鮨 神楽(かぐら)/新橋

上質なにぎりをリーズナブルに提供することで最近話題となりつつある「鮨 神楽(かぐら)」。住所は新橋ですが、内幸町と御成門の間、虎ノ門と新橋の間と言った方がピンと来やすいかもしれません。
カウンターは9席。白を基調とした明るい雰囲気の店内で、スタッフのみんなたちも若く明るく元気よく、そのままビオレのCMにも出れそうな清潔感です。

望月将シェフは久兵衛出身。中目黒「鮨つきうだ」「鮨おにかい」などの系列で経験を積んだ後、当店のツケ場を預かります。気のきく方で店内の全ゲストに対して目が行き届いており、サービスマン専業であったとしても大成したことでしょう。おまけにイケメンである。
ドリンクメニューは無く値段は不明なのですが、最終支払金額から逆算するに想定の倍以上の酒代でした。飲みすぎ注意。ちなみにワインについてはあまり思い入れがないようで、唯一置かれていた白ワインの品種すらスタッフの誰も把握していなかったので、当店でワインを注文するのは控えた方が良いでしょう。
まずはスープで内臓を温めます。タマネギのすり流しであり、自然な甘さに心なごみます。
続いてカツオ。山盛りのミョウガとたっぷりのドレッシングと共にサラダ仕立てで頂きます。酸味が強く爽やかなひと皿です。
煮ダコは独特。これでもかというほどホニョホニョに柔らかく仕上がっており、あのタコがこんなになるんだという発見がありました。
ホタテの磯辺焼き。バリっとした海苔の風味に刺すような醤油の塩味。ザックリとしたホタテの食感と、万人受けする味わいです。
アオリイカには細かく包丁が入っており、程よい噛み応えはあるもののスルスルと胃袋に収まっていきます。
キンメダイは分厚いカットであり、魚そのものの味覚を楽しみます。シャリは中々に温度が高く歯ごたえもあり印象的。
クルマエビ。茹で置いて休ませたものであり、ちょうど良い具合に甘味が増していました。
カマスの塩焼き。美味しいのですがこれといった特長は無く、なぜこのタイミングでと、唐突な感じがします。
ノドグロは昆布締めで。バリバリに炙って脂デロデロに食べることの多いタネですが、なるほどこういった食べ方もあるのですね。
煮蛤はジットリとした旨味が酒を呼びます。ほんのりと香る柚子のかおりが心地よい。
茶碗蒸しは干し貝柱を多用しており、ややもすると中華料理のようです。
大トロは常温に戻し脂を溶かした上で頂きます。脂の甘味と身の酸味のバランスが良かった。
赤身は先の大トロのバランス感覚に比べると目立たない。意図があってのことでしょうが、素人感覚ではやはり順序は逆のほうが良いような気もします。
アジが絶品。富津で獲れる黄金アジというものだそうで、青魚ながら実にパワフルな味わいです。ネギを擂り潰して風味を増した「あたりねぎ」も良い味を出しています。
マフグの白子。ピンピンに焼き上げており、スプーンでシャリと混ぜ合わせてリゾットの風に頂きます。これは文句なしに美味しいですねえ。白子としては珍しく醤油で思いきり良く味付けているのも良かった。
バフンウニの軍艦はシャリが少なめ頭は大盛りの贅沢なプレゼンテーション。こちらも口の中で咀嚼するごとにリゾット化していきます。
アナゴはボテっとしたサイズ感で一口で頬張るように頂きます。むしゃむしゃ。口いっぱいにアナゴの味がする。
ギョクは密度が高く滑らかでプリンのようです。
お椀は先ほどのノドグロから取ったお出汁で。ちょっとした麺も入っており、鮨屋のお椀としては珍しい仕様でしょう。

以上、食事が1.5万円。軽く飲んで2万円強。酒が高いことは既に述べましたが、食事は割安なので、結果としてプラマイゼロといったところでしょうか。酒飲みと下戸の間では評価が分かれるお店かもしれません。

最近流行のツマミ主体のコース仕立てというよりは握りがその存在を主張しており、しっかりにぎりを食べたい気分に最適なお店。価格を含め肩ひじ張らず気軽な雰囲気なので、高級鮨の入門編としても良いでしょう。

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鮨は大好きなのですが、そんなに詳しくないです。居合い抜きのような真剣勝負のお店よりも、気楽でダラダラだべりながら酒を飲むようなお店を好みます。
この本は素晴らしいです。築地で働く方が著者であり、読んでるうちに寿司を食べたくなる魔力があります。鮮魚の旬や時々刻々と漁場が変わる産地についても地図入りでわかりやすい。Kindleとしてタブレットに忍ばせて鮨屋に行くのもいいですね。