かつ吉(かつきち)/水道橋

水道橋はラクーア近くの雑居ビル地下1階。食べログ3.70(2019年12月)で百名店入りしたトンカツ屋です。入り口や店内の装飾に重厚感があり、よい意味でトンカツ屋らしくない雰囲気です。
公式ウェブサイトによると「かつては三島由紀夫氏や川端康成氏らの文豪たちにも愛された」そうであり、味わい深い古木や無垢材をふんだんに使った古民家のような大空間が広がります。壁には骨董品をディスプレイしており、まるで美術館のような佇まい。
座席には自由に食べて良いお漬物が用意されています。これが中々に美味しくって、デパ地下で売られているものと大差ないレベルでした。
続いてキャベツが別盛りでやってきます。トンカツならびにソースと共に食べるというよりは、壺で置かれたドレッシングで食べるという試み。おかわりもOKであり、メインディッシュが来るまでに満腹中枢が刺激される。
「本日のランチメニュー」にあった「柳川風かつ丼定食」を注文し、10分ほどで着丼。チンチンに焼かれた器の中でカツがグツグツと煮立っており、ヴィジュアル的に食欲をそそります。 ただし、私の記憶が確かならば、柳川風とは笹掻きにしたゴボウを味醂と醤油の割下で煮て鶏卵で綴じた料理だったのですが、当店のそれは卵は抜きで、代わりにとろろ、そして何故か底にうどんが敷かれていました。
とんかつの味わいはグッド。出汁で煮込んでしまっているため本来の食感や豚肉の子細な味わいについてはバラけてしまいましたが、純粋にかつ煮込みとして美味しいです。しかしとろろは正直合わず、普通に卵で綴じて欲しかったな。うどんにも特長が見当たらず、これを用いた意図が見えませんでした。
赤出汁も美味。なんでも愛知県の八丁味噌と長野県の信州味噌をブレンドしているそうで、味噌のコクや甘味がビンビンに感じられる逸品。量もたっぷりです。
ごはんも旨い。お米とその炊き加減はさることながら、青紫蘇を混ぜ込んでおり香りが高く、クドい料理を食べている最中の一服の清涼剤です。
お会計は税込みで1,500円ポッキリ。サラダやお漬物が実質食べ放題であることを考えると大変リーズナブルな価格設定です。夜のメニューは客単価3千円前後であり中々の高級店なので、まずはランチで自分の好みかどうかを確かめると良いでしょう。今度は王道のトンカツを注文してみようっと。


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私は「とんかつ」という料理をそれほど好みません。だって、豚肉を脂で揚げるだけじゃないですか。それなのに、行列するは調理に時間がかかるわ結構効高価だわで、積極的に取り組もうとしないのです。したがって、私は物凄く「とんかつ」ならびに「とんかつ屋」について、検察官のようにシビアに評価しています。思い入れが無い分、信憑性は高いかもしれません。
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とんかつを「超一流の大衆料理」として、グルメ業界の重鎮たちがひたすら議論を重ねる本。よくもまあとんかつでこれだけ語れるなあと呆れます。ここに記された「殿堂入り」のお店はさすがに外しません。