リストランテ カノビアーノ (RISTORANTE CANOVIANO)/目黒

日本イタリア料理界の大御所、植竹隆政シェフの店「リストランテ カノビアーノ (RISTORANTE CANOVIANO)」が代官山から目黒へと移転。「ホテル雅叙園東京」のダイニングのひとつとして入居するようになりました。こういうのって権利関係どうなるんだろう。
雅叙園の車寄せ脇のスロープを登ると超金持ちな人の家的な建物が現れます。プールも併設された大邸宅であり、ホテルのチャペル別館のようなポジションです。
なのですが、ちょっとサービスのクオリティに難ありですね(写真は公式ウェブサイトより)。ラグジュアリーホテルのダイニングで、しかもサービス料を13%も取っておきながら、おや?と思う瞬間が20回以上もありました。またその違和感は特定の人物から発されるわけではなくスタッフ全員から満遍なく感じられたので、ホテル・会社としての問題のような気がします。
まずは「北海道産しま海老とカラスミの冷製カペッリーニ」。なるほど流石にスペシャリテは美味しい。フルーツトマトの円みのある酸味とオリーブオイル、海の幸の風味が良く合います。
「カリフラワーのブラン・マンジェ」は何故イタリア料理店でフランス語?ビアンコ・マンジャーレじゃね?と連れをつつくと「うるさいわねさっさと食べなさい」と取り合ってもらえず、結果として味覚については記憶に残りませんでした。
水牛のモッツァレラチーズを用いてカプレーゼ風に、的なことをスタッフが言ってましたが、この「水牛のモッツァレラチーズ」の品質が酷いもので、MSC Preziosa内「Eataly」のブッラータに比肩する不味さです。恐らく鮮度の悪いモノがあてがわれたに違いありません。
「帆立貝のセモリナ粉焼き カラフルトマトとバルサミコのソース」は盛り付けがダサい。料理名は長いですが、ホタテに小麦粉をつけて焼いただけの家庭料理です。
「真鱈白子のソテー 根セロリのピュレ」の盛り付けもダサい。どうしてこう、魂が抜けたようなプレゼンテーションなのでしょうか。ホテルのダイニングの一員になりゲストの顔が見えなくなって、料理が単なる作業に成り下がっているのかもしれません。
パンはバゲット。全体を通じて穏やかな調味の料理なので、パンについてはもう少しややこしい味覚に挑戦して欲しいところです。
「和牛のボロネーゼ パルミジャーノ風味のパン粉とともに」はイマイチを通り越してすげえ不味いですね。いわゆるボロネーゼに白菜と冬瓜?大根?が放り込まれており、妙に水っぽくビッタビタな食感。逸脱に逸脱を重ねた無責任な味わいであり、もう君は往復ビンタだ。
メインは「ブルターニュ産鴨胸肉のロースト 長谷川農産のマッシュルームソース」とのことで、素材は悪くないものの酷くつまらない料理であり、ダメな披露宴のメインディッシュのようにあやふやな味覚でした。
デザートは5種類くらいから選ぶことができ、私は焦がしキャラメルの何たらかんたらをお願いしたのですが、焦がしを通り越して丸焦げであり苦味しか感じることができません。ねえこれ、職場内でみんなで試食して誰か意見しないの?ここまで酷いとミステリーなんだけど。
以上を食べふたりで1本飲んでひとりあたりの支払金額は1万円強と、ラグジュアリーホテルのダイニングとしては控えめな価格設定でした。しかしながらその内容は恐慌をきたしており、高額な大衆レストランと言うべきか大衆向け高級レストランと言うべきか、とにかく淪落という言葉がお似合いのレストランでした。

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