ル ボークープ(Le Beaucoup)/代々木上原

代々木上原駅から徒歩10分ほどの住宅街にある「ル ボークープ(Le Beaucoup)」。「クインディ (QUINDI)」の通りのもうちょっと奥です。店名は「たくさん」「多い」という意味と公式ウェブサイトに記されていたのですが、それなら発音は「ボクー」ではないか、とフランス語検定10級の私が指摘しておきます。
店内は結構広く、L字型のカウンター席にテーブル席のダイニングエリア。1人客でも受け入れているのが良いですね。佐藤武久シェフは銀座「ル・マノアール・ダスティン(Le Manoir D’HASTINGS)」赤坂「シュマン(Chemins)」などを経て2014年に独立。
シャブリ産のビールがあるということで思わずオーダー。正統的なペールエールでしたが、世の中知らない飲み物がまだまだあるものだ。その他、グラスワインは千円前後と懐に優しい。
アミューズはベーコン風味の塩気の強い焼き菓子(?)にパテ、ブーダンノワール。いずれも王道の味わいであり、酒が進む系で嬉しくなる。親しみやすいワインの品ぞろえを含め、当店は呑み助が多数集まる店とみた。
バゲットは一般的なもの。さてここからお料理が始まるのですが、プリフィクスなスタイルであり前菜・メイン・デザートという組み合わせはもちろんのこと、デザートを無くして前菜を増やしたりといった変更もOK。私は前菜3皿にメイン1皿という組み合わせとしました。十番に似たような仕組みの店があって凄く好きだったんだけど、閉店しちゃったんだよな。どうしたんだろ。
最初の前菜はトウモロコシのブランマンジェ。生の海老のねっとりとした旨味がグッド。ただしブランマンジェそのものは素材の味が薄く、もうちょっと詰めても良かったかもしれません。
続く前菜は鮮魚のマリネと季節野菜のマリネ。お魚はマダイであり肉厚で抜群の弾力を誇ります。シンプルな調味でお魚そのものの美味しさを楽しめました。
前菜3皿目は鮎のキッシュ。キッシュの生地との重なり合いや、苦味のきいたソースがグッド。そう、数日前に「柳家」で丸々太った鮎を5匹も食べたのですが、やっぱり塩焼きのようにどシンプルな料理よりも、こういった手の込んだ料理のほうが私は好き。美味しいだけにもう少し大きなポーションで欲しかった。
メインは羊肉をスープ仕立てに。たっぷりのクスクスやチョリソと共に頂きます。味そのものは悪くないのですが、どうにも家庭料理感が強く映えない。無難にフィレ肉の何かとかにすれば良かったです。
食後にタイの何かのハーブティ。レモン汁を入れると赤紫色に変化し化学実験のようで楽しかった。

以上を食べ、ビール1本にグラスワインを2杯飲んでお会計はひとりあたり9千円ほど。自由度が高くトータルの量も多めであり、酒もリーズナブル。近所にあったら通い詰めてしまいそうな使い勝手の良いお店です。ランチの営業時間が厳格で割と最後追い出され目になったので、ダラダラ飲む派の皆さんは夜に訪れましょう。

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