ユニバーサル・スタジオ・ジャパン/大阪


「嫌な夢を見たの」と眉間にしわを寄せる妻。どんな夢だったんだい?と優しく訊ねると「USJの2日間を買ったんだけど、初日に紛失しちゃって。買いなおすハメになったの」なるほどそれは実に嫌な夢である。

さてその悪夢を払拭するために企画したUSJ旅行。相変わらず私は良き夫であり、今年もグッドハズバンド賞間違いなし。
前回お邪魔したのはかれこれ10年程前。当時はハリー・ポッターもミニオンズもなく、スパイダーマンだけが頼みの綱(糸?)といった惨憺たる状態で、あまりにも人気がなく閉園も近いのではないと心配したほどです。
その危機的状況から救い出し、その後の快進撃へと繋げた仕掛人が森岡毅。日本を代表するマーケターであり、ビジネス書のベストセラー作家でもあります。

wikipediaには『高等数学を用いた独自の確率統計ノウハウによる戦略理論と多くの奇抜なアイデアで、経営難に陥っていたテーマパーク・ユニバーサル・スタジオ・ジャパンを劇的にV字回復させた人物として知られる』との説明があり、私の義理の叔父の友人の知り合いの知り合いです。
私は前日入りし、開園15分前8:45にゲート前に到着。後ほど東京から始発で来る妻と合流するのですが、この時点ではひとりです。狂ったようにスマホをいじり倒し、おれは独りじゃないぞ後から人と合流するんだぞと周囲の人々にアピールするのに苦労したのを良く覚えています。

公式には9:00開園なのですが、その十数分前から列が動き出す。私にとっては嬉しいのですが、公式ホテルに特別なパッケージで泊まった人のみに許される『開園15分前入場』に果たしてメリットはあるのかと、疑問に感じた瞬間でもありました。

それでは本題に入りましょう。 アトラクション別の感想を記します。★はオススメ度です。

■ウィザーディング・ワールド・オブ・ハリー・ポッター/★★
2014年7月にオープンしたハリー・ポッターの世界を忠実に再現したエリア。USJのV字回復の立役者です。圧倒的なスケールと徹底した細部へのこだわりが感じられ、映画で見た世界へ溶け込むことができます。オープン当初は入場制限などがあり、『入場確約券』なども販売されていたようですが、最近は入場制限がかかることはまず無いそうです。
「え?何これ学校なの?住み込みの塾?魔法って何?」と、合流した妻。こいつは何を寝ぼけたことを言っとるんやと白眼視していると「あたし、ハリー・ポッター観たこと無いからさ。事前知識が何も無いんだよね」恐ろしい子。


■ハリー・ポッター・アンド・ザ・フォービドゥン・ジャーニー/★★★
ネットの情報を総合すると、『入場制限がかかる可能性があるハリー・ポッターは朝イチで行くべし。一番列の長いハリー・ポッター・アンド・ザ・フォービドゥン・ジャーニーには最初に乗るべし』。妻と合流するまでの間、独りでチャレンジ。
日中は平均100分待ちの人気ライドですが、9:10頃に到着した時点で30分待ちと良いタイム。狂ったようにスマホをいじり倒し、おれは独りじゃないぞ後から人と合流するんだぞと周囲の人々にアピールするのに苦労したのを良く覚えています。しかしながら乗り物自体は一蘭のように隣客との間に仕切りがあるため、独りで乗っていても疎外感は感じません。

ライドの内容は圧巻の一言。基本的にはディズニーの海底2万マイル的な乗り物なのですが、巧みに立体的な映像が加わり、リアルとバーチャルの境目がわからなくなるほどです。私の拙い文章では語るほどにチープになる。21世紀の画期を築いた見事なアトラクション。オススメです。

その後、9:30に妻が到着し、ハリー・ポッターを観たこともないくせに乗りたい乗りたいとうるさかったのでリトライ。70分待ちとの掲示でしたが、実際には40〜50分待ちでした。


■フライト・オブ・ザ・ヒッポグリフ/なし
オオワシの頭と馬の胴体を持つヒッポグリフに乗って空を飛び回るというコンセプト。結論から言うと子供だましのコースターであり、乗る価値はありません。コースターの台数が少ないため列の進みが牛歩であり、精神的に『待っている』感が大きいところも辛い。


■ワンド・マジック/なし
係員が教えてくれる奇妙な呪文を唱えると、風が吹いたり雪が降ったりします。子供向けです。


■三本の箒/なし
『老舗パブ兼宿屋』という設定。映画の中で目を引いた『バタービール』がスペシャリテなのですが、その味は。。。詳細は別記事にて


■アメージング・アドベンチャー・オブ・スパイダーマン・ザ・ライド 4K3D/★★
50分待ちのところをシングルライダーだと15分という案内だったので、合理的な我々は2人でシングルライダーに並びます。
4人がけのライドなので、奇数のグループが来れば相乗りさせて頂く、という仕組みです。我々は運良く同じ車に前後で乗ることができ勝利。

ライドの内容は、まず音楽が素晴らしいですね。イカしたエレキギターの音響が、80〜90年代のハードロック好きの私の心に残りました。

最近リニューアルしたようですが、前回版との違いはさほど感じられず。それでもビルからビルへと飛び移るスパイダーマンの視点は実にエキサイティングであり、根本的に興奮する乗り物。待ち時間の割にとても楽しい乗り物です。


■グラマシーパーク/★
スパイダーマンの向かいにある公園。昔はステージみたいなのがあった気がするのですが、現在は青々とした芝生が広がっています。ギャルがインスタを撮り狂ってたり、家族がお弁当を広げていたり(本来は飲食物の持ち込みNG)と牧歌的な雰囲気。

ところで、USJは千葉のディズニーに比べて子供が少なく、20代の客と外人が多かったような気がします。ディズニーに比べるとコスプレ感が薄く、品行方正なパークに映りました。他方、パーク全体を通じてのテーマやキャラクターが無いため、音楽なども含めてとりとめがない印象。シカゴが舞台の映画『バックドラフト』のアトラクションがサンフランシスコエリアに位置している理由を誰か教えて下さい。


■ターミネーター 2:3-D/なし
オープン当初からある老舗のアトラクション。『目の前で巻き起こる、未来を賭けた人類とサイボーグの戦い』がコンセプトなのですが、十数年前に描かれた『未来』が完全に時代遅れであり、全く感情移入できません。上映時間がダラダラと長く、映像の明度も暗い。4:45起床の妻はアトラクションの間、ずっと寝てました。


■ハリウッド・ドリーム・ザ・ライド/★★
USJ初のコースター。『世界一流クラスのコースター技術と日本人技術者の緻密な設計が結集した究極のコースター。体に負荷のかかる乱暴な動きだけを徹底的に排除し、コースター特有の「ガタガタ」という不快な走行音や振動を、限りなく最小に抑えることに成功』とのことであり、なるほど非常に滑らかで浮遊感を味わうことのできる乗り心地。いくつかのエリアを横断的に走り回るので、パーク全体を見渡すことができます。
BGMを自分で選ぶことができ、その音楽が耳元で爆発するのも良い演出。一緒に訪れた人同士で曲目を合わせたほうが、横一列でビートが揃って一体感を楽しめます。期間限定(?)で後ろ向きに走る『バックドロップ』という試みもあるそうな。


■ザ・フライング・ダイナソー/★★★
『世界最長×世界最大高低差の最新鋭コースター』と鼻息の荒いアトラクション。プテラノドンに背中を掴まれてジュラシック・パークの世界を飛び回るというコンセプトであり、地面に腹ばいになったまま吊り下げられるという独特のポジションを取ります。
これは最高に楽しいですねえ。全身むき出しで360度グルングルンに振り回されます。乗車前はポケットはカラにしろだの、マフラー取れだの、サングラスは外せだの、靴は脱げないかだの、注文の多いアトラクションなのですが、乗って納得、それぐらいしないと全てが吹っ飛ばされそうなイカれたアトラクションです。人間ドックでバリウムを飲んだ後にゴロゴロするベッドごと空を飛ぶような感覚。目に一丁字無き輩でも直感的に楽しめるライドです。
ちなみに当アトラクションにはJCBが協賛しており、カード種別によってはラウンジでゆったりとくつろいでから、待ち時間なしで最前列で楽しむことができます。詳細は別記事にて


■ミニオン・ハチャメチャ・ライド/★
「バック・トゥ・ザ・フューチャー・ザ・ライド」とその周辺のエリアを改装し、2017年4月21日にグランドオープンしたミニオン・パーク。バック・トゥ・ザ・フューチャーはUSJのアイコン的存在だと理解していたのですが、こうもあっさりとリストラされるとは。この世は絶え間のないシーソーだ。
さて「ミニオン・ハチャメチャ・ライド」。『巨大ドームスクリーンに映し出された臨場映像で究極巻き込まれる』との説明なのですが、「バック・トゥ・ザ・フューチャー・ザ・ライド」のペンキを塗りなおしただけです。キャラや映像は可愛くはあるのですが、2時間待つほどの価値はありません。

ちなみに当ライドはJALが協賛しており、先述のザ・フライング・ダイナソーと同様にJALラウンジが用意されています。JALの上級会員様である我々はもちろん利用しようとしたのですが、なんとラウンジの営業は17時まででした。残念。


■デリシャス・ミー! ザ・クッキー・キッチン/なし
ミニオン柄のクッキーサンドを売るテイクアウト専門店。ミニオンの好物であるバナナ味のアイスクリームを挟んだサンドを注文。味はコンビニスイーツレベル。これで600円は高いなあ。「こんな寒いのによくアイスなんか食べますねえ」と店員に笑顔で話しかけられましたが余計なお世話である。


■モンスターハンター・ザ・リアル/無理
『ユニバーサル・クールジャパン』という、日本のエンターテインメント・ブランドを礼賛するキャンペーンが開催中。期間限定のアトラクションであるため行列も長い。我々は待ち時間をゼロとするチケットを別料金で購入し、鼻歌混じりで入館です。

しかしながらこのアトラクションは駄作中の駄作ですね。AR(拡張現実)技術を利用して、モンハンの武器を装備して、写真を撮る。これだけです。「一部、暴力的なシーンや過激な表現があります。未就学児は利用できません」との注記は何だったのか。

これまで私は様々なテーマパークを訪れ、数々のアトラクションを楽しんできましたが、ここまで酷いものは初めてです。チョベリバです。


■ファイナルファンタジー XRライド/★
こちらも『ユニバーサル・クールジャパン』の期間限定。220分と、この日の全アトラクションの中で最も長い待ち時間を誇ります。我々は待ち時間をゼロとするチケットを購入しました。

先のモンハンとは異なりコチラは中々いいですね。平たく言うとVR(仮想現実)のコースターなのですが、期待以上の迫力を感じました。

途中からどういう仕組みなのだろうと、乗りながらVRゴーグルを外したりつけたり色々試してみる。スペースマウンテン的なコースターの動きとVRゴーグルの映像をシンクロさせる手法ですね。映像技術でここまでの臨場感を実現できるとなると、将来的にはVRと椅子だけのテーマパークができるかもしれません。


というわけで、オープンからラストまでの11時間滞在で、ほとんどの人気アトラクションを制覇することができました。追加料金で待ち時間の短縮が可能となるなど、テーマパークとしては節操の無い印象ではありますが、結果として1日で全部周りきることができたので、時間の限られた旅行者にとっては有り難いシステムと言って良いでしょう。
シングルライダーという、グループでなく1人での搭乗であれば待ち時間を短縮できる仕組みもあるのですが、このシステムの利用は考え物ですね。入口にシングルライダーの待ち時間が掲示されてはいるのですが、これが全くアテにならない。もちろん奇数グループが来て空席ができたら順に詰め込んでいくという制度なので当たり前と言えば当たり前なのですが、場合によってはシングルライダーのほうが待ち時間が長くなってしまうこともあります。過度な期待はせずギャンブルのつもりで利用しましょう。

以下はオマケ。ディズニーに比べてUSJは営業時間が短く、この日の閉園は20時(アトラクションの受付終了は19時ぐらい)だったので、パーク外のモールである『ユニバーサル・シティウォーク大阪』で夕食を摂りました。

■TAKOPA TAKOYAKI PARK/なし
http://www.takemachelin.com/2018/02/takopa.html
USJ帰りの観光客を見込んで昔から大阪の有名たこ焼き屋が集結。せっかくの機会なので一気に全店巡って参りました。詳細は別記事にて


■551蓬莱/★★
https://tabelog.com/osaka/A2701/A270403/27086571/
大阪土産としてカルト的な人気を誇る551。この日はデザートとしてホテルで食べるためにテイクアウト購入です。しかしながら皆も考えることは同じなのか、21時過ぎのテイクアウトだというのに30分近く行列しました。
ホテルに戻ってプシュっと開けて至福のひととき。生地も餡も文句のつけようがなく美味しいですね。このクオリティで肉まんひとつ170円という価格設定は奇跡です。横浜中華街であれば500円近く取られても文句は言えません。シュウマイも高品質かつ食べ応えがあり、酒のツマミに最高である。


■ホテル京阪ユニバーサル・シティ/なし
http://www.takemachelin.com/2018/02/keihan.html
テーマパークのオフィシャルホテルはイケていないのが定説ですが(タケマシュラン調べ)、そういえば日本ではその類のホテルに泊まったことがありません。モノは試しとUSJオフィシャルホテルのほとつである当館へ。詳細は別記事にて。


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