喜久や（kikuya）／麻布十番

2016年秋にオープンした「天ぷら×シャンパーニュ」がコンセプトの立ち飲み居酒屋。麻布十番商店街のど真ん中に位置するため、かなり目立ちます。外から眺める限りお客の入りは上々で、ずっと気になっていました。
店内はキレイ目なラーメン屋といった風情です。厨房を取り囲むカウンターと、壁に向かって食べるカウンター。いずれも立ち席です。客は外国人が多く、また、店員も外国人が多い。パティオ十番の「bistroあわ」に業態も客層も似ています。
エビスの生は600円。グラスが悪いのかサーバーが悪いのか、あまり美味しくありません。泡に肌理がなく、自宅のコップで缶ビールを移し替えたかのような味わいです。

主題のシャンパーニュはグラスは1,200円のボトルは9,000円。果たして何杯取りのシステムなのでしょうか。それにしても立ち飲みなのにボトル9,000円とは恩貸地制度のようにややこしい仕組みです。
コンセプトに違わずメニューは天ぷらが支配的。正統的なタネは少なく「明石焼き」「カプレーゼ」など企画モノが多い。また、厨房がどうにも取っ散らかっており、白い粉が待っているのに店員同士はダベっているような姿勢。連れと無言で頷き合い、「人気5品」のうち4品だけを注文して様子を見る。
左から大根、牡蠣、エビ、イカ。うーん、美味しくないですねえ。衣が妙に厚くヨボヨボで脂っぽい。素材の質も衣に合わせて残念賞であり、特に牡蠣は生臭くって食えたものじゃありません。ファミレスの天ぷら定食や天や天ぷらを下回るクオリティです。
衣も揚げもタネもイマイチなのに、シンプルに塩で食べることを勧めて来るセンス。変り種を用意する割に形式主義が強く感じました。

沖縄は栄町の「和食のすゝめ」もそうですが、やはり天ぷらという静謐な料理をカジュアルに食べるのは難しいのかもしれません。天ぷらに憧れた外国人観光客向けのお店と割り切ってお邪魔するのが良いでしょう。


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