すし初/湯島

初冬のすし初。前回お邪魔したのは盛夏であり、思いがけず間隔が空いてしまいました。数か月先まで予約で一杯なのに食べログの点数がここまで低い鮨屋は中々珍しいと思います。食べログの点数とは一体何なんだろう。
この日のラインナップはこんな感じ。原則的な酒量はひとりあたり4合と衝撃的。もちろん量の大小は調整できるので、私はいつも大サイズでお願いするのですが、翌朝の二日酔いも大サイズです。アルコールというのは何て魅力的なんだろう。
まずはシイタケ。じっくり炙って塩でパラっと頂きます。シイタケって凄いよな。栽培超簡単なのに焼いただけで超旨い。
キノコ、続く。いわゆるすり流しなのですが、実質キノコのポタージュスープです。土っぽい風味が後を引く美味しさで、揚げたタマネギによる食感の変化も心地よい。
もう冬なのでお造りは酒ぶりで頂きます。程よく熱した日本酒にタネをくぐらせ、ほんのりと熱を入れていきます。ミズダコの吸盤のコリコリ感と足のニッチャリ感のコントラストが心に残りました。
酢牡蠣。丸々と太った牡蠣の豊潤な味わいと、酢のバリっとした酸のコントラストが素晴らしい。この日のキーワードはコントラストかもしれません。
サバとブリは炙ります。脂たっぷりな部分をジュワっと炎で凝縮し、メタボ体質を堪能します。やっぱり魚はよく肥えた冬が一番だなあとわかりみが深い。
当店のスペシャリテとなりつつあるひと品。鮨屋でブッラータを出すのは私が知る限り当店だけで、トロトロのストラッチャテッラ(クリーム状態のアレね)とシャリを組み込んでリゾット風に頂きます。柿の甘味がオシャレな味覚を演出する。
茶碗蒸しには気前よくアンキモをトッピング。先のブリでも述べましたが、このあたりの冬の味覚がまことに素晴らしく、フランス料理におけるフォアグラに解釈が一致する旨さでした。
銀ダラの西京漬け。教科書に載せたいぐらい王道な銀ダラの西京漬けです。白ゴハンが欲しくなる原則的な味わいであり、これを而今で楽しむだなんてあらやだ贅沢だわ。
〆のお食事は鮨。この日はパワー系のタネが多く、厚ぼってりとしたエビにふくよかな脂を湛えた中トロのヅケが召される旨さ。ラストの鰻と奈良漬けの手巻きも規定外の美味しさです。

美味しかった。やはり同一のお店を繰り返し訪れると、季節ごとの食材の移り変わりを定点観測できるのが良いですね。日本酒もアルコールとしては珍しく季節ごとの旬があり、食材との掛け合わせの魅力は無限大。次回は春先にしようかな。タイミングよく予約が取れると良いのだけど。

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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。