。フランス料理を愛する方、必読の書。



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