シェ松尾 松濤レストラン/神泉

数十年にわたって毎日満席を続けた伝説のグランメゾン「シェ松尾」 。皇室御用達・芸能人が通う店としても名を馳せていたのですが、そう言えば最近話を聞かない。少し調べてみると、なんとと資金繰りに窮して身売りしていました。現在は取締役の名前や本社所在地から察するに、高瀬物産の傘下にあるのかしら。
大正時代に建てられた洋館を使用しており、時空を超えた非日常感があります。庭園も含めパリ16区「Le Pré Catelan(ル・プレ・カトラン)」のような雰囲気。サービスも古典的で重厚。結納や接待など、外せない会食に重宝しそう。
開祖の松尾幸造シェフはローザンヌ・ホテル学校でホテル経営を学び、ロアンヌ「Troisgros(トロワグロ)」などを経て松濤で開業。入店したらまずはバーやテラスでアペリティフ、その後ダイニングへと案内という流れはまさにフランスといったところ。ちなみに恵比寿の超イケてるフレンチ「Élan.MIYAMOTO(エラン ミヤモト)」のシェフは当店の前料理長です。
ワインは当然にフランス中心。グラスワインが最低でも2千円、ペアリングは3杯で8千円と高額な割に、シャンパーニュのボトルは1万円~とボトルが相対的にお値打ちな価格設計でした。
1品目はホワイトアスパラガスとそのヴルーテ。味は悪くないのですが、何というか、ダサい。松濤の松尾とは伝統と格式であり、歴史を含めて食べる料理であるとのお達しでもあるのでしょうか。
嫌な予感は当たるもので、2皿目も同じベクトルの料理です。どうにも披露宴での食事のようであり、作者不詳に感じてしまいます。
パンは3種頂いたのですが、いずれもきちんとした本格派で美味しかった。
トコブシとホタルイカ。これは悪くないですね。季節を感じることができ、ラタトゥイユ(?)っぽい風味のソースもグッドでした。シャンパーニュとの相性も抜群です。
魚料理はサクラダイ。ふっくらと炊かれた身質にコッテリとしたソースはまさに王道のフランス料理。付け合わせの特大ハマグリも純粋に美味しい。
ベリー系のシャーベットでお口直し。メインの前に氷菓が出し、きっちりとフランス料理をやり切るのはさすがの一言。
メインはブルターニュ産の鴨。健康的で雑味のない味わいに、クラシックなソースの存在感。整然とカットされているのも食べ易い。
デザートは蒸したメレンゲやら何やらで結構凝っています。サービスの方の説明も一番熱が入っていたように感じました。味わいもその通りであり、本日一番のお皿です。
お茶菓子も美味しい。こういう定番中の定番のレベルが高いのは沈丁花は枯れても芳しといったところでしょう。
食後のお茶はテラスへと移動して。渋谷からほど近い住宅街に、こんなに素敵な空間があるだなんて。本日のハイライトでした。
ただ、厳しいことを言うようですが、つまらない料理でした。創造性やオリジナリティは皆無であり、シェフの顔が全く見えません。もちろん現シェフの責任というわけでは決してなく、これまで店を支えてきた常連やオーナー、会社組織の意向が強いのでしょう。その反動なのか、独立した宮本英也シェフの今の料理の方向性が違い過ぎてわろてまう。ある種の抑圧は絵のような料理の数々を爆誕させるのかもしれません。レストランって、面白い。


食べログ グルメブログランキング

関連記事
「好きな料理のジャンルは?」と問われると、すぐさまフレンチと答えます。フレンチにも色々ありますが、私の好きな方向性は下記の通り。あなたがこれらの店が好きであれば、当ブログはあなたの店探しの一助となるでしょう。
日本フレンチ界の巨匠、井上シェフの哲学書。日本でのフレンチの歴史やフランスでの修行の大変さなど興味深いエピソードがたくさん。登場する料理に係る表現も秀逸。ヨダレが出てきます。フランス料理を愛する方、必読の書。

関連ランキング:フレンチ | 神泉駅駒場東大前駅渋谷駅