ピッツァスタジオ タマキ(Pizza Studio Tamaki)/赤羽橋


麻布十番のサヴォイストラーダを統べたピッツァイオーロが満を持して独立と、この界隈では結構話題になりました。ナポリピッツァのお店なのですが、店名ならびにオリオンビールが置いてあることを鑑みるに、沖縄にもゆかりがあるのかもしれません。
釜はブロックが剥きだしではなく、真っ黒の金属で覆われていて迫力があります。ちょうど前日に『シン・ゴジラ』を観たばかりの私にはゴジラに見えて仕方ありませんでした。

店の規模の割にスタッフ数はものすごく多く、全体としてムスっとした雰囲気でおっかない。我々は1時間近く滞在しましたがどのスタッフも一度もにこりともせず、ピリついた空気感です。
ランチメニューなどはなく、むしろランチであってもドリンクの注文が必須のワンドリンク制です。カラオケか。私はどうせビールを飲むので構わないですが、お酒が飲めない方にとってはちょっとアレかもしれません。加えてディナーであればテーブルチャージも要します。クレジットカードも利用不可。飲み物は全般的に高い。生ビールが790円、奥の氷たっぷりのレモネードは880円でした。
国産牛肉の自家製窯焼きラザーニャ。グッツグツに煮えたぎったラザーニャが窯から取り出される様は圧巻。たっぷりのチーズとオリーブオイルの香りが食欲をそそります。味は期待通りというか予想通りというか、一般的なラザーニャ味です。これで1,600円は高いなあ。
カウンター席を陣取ったのでピッツァの作業工程が良く見えたのですが、全体としてオペレーションが良くないですね。厨房の動線が悪く作業スペースも狭いため、エリヤフ・ゴールドラットが喜びそうなボトルネックの標本です。いわゆるピッツァを主体としたレストランは注文したら秒で提供されることが多いのですが、当店は1枚あたり10~20分を要するため、時間に余裕をもって訪れたほうが良いでしょう。
当店オリジナルの『タマキ』。具材はチェリートマト、フレッシュスモークモッツアレラ、ペコリーノロマーノ、バジルです。生地がサクサクと軽く食べ易い。チーズに薫香があることと、ペコリーノの塩気がピッツァに重みを持たせています。お値段は1,740円と超弩級の価格設定。
マリナーラ。具材はトマトソース、ニンニク、オレガノ、バジル。チーズが入っていないため、より生地の風味を楽しむことができ、やはりサクサクぱくぱくと食べ進めることができます。ところどころ丸焦げで苦味が強くなっているので、好みが別れるところでしょう。こちらは1,550円で税別です。
味は美味しく、ナポリピッツァとして及第点に達しているでしょう。ただし値段が高杉晋作。ひとつの前菜をふたりで分け、それぞれ飲み物とピッツァをひとつづつ注文しただけなのに7,000円を超えました。昼のピッツァ・ランチでこれは無い。麻布十番のど真ん中にあるサヴォイが、サラダと飲み物付きのピッツァ・ランチを1,000円で提供していることを考えると、当店は何にそんなにコストがかかっているのだろうかと謎は深まるばかりです。

そういう意味で、いわゆるピッツェリアとは業態が違うと考えたほうが良いでしょう。夜に酒を飲みに行き、〆に軽くピッツァをつまむ。こんな使い方が正しいのかもしれません。
という話をご近所さんにLINEすると、この返信。『おれら夜だったからなー。ピッツァは美味しかったけど、店員がスマホいじりくるってる雰囲気好きじゃなかったなあ』。こうなってくると、やっぱり夜も、行き辛い。


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