ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ(BRASSERIE PAUL BOCUSE Le Musee)/六本木

私が六本木でデートするならここ、穴場だ穴場だと言い続けているのに一向に流行る気配のないフレンチレストラン「ブラッスリー ポール・ボキューズ ミュゼ(BRASSERIE PAUL BOCUSE Le Musee)」。国立美術館の3階にあり、閉館後に建物全体を貸し切ることができるというミラクルなお店です。
ちなみに日本のポールボキューズはひらまつのラインセンス契約(?)であり、経営は株式会社ひらまつです。ひらまつはコロナ系にセンシティブで厳格なルールを設けており、今回のゲストは我々ふたりだけだというのに4人テーブルに2人互い違いにかけさせる(対面にはしない)という徹底ぶり。お食事中のマスクケースの用意など、新しい生活様式を体現しています。
今回は「パリ祭」すなわちフランス革命ひいてはフランス共和国の成立を祝うキャンペーンでお邪魔しました。お食事と、それに合わせたワインのフリーフロープランです。聞いて驚くな、ポールボキューズの名を冠したひと通りのコースにワインが飲み放題で7千円ですよ7千円。
前菜は鴨のテリーヌにフォアグラ、オレンジ風味のサラダ。その辺のビストロの適当な前菜とは一線を画し、カジュアルながら堂に入った味覚です。ヘンな褒め方ですが、普通に美味しい。
パンはシンプルなバゲットにリエット(?)でしょうか。カレーっぽい風味が感じられる味覚が日本人好み。バターよりもこういったツマミ系のほうが酒飲みにとってはありがたい。
魚料理はスズキのロースト。トマトを中心とした夏野菜もたっぷりと添えられており、オリーブオイル主体サッパリとした味付けも夏にピッタリ。その日の気候や環境に適したセンスを感じる1皿でした。
メインは牛フィレ肉。この肉の質が中々に高く、フランス料理の教科書に出てきそうな王道中の王道の調理ながらも、どストレートに美味しい。その辺の結婚披露宴のメインディッシュよりも余程美味しいです。
付け合わせはマカロニグラタン。一見カジュアルなコース仕立てではありますが、こういった付け合わせを別皿で出し、しかもきちんと美味しいのは日本のフランス料理屋のパイオニアとしての矜持を感じました。
デザートまできちんと凝っています。マンゴーやパッションフルーツなど旬のフルーツにココナッツのアイスクリームの南方系の風味が響く。この皿だけそのへんの喫茶店で食べれば千円は超えるでしかし。
〆の紅茶まで丁寧な味わいでごちそうさまでした。以上、オーソドックスなフランス料理をひと通り食べ、ワインをフリーフローで頂いてお会計はひとりあたり7千円です。私の知る限り六本木で最も費用対高価の良いフランス料理屋と言って差し支えないでしょう。
国立美術館の中のテナントであるため閉店時間は早めではありますが、空間の素晴らしさや夜の遊園地に忍び込んだかのようなワクワク感は何事にも代えがたい。平日は仕事を早めに切り上げて、もしくは土曜日の昼下がりに国立美術館でデートして当店で〆る。最高のデートじゃないですか。まさに穴場。まさに穴場。大事なことなので二回言いました。

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