杦 (SEN)/五条(京都)

五条通りから柳馬場通りに入ってすぐの「杦 (SEN)」。ミシュランでは1ツ星を獲得し、食べログではブロンズメダルを受賞、百名店にも選出されています。
店内はカウンター7席に個室という布陣であり、我々は個室に通して頂けました。めっちゃジャパンな空間で、外国人をお連れするなどにも良いかもしれません。

杉澤健シェフは「赤坂 菊乃井」や「室町 和久傳」で腕を磨き、ロンドンではプライベートシェフとして経験を積み、帰国後、2018年3月に当店を開業。
ビールにつき、マスターズドリームが700円で安い!と思いきや、グラスが瓶ビールで使用するものを一回り大きくした程度であり、全然安くありませんでした。日本酒やワインについての表記も少なく、あまりアルコールに興味が無いお店なのかもしれません。
先付は香箱蟹の飯蒸し。肉の部分・卵の部分と風味が移ろいで行き、うまみ成分はライスでガッチリ受け止め和風リゾットとしてベリーナイスです。
お椀はアマダイ。女将の実家の大原から水を運んで出汁を引いているそうで、まさに絶品と形容すべき味わいです。色とりどりの根菜のシャキシャキ感が楽しく、アマダイそのものも実にハイクオリティ。
お造りはクルマエビにアオリイカ、ノドグロ。アオリイカが抜群に美味しいですねえ。清らかで透き通るような甘味が特徴的で、ちょんちょんと塩をつけるだけで堪らない味わいです。ノドグロもプレーンなお造りとして食べることは珍しく、なるほどトロリとした脂がリッチです。
エビの頭は塩焼きにしてくれました。バリっとした海老の旨味が詰まって大人のかっぱえびせんです。
カニしゃぶ。身が美味しいのは当然として、お出汁は甲羅を焼いてエキスを抽出しており悶絶の美味しさです。スープについてはおかわりOKなのも嬉しい。「川㐂(かわき)」のようにイベント的にカニばっかし食べるのも良いですが、やはり私はコースの中のひと品として出されるほうが好きだ。
八寸につき、完全に酒のツマミ特集です。白子のタレを重ね塗りしてじっくり焼いたやつがお気に入り。バチコは思いのほか優しい味わい。海老芋は揚げ衣のようにカラスミを纏っており、贅沢な逸品です。
お肉はシャトーブリアン。これはもう、お肉の味わい直球勝負。食べ終わった後に「もう少しお出しできますが、お腹の具合はいかがでしょうか?」と、望むところです。
炊き合わせはカブをまるっと。やはりスープが秀逸で、こちらはスッポンのエキスがたっぷり詰まっているとのこと。すげえなあ、スッポンよりもスッポンの味がするなあ。
和久傳の教えに従い、〆の食事は山ほど出ます。この日は8種類の炭水化物がオンリストされており、まずはイクラ丼。ピカピカに輝き生臭さなどは1ミリもなく、程よい塩気が食欲を呼び戻す一級品。
グジとショウガの炊き込みごはん。なのですが、目を瞠るのはトップにベロンと置かれたカラスミ。これはもう、食事というよりも酒のツマミです。
カニ玉に焼き鯖寿司。カニ玉が衝撃的な美味しさで、永谷園の広東風かに玉で育った私としては、こんな世界があったのかと新大陸を発見した心地です。鯖寿司も素晴らしく、鯖寿司と言えば祇園の「いづう」が有名ですが、専門店のクオリティを余裕で超えてきました。
もう少し食欲に余裕があったので、追加でお蕎麦をお願いしました。キンキンに冷えており、フレッシュなダイコンの辛味とツルンとしたナメコの舌ざわりが相俟って、スルスルと胃袋におさまります。

残りの3種は白ごはんに牛肉の卵とじ丼、海苔茶漬けであり、これらは次回のお楽しみとしましょう。
デザートは安納芋を焼きイモにして求肥で包みます。聞くとヘヴィですが芋の上品で滑らかな甘味が心地よく、しっとりと別腹に着地しました。
お薄でフィニッシュ。ごちそうさまでした。

以上を食べ、軽く飲んでお会計はひとりあたり3万円。おおー、このレベルの日本料理を腹いっぱい食べてこの支払金額で済むとは東京では考えられないことです。今回はランチでお邪魔しましたが、ディナーだともう少しゴージャスになるそうで、次回は夕食としてカウンター席にお邪魔したいと思います。

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