りんだ/不動前

目黒駅から徒歩15分、意外な立地に「りんだ」という鮨屋があり、先日の「らんまる」の姉妹店の姉にあたります。河野勇太シェフは恵比寿「松栄」で腕を磨き、ニューヨークで経験を積み、帰国後に開業。店名はブルーハーツのあの曲が由来です。
店に入ると、とにかく全員の元気が良い。店員も客も年齢層が低く、緊張とは無縁のイケイケな雰囲気が漂っています。人気店ではありますが予約困難というほどではなく、遅い時間であれば当日予約でも大丈夫とのこと。
中ビンが800円と良心的。酒も1合千円強から始まるので、この手の鮨屋としては懐に優しい価格設定です。
アミューズとして子持ち昆布で乾杯。ガリは3種。ダイスカットされた噛み応えのあるものと、スライスされたもの、赤酢に漬けられたもの。これだけでお酒が進むというもの。
1番バッターはトロ。細かく包丁が入っており、舌の上でブシュウと溶けます。
こちらはヅケ。一転して健康的な赤身を感じる味わいであり、ほどよい酸味にうっとり。シャリも美味しいですね。ふっくらとしつつも1粒1粒に存在感がありました。
ツマミとしてホタルイカ。目の前の七輪で炙ってくれ、目で見て美味しい香っても美味しい。
若竹煮。濃いめの出汁に初々しいと濃厚なワカメ。大人の味である。
コハダの締め具合は程よくて、きっちりとコハダそのものの味わいが伝わってきます。
細切りのイカとウニを合わせて食べます。ウニはもちろんイカがツルンとした食感で、まるで液体を飲んでいるかのよう。
カニをグツグツし始めます。これ全部食べていいんかと勃起しましたが、
ここから7~8人分へと取り分けることになりました。それでもカニの旨味が強く、これはこれぐらいの量でちょうど良かったのかもしれません。
サヨリも美味しい。清澄な味わいでカラダがデトックスされそうです。
甘鯛の松かさ揚げに蕾菜。皮目のカリっとした食感が楽しく、蕾菜の程よい苦味が心地よい。
中盤で巻物が出てきました。中には長芋・トロ・タクアンが封じ込められており、一口目はイクラを楽しむという仕様です。タクアンのカリっとした食感と長いものシャクっとした歯触りの対比が面白い。
甘海老はベタベタに甘いわけではなく、程よい噛み応えと海老の旨味も感じられます。
イワシは軽く炙って3種のソースをトッピング。強い旨味にじんわりと響く鉄分、鼻から抜ける香り。
ノドグロも軽く炙ってじっとりと甘味を増しています。
ハマグリは乳製品と合わせて焼いているのか、クラムチャウダーのようなニュアンスがあって面白い。
特大サイズの赤貝。「照寿司(てるずし)」のように桁外れの店を除けば、かなりの特大サイズで提供してくれ食べ応え抜群です。
スミイカは包丁が一切入っておらずツルツルと陶器のような食感です。個人的には包丁を入れてもらって舌の上に残るような感じが好きかも。
出汁巻きは置かれたそばから出汁がこぼれ出る程、出汁を食べる個体でした。
車海老はシャリとの間にカニ味噌が挟み込まれています。海老だけでも迫力があるのにこのドーピングは反則。
穴子はタレか塩か選ぶことができたのでタレを注文。それでも調味は控えめであり、穴子風味が全面に飛んでくるにぎりでした。
大将のおばあちゃんが造る麦味噌を用いた味噌汁。鮨屋のお椀って攻撃的な味覚が多いですが、コチラはどこまでも優しく円みのある味わいでした。
追加でスペシャリテの「りんだ巻き」をちゅうちょなく注文。大トロ・中トロ・中落ち・炙りなど当店で取り扱うありとあらゆるマグロを放り込み、札幌「はちきょう」のようにイクラをぶっかけ、〆にウニをトッピング。盛りが崩れてしまわないかギリギリ持ちこたえている状況にあり、それを一口で含むと海の幸の甘味が指数関数的に拡散しました。
「りんだ巻き」の後は、皿の上に溢れ出たイクラを拾い集め、ミニ軍艦まで作ってくれました。こういった遊び心のあるサービスは嬉しい。
カステラ寄りの甘い系たまごでご馳走様でした。
おなじみのジュースは飲み放題。みかん農家を営む弟からの直送品であり、チームりんだとしての総合力を発揮してくれます。
そこそこ飲んでお会計はひとりあたり2.6万円。このクオリティの鮨屋としてはリーズナブルな部類でしょう。カジュアルな雰囲気ながらも店員の礼儀は正しく、カキモトアームズのように会社組織として卒なく運用できているという印象。「らんまる」同様、高級鮨の入門編としてどうぞ。


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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。

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