La Biographie(ラ ビオグラフィ)/二条(京都)

烏丸御池の一軒家から移転した「La Biographie(ラ ビオグラフィ)」。二条駅から千本通りを北に15分ほど歩いた場所に位置します。ミシュラン1ツ星。
店内は以前のダイニング形式からシェフズテーブル形式へ大幅に変更。神田「naoto.K(ナオトケイ)」のようなライブ感があります。

滝本将博シェフはそのキャリアをパティシエとしてスタートさせ、京都市内のホテルで経験を積んだのち渡欧。スイスやフランスの名だたるホテル・レストランで腕を磨き、パリでは3ツ星「アルページュ」にてアラン・パッサールより薫陶を受けました。
アミューズは苦・甘・旨・酸・塩の組み合わせを表現。少ない客席数に比して物凄まじい凝りようです。
先の5つの味覚を更に融合させたセット。のんびりとシャンパーニュを楽しみながらツマミを楽しむこの感覚はフランス帰りの料理人ならではでしょう。
稚鮎を春巻き風に。濃密な苦みと大葉の香りが良く合います。
稚鮎、続く。こちらはシンプルに揚げたものと「インカのめざめ」のスープを合わせます。ジャガイモのどっしりとした甘味がいいですね。
スペシャリテの卵。固まる寸前の卵黄に詰めたいクリームを流し込み、メープルシロップで味を調えます。くわー、見た目はシンプルな卵なのにめちゃんこ旨いですねえ。シェフ自ら真剣に調理してくれるからか、「アルページュ」で食べたものよりも全然美味しく感じました。
マグロの中トロ。薄切りのマグロと共に種々の大根が敷き詰められており、ワサビをベースとしたソースと共に頂きます。お造りとツマ的なニュアンスがあり、前衛的な日本料理のような味覚です。
ライ麦のパンにバター。全体を通してかなり量の多いコース仕立てなので、この日はパンに控えめに接する作戦です。
ホワイトアスパラガス。液状化させたものを敷き詰めた上で固体の部分を並べます。ホワイトアスパラの滋味豊かな味わいにホタルイカの苦みと旨味が良く合う。
鮎再登板。4時間かけてコンフィした鮎に、内蔵などを敷き詰めたサモサ。苦みを全面に出したアグレッシブな味覚であり、大人の味わいと言えるでしょう。
甘鯛はウロコ焼きに。バリっとした歯ざわりにコクのある魚の身。澄んだスープ(?)は見た目以上に風味が強く、ルイユのニンニク風味もスポーティー。
メインは京都姫牛。丹波地方の穏やかな風土で育ったメス牛で、肌理の細かい味わいです。ソースは肉汁を用いた澄んだものであり、メインディッシュの肉料理としては優しく軽やかな味覚です。
付け合わせのグラタンが美味しい。序盤に出てきた「インカのめざめ」を用いており、どっしりと密度の感じる味わいです。
バリバリのフランス料理屋らしく、チーズもコースに含まれています。全ては国産であり、日本のチーズも相当にレベルが上がったものだと目尻を下げる。
デザートひと皿目はタルトタタン。生地の量は少なくほぼ全てがリンゴなのではないかと思うほど、その存在感の強い逸品です。ヨーグルトのアイス(?)の酸味も心地よい。
ババにはバニラの風味をたっぷりきかせ、これまたたっぷりのホワイトチョコレートと共に頂きます。ラム酒と合わせ貴族の象徴とも言える味覚であり、シェフのフランス料理文化におけるスイーツ愛を感じたひと品でした。
季節のフルーツでお口を整えつつ、、、
たっぷりの小菓子で締めくくります。冒頭のアミューズもそうでしたが、この客席数に対してこれだけの種類を用意するプロ根性に頭が下がる。食後のお茶の選択肢に日本茶が用意されているのは京都ならではといったところでしょう。
以上のコースが2.2万円で、ワインやら税サを含めてひとりあたり3.5万円といったところ。京都のフランス料理界を牽引するシェフだけあって、フランス料理のエスプリをこれでもかと詰め込んだ食体験。マジでモノホンのフランス料理。コース代金はもちろんワインの値付けも高くないので、京都でフランス料理を食べる際には真っ先にリストアップしたいお店です。

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