ふじ木/宮崎

食べログ3.90で宮崎県3位のレストラン(ちなみに1位は4.16で一心鮨光洋)。繁華街の雑居ビル2Fにある、地元民から愛される割烹です。
乾杯は宮崎の地ビール「YAHAZU PILSNER(ヤハズ ピルスナー)」。2016年にリリースされたタンク、酵母、モルト、醸造のすべてを宮崎で実現した「オール宮崎」のビール。非常に香りが豊かで花束を受け取ったかのような印象。口にするとフルーティ。
トップバッターはアジ。筋肉質な歯ごたえであり、ややもすればギョっとする噛みごたえです。それに劣らず味わいもグッド。ポーションも大きく、彩り豊かなな脇役もグッドです。
クエの胃袋。東京に普通に生活していれば、まずお目にかかることのできない料理です。フグのカワと言うべきか、チャンジャの控えめな調味と言うべきか、いずれにせよ酒の友としては堪らない逸品です。
お椀はエビのしんじょう。世界で最も海老を食べた漢としてキネスブックに載った私ですが、この海老の味わいは中くらい。スープも悪くはありませんが、パンチの弱さからあと一歩といったところでしょう。
さて、ここから伊勢海老尽くしコースです。宮崎では9月から伊勢海老漁が解禁になったので、大将に事前にお願いしておきました。まずは刺し身をひとり1匹。コリコリとした歯ごたえに甘み・旨味・余韻。これは語るほどにチープになるので多くは語るまい。醤油が甘いのも、ああ、九州。
お次は焼きで。甘みと旨味がより一層強くなりました。たくましい歯ごたえは相変わらずであり、加えてその甘みと旨味、ひいては焼き目の香ばしさ、甲殻の香り。
日本酒に入ります。焼酎文化圏なので仕方はないと思いつつも、宮崎の地酒をひとつも置いていないのは残念。この日本酒は熊本のもので、その他は関東以北のものばかりでした。
地鶏とキノコの鍋。キノコはヒラタケ、マイタケ、シメジなどなど。出汁がすごくいいですね。鶏の出汁に山々の地味。この土地特有の甘い味付け。地鶏はとにかく歯ごたえが逞しく、まるで鴨を食べているかのよう。伊勢海老尽くしコースを頼んでおきながら、本日一番のお皿でした。
お漬物はシンプルながら結構旨い。浅漬けフレッシュな風味であり、軽めの日本酒にぴったり。コチラをアテに残りのお酒を飲み干します。
ライスは絶品というわけではありませんが中々美味しかった。最近レベルの低いライスに当たってばっかりだったので、少しは気分が落ち着きました。
御御御付け(おみおつけ、味噌汁)は刺身で用いた伊勢海老の頭を丸ごと用います。スープに溶け出した濃厚な味噌の美味しさはもちろんのこと、可食部も結構あって、これ1杯で立派な料理です。丼も大きくラーメン1杯ほどのスープの量でおなかチャポンチャポンやで。
デザートは栗のアイスクリーム。宮崎は和栗の名産地であり、栗きんとんが名物であったりもします。栗の風味が濃厚であり、また、舌触りも絹のように滑らか。アイスクリームとして非常にレベルの高い逸品でした。
飲んで食べてひとりあたり1.3万円。伊勢海老という高級食材をたっぷり食べてこの価格は地方都市ならではです。全体として良い素材を直截に調理する芸風であり、上質な食材をダイレクトに楽しめるお店でした。ちょっと量が少ないかなあ。汁物が多く満腹にはなるのですが、総摂取カロリーとしてはそれほど多くないかもしれません。

また、カウンターだったためか大将だけでなく女将さんやその他の店員など、全方位から話しかけられるのが落ち着かない。お店の方と絡むのが好きな方には堪らないシチュエーションかもしれませんが、人となるべく関わり合いを持ちたくない根暗でコミュ障な私にとっては結構辛い。もちろんこれは私の性格に全て責任があるため、自己啓発セミナーにでも通って性格を変えようと思います。


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