Ăn Đi(アン ディ / An Di)/外苑前

外苑前駅から歩いて10分弱に位置するモダンベトナム料理「Ăn Đi(アン ディ)」。人気の焼鳥屋「焼鳥今井」のすぐ近くです。オーナーは日本のワイン業界での有名人ベスト100にはランクインするであろう大越基裕ソムリエ。料理を担当する内藤千博シェフは「レフェルヴェソンス」でスーシェフを務めたのち、大越ソムリエに誘われベトナム料理の世界へ。店名はベトナム語で「召し上がれ!」の意。
小さいながらもセンスに溢れる店内。ゲストも雰囲気のあるうるさ型が集っている印象であり、初デートで訪れれば得点ゲットなお店です。ハコの大きさの割にはちょっと詰め込みすぎかなあ。カウンター席で隣の兄ちゃんのヒジがガンガンに当たってきてうざかった。
ワインに一家言あるお店だけあって、アルコールのペアリングが大変お得です。お料理に合わせたお酒(ワイン中心)がこの日は6杯。これだけ飲んで5千円かそこらというのは呑兵衛には堪らないシステムです。他方、お酒が飲めない人とはお店に対する評価がかなり異なるような気もします。
最初に名物料理である「ティーリーフサラダ」。八女茶やデコポン(だっけ?)など多くの食材を並べた、眺めて美味しい1皿です。もうちょっと量が多いと嬉しいな。
続いて生春巻き。この日のそれは海老ではなくタコが主な食材であり、これはこれでありよりのあり。海老だと海老推しの私としては海老美味しいぐらいしか感想は出ないのですが、タコであることにより、たっぷりのハーブとの一体感とか、太巻き由来の食感とか、真面目に生春巻きに向き合うことができました。
トウモロコシをもちいたしっとりクレープのようなもの。合わせる食材はハーブたっぷりのナメロウ的な物であり、どれも日本で調達できる食材であるはずなのに不思議とアジアの風を感じることができます。
稚鮎のフリット。ここのところほぼ毎日アユを食べていたので(外食が多いと旬の食材が続いてしまうグルメあるある)ベトナム料理屋に来てまでまた鮎かよというネガティブな入り口でしたが、タマリンドの酸味やコーヒーの香ばしさが妙に合い、鮎の未開拓領域を発見した心地です。
メインはホロホロ鳥。ムネ肉とモモ肉の食べ比べなのですが、前者はしっとりと優しい舌触り、後者はムキっとジューシーな味わいで美味。ただやはり量はもう少し食べたい。
〆のお食事にフォー。鶏の出汁を中心とした濃厚なスープな美味。たっぷりのハーブやエビ油で味変しながら胃袋を埋めていきます。
デザートはプリンにシャーベットだったかな。サッパリを通り越して印象に残らない1皿でした。
ハーブティーで〆てごちそうさまでした。お会計はひとりあたり1.4万円。このあたりでコース料理を食べてたっぷり飲んでこの価格というのは悪くない価格設定です。ただし、私は満足しましたが、お酒の飲めない水でいいです組が食事だけで8千円というのはきっと割高に感じるだろうなあ。
東南アジア旅行に慣れたゲストであればあるほど、見る目は厳しくなるかもしれません。カジュアル系の女性誌のアジア特集にフセンを貼っているようなタイプの酒飲み女子と共にどうぞ。

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「東京最高のレストラン」を毎年買い、ピーンと来たお店は片っ端から行くようにしています。このシリーズはプロの食べ手が実名で執筆しているのが良いですね。写真などチャラついたものは一切ナシ。彼らの経験を根拠として、本音で激論を交わしています。真面目にレストラン選びをしたい方にオススメ。