ムニ アラン デュカス (MUNI ALAIN DUCASSE)/嵐山(京都)

2020年夏に嵐山で開業したスモールラグジュアリーホテル「MUNI KYOTO」のメインダイニング「MUNI ALAIN DUCASSE」。「ベージュ アラン・デュカス 東京 (BEIGE ALAIN DUCASSE TOKYO)」を始め、アラン・デュカスは私の好きなレストラン系列のひとつなので、このために嵐山に宿泊したと言っても過言ではありません。開業してちょっぱやでミシュラン1ツ星を獲得。
以外にもホテルの地階に位置します。もちろん嵐山の夜は真っ暗で景色は何も見えないため、これはこれでひとつの割り切りとして良いでしょう。

ドレスコードあり、テーブルクロスをバリっと張って、シュっとしたギャルソンたちがキビキビと動く。「Restaurant Grand Cafe Fauchon (グラン カフェ フォション)」もそうですが、京都でここまでバリバリのグランメゾンは珍しいかもしれません。
ウェルカムドリンクとしてビーツとハイビスカスの冷たいお茶(?)が供されます。程よい酸味が食欲を刺激する。

当店の厨房を統べるのはパリ、モナコ、ロンドンのアラン・デュカスで腕を振るったユーグ・ジェラール(Hugues Gerard)シェフ。今回の開業を機にアラン・デュカスのドバイのレストラン「Mix」から転勤です。
宿泊者は17:00-19:00にカクテルタイムがあり、そこで食前酒は楽しんで来たので早速本題に入ります。ホテルだけあってワインは流石に高いですね。ただ、モノに拠っては1万円を切るボトルも散見され、拾い物もいくつかあったように記憶しています。
こういったレストランの美点はアミューズが凝っていること。こちらはジャガイモをカリカリにロールアップしたものにイワシをトッピング。青魚特有のメタリックな脂身が印象的。
ホワイトアスパラガスにはキャビアを乗せて。程よい塩気が酒を呼ぶ。
この丸いのにはフォアグラをベースとしたクリームが詰まっており、序盤からグイグイとテンションを上げていきます。
見て下さい、これはタケノコです。日本でタケノコと言えばシンプルに調理してこそ王道といった価値観が幅を利かせていますが、フランスから来た料理人はそんな価値観お構いなしに味を重ねていきます。タケノコにトリュフを組み込んだのは日本初ではなかろうか。キャラメリゼしたタマネギの甘味も強く、気づきのあるひと皿でした。
タコはブドウの枝でグリルし、濃厚なソースをたっぷり。付け合わせはキャベツであり、中にはタコを始めとする魚介類が詰まっており、素直に美味しい。
パンのレベルも非常に高い。今夜だけで4種、翌日の朝食でも色んな種類を頂き、そのいずれもがハイクオリティな出来栄えでした。やはりフランス人が仕切る店のパンは絶対的に美味しい。日本人が仕切る日本料理店のライスが美味しいのと同じように。
ミル貝トリ貝ホッキ貝あとなんだっけ?多種多様な季節の貝が百花繚乱。ゴールドキャビアを惜しげもなくトッピングし、カロリーは少ないものの旨味に溢れたひと皿です。
鮑のパピヨット(パイ包み焼き)。ジットリとしたアワビに濃厚なソース。モリーユ茸の風味も強く、これぞフランス料理といったひと品です。
メインは鹿児島県産黒毛和牛のフィレ肉。仕上げにオリーブの枝をブワっと焼いて香りづけ。一般的にメインディッシュのお肉は満腹に近づいていることもあってダレることが多いですが、当店のそれは最後まで鮮烈な味覚が続き、何ならもっとくれと思うほどの美味しさでした。
フランスの色合いが強いレストランだけあって、チーズもしっかり出て来ます。オッソーイラティにシャルロにデリス(だっけ?)。やはり旨い。日本のナチュラルチーズ産業のレベルも上がってきたのだから、いい加減バカ高い関税を廃止して欲しいところです。
デザートはいくつか選択肢があるのですが、私はもちろんショコラ一択。当たり前ですが「ル・ショコラ・アラン・デュカス(Le Chocolat Alain Ducasse)」と同系統の高級な味わいで、文句なしの美味しさです。
食後のお茶はハーブティーが自慢なのですが、何と生のハーブを目の前で摘んでハーブティーとして仕上げてくれます。生のカモミールでお茶を飲むって初めてかも。準備に係る人件費含め、なんとも贅沢な1杯です。
フルーツも出ます。はやりフランス人がシェフを務めているだけあって、メインディッシュを食べ終わってからが勝負であり、ややもするとメインディッシュの前と後では後のほうがカロリーが多いのではないかと思うほどです。
先のハーブティーの他、コンブチャも用意してくれました。コンブチャとは昆布茶ではなく欧米で良く飲まれる乳酸菌の発酵ドリンク。程よい酸味でスッキリとフィニッシュです。

短い方のコース料理が24,000円で、それに水やらワインやらサービス料やらでひとり4万円弱。さすがに高価ですが、観光地のスモールラグジュアリーホテルのメインダイニングという意味では悪くない価格設定であり、銀座の「ベージュ アラン・デュカス 東京 (BEIGE ALAIN DUCASSE TOKYO)」より割安にすら感じます。

何より客層がいいですね。嵐山という地の利の悪さが幸いし、東京から来たインスタギャルとそのスポンサーといった客は一切おらず(みんなオッサンと泊まりたくはないのだ)、家族や恋人、古くからの友人といったきちんとした関係性のゲストばかり。規律の取れたサービスもパーフェクトで、フランス料理を食べたというよりも体験したというお気持ちです。めいいっぱいお洒落して訪れましょう。

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