リストランテ センソ(Ristorante Senso)/白金台

目黒の人気イタリアン「ランテルナマジカ」姉妹店が業態変更。イタリアより新シェフを迎え、「リストランテ センソ(Ristorante Senso)」として高級路線へと臨みます。
近藤正之シェフは広尾「ラ・ビスボッチャ(LA BISBOCCIA)」を経てイタリアへ。星付きレストラン各店で腕を磨いた後、ピエモンテ「ロカンダ・デル・ピローネ」でシェフとして1ツ星を6年間維持しました。
単品のグラスワインはちょっと高いなと思いましたが、ボトルの値付けはリーズナブルであり、ペアリングも悪くない価格設定でした。我々は泡を1本で通します。
アミューズはモッツァレッラチーズにマスのマリネ、生ハムにホワイトチョコレート。ホワイトチョコレートには刻んだトリュフが練り込まれており面白かった。
スペシャリテの「オルト」。菜園という意味であり、生の野菜からボイル、フライ、ソテー、ロースト、グリルなどなど40種類以上の野菜が咲き乱れます。ガルグイユもかくやと思わせる美しさであり、味も良い。この時点でこの店は本物だと確信しました。
パンはフォカッチャにチャバッタ、米やトウモロコシのパリパリチップス。パリパリチップスが料理を待つ間の暇つぶしにちょうど良かったです。
「マッタンツァ」はシチリアの伝統的なマグロ漁を指し、マグロをブスブス刺してまさに血の海にする漁法なのですが、なるほど激しいプレゼンテーションです。マグロは本マグロを用いておりお鮨屋さん顔負けの美味しさ。
パスタはマンチーニ社謹製、茹でるのに15分を要する極太パスタ。 ソースはありとあらゆる海の幸の旨味が凝縮されており、具材は見えないのにも関わらず魚介の風味がオーバーシュートする絶品料理。
パスタの2皿目は自家製のタヤリン。イタリア語で「細切り」を意味するタリオリーニ(Tagliolini)がピエモンテ州で変化した方言であり、卵黄がたっぷりと練りこまれたものです。ラグーにはエレゾ社のものを用いており、赤ワインが欲しくなる濃密な1皿でした。
メインはシャモに長谷川農園のマッシュルーム。ムキムキマッチョな歯ごたえであり、噛みしめる度に旨味が滲み出てきます。マッシュルームもスライスにソースにしたり泡にしたりと、素材そのものの美味しさを複数のアプローチで提案してくれました。
メインの肉料理がもう1皿。富士幻豚というありがたいお豚様であり、脂身が多いもののサッパリと食べることができます。肉そのものですら美味しいのに、脇を固める2種類のジェノベーゼソースで味変もOKと魅力的なお皿でした。
デザート1皿目は水牛ミルクのヨーグルト。濃密なミルクのコクに上品な酸味。お口直しひとつとっても絶品です。
アップルパイも傑作。リンゴが様々な調理方法で展開されており、それぞれ違った魅力が楽しめます。甘酒を用いたアイスクリームもセンスが良く、品の良いハチミツの甘味が全体を取りまとめる。かなりの満腹状態でここまで美味しいと感じさせるのは凄いことです。
お茶菓子も手抜き無し。お会計は飲んで食べてひとりあたり1.5万円でした。これは驚きの費用対効果ですねえ。どの皿も創意工夫に溢れており、それぞれがきちんと美味しい。トータルではかなりのボリュームであるものの、それでも最後まで駆け抜けるよう設計されたストーリーは見事としか言いようがありません。今度は夜に、ワインペアリングでお邪魔してみようと思います。


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