été(エテ)/代々木上原

「The Asia's 50 Best Restaurant 2020」で「ベストペストリーシェフ」を受賞した庄司夏子シェフ。感度の高い方であればこのボックス・スイーツに見覚えがあることでしょう。Fleur d’été(フルール・ド・エテ)。日本で最も入手困難と言われるケーキです。
以前レストランとしてお邪魔した店舗からは移転。ケーキの箱と同様に真っ黒なエクステリアが特徴的。ちなみに私がお邪魔した際、レストランは1日4名限定で月に数日しか営業しないという幻のダイニングだったのですが、今ではどうなってるのかなあ。
定められた予約時間に受け取りに伺います。先客が居たため待ち合いスペースでしばし待つ。案内してくれた女の子が可愛かった。
準備が整い受け渡しスペースへとご案内頂けました。村上フラワーが満開の大きな絵が眩しい。この場で現物を確認し、箱の開け方や食べ方など簡単な説明があります。レクチャーしてくれた女の子が可愛かった。
自宅に持って帰ると狂喜乱舞する妻。ちょろい女である。
紙袋の中にはケーキだけでなく、大きなバラが一輪と、その花びらがたっぷり詰まっています。
ケーキそのものは当然として、パッケージや紙袋にまで手が込んでます。かっこええなあ。まるでラグジュアリーブランドのジュエリーのようにストーリー性のあるクオリティです。
御開帳。おおー、美しい。パワフルな色合いに彫刻のようにエレガントな造形。並の花束よりも花らしさが強く、控えめに行ってビューティフルです。このとき部屋は密な状態だったのですが、部屋中がマンゴーの熟れた香りで満たされて幸せな深呼吸。
マンゴーを薄切りにして丸めて置いているだけというわけではなく、恐らく個体差や熟度に応じてスライスする厚さや配置場所を変えており、しっかりと素材に向き合っていることが伝わります。ちなみに私がレストランにお邪魔した際は、より大きなお花の状態でひとりひとつ、という仕様でした。
どうしてもお花のマンゴーに目が行きがちですが、タルト生地やクリームも壮絶に美味しいです。サクサクとした台座の食感に濃密な乳の旨味とヴァニラの香り。上質な甘さ。きちんと9等分できるよう食べやすく設計されているのも嬉しい。
一方で、ケーキ1台が1.4万円というのは大胆不敵な価格設定です。その他トップパティシエたちのケーキの3倍近い価格設定であり、その味わいに有意な差があるかと問われると色々と考える部分はあります。家に飾るための花と人にプレゼントする花では仕様が異なるように、このケーキは自分で買って自宅でモソモソと食べるケーキではないのでしょう。人から貰う、または贈るためのケーキであり、その価値は双方の感情の総計で判断するべきです。「自分へのご褒美」とかは絶対にNG。
実際に店舗に受け取りに行かなければならない、予約時に決済、受け取り日時変更不可、キャンセルの場合も返金ナシと、色々と制約が多く、そういう意味ではプレゼントする相手も選ぶケーキです。受け取る側も責任重大。しかしこの贈り物には物質的な価値以上の、愛の告白にも似た覚悟が詰まっています。ここ一番の切り札としてどうぞ。


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ete
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