ワインをめぐる冒険 vol.3~そしてボルドーへ~

本当はヴェルサイユ宮殿にでも行こうかと考えていたのですが、毎週月曜日は定休日だということを前日に知る。ヴェルサイユのようなスーパー観光地が毎週休むとか許されるんだ。
急遽予定を変更し、アンジェリーナで朝食を摂ってからオープン直後のオランジェリー美術館へ。前日も感じましたが、日本人旅行客のほとんどは女性ですね。たまに男子も見かけるのですが、大体は女性に連れられている雰囲気で、無印良品で働いていそうな男ばかりです。
私を360度取り囲むモネの睡蓮。圧巻。家の壁紙にしたい。
思い切り寄るとラクガキにしか見えないのに不思議なものですね。それにしてもフランスの美術館は太っ腹だ。思わず手で撫でたくような距離に何の仕切りも無く名画が気前良く置かれている。
カフェも居心地がよくシャレオッティ。コペンハーゲンでも思いましたが、美術館のカフェは最もセンスが出る重要な施設だと感じています。
オランジェリーは客層が良いですね。騒いだりせずみんな真剣に絵を見ています。
写生女子。なぜこの絵を対象としたのか。それにしても妙に裸の絵が多い。
私のお気に入りの1枚。並外れてファンキーな服装なのに無表情。全盛期の板尾を彷彿とさせます。
オランジェリーを後にし、ギャラリーヴィヴィエンヌへ。古くは栄え、現代からは忘れられそうなアーケード街。200年前は雨でも濡れずにお買い物ができると一世を風靡したらしいのですが、近年ギャラリーラファイエットなどの大型デパートの台頭によりその役目を終えたとのこと。
19世紀そのままの装飾の美しさに瞠目。
もちろん現在でも営業中のショップがいくつかあり、そのいずれも尖った存在。例えばこちらのワインショップ。
お宝ワインからカジュアル利用まで幅広い品揃え。
『神の雫』のフランス語版も置かれています。当店経営のワインバーも併設されているのですが、時間が早かったこともあり営業前。
ヴァンドーム広場の東にレストランがひしめく一画があったことを思い出し、ボルドーワイン中心のレストランでランチ。詳細は別記事にて。
昼食後はTGVでボルドーへ。あまり早そうには見えない車体ですが、非浮上­式列車としては世界最高速度の574.8km/hを記録しています。
「TGVは2等であっても新幹線ぐらいの広さはあるから2等で充分」との情報を得ていたので2等席を予約していたのが失敗でした。粗野な乗客が多く居心地が極めて悪かったです。3時間30分乗ってぐったり。2等というのは座席ではなく乗客を指している。
ボルドーにはLa Tupina(ラ・トゥピナ)という有名レストランがあり、当店が経営するホテルのMaison Fredon(メゾン・フレドン)を予約しておきました。タクシーが止まるとどこからともなく飛んで出てくるホテルのおばちゃん。予約名やパスポート確認などのチェックインらしき作業は何も無く部屋に通されます。
歴史的な建物とモダンな家具が渾然一体となって上質な空間を創り上げています。
水まわりはピカピカに整えられており機能的。
ライティングディスクもある。

さて、今夜のレストランへの道順を調べようとPCを開いたのですが、ネットに繋がらない。。。接続手順を読み込んでもフランス語なので1割ぐらいしかわからない。当ホテルにはフロント的なものはなく、知人の家に泊まりに来ているようなものなので、何か問題があった時に聞く相手がいない。どこかに電話しようと受話器を持ち上げても疎通していない。。。
経営元のレストランは定休日で人気(ひとけ)はまるで無い。うーん、手元の『地球の歩き方フランス』においてボルドーに係る記載は4ページに留まるし、そもそも私が行こうと目論んでいたお店は地図の枠外。仕方が無いので「とりあえず行ってみよう」作戦に変更。確か左上のほうだったはず。
 トラムの切符は1回乗るたびに必要なのか、乗り換え時も必要なのかすらわからない。とりあえず1枚だけ買い求め、「怒られたら謝ろう」作戦。なんとかなるのが世の中だ。元バックパッカーの血が騒ぐ。
着いたよね。記憶を頼りに電車を乗り継ぎ、住所から位置関係を割り出すとこれですよ。自分で自分のサバイバル能力を褒め称えたい。

しかしこれは単なる偶然でなく、全て私の実力なのである。言葉の通じない未開の地を繰り返し旅するようになり、「ここまでは行けそうだ」「ここからはヤバそうだ」のような嗅覚じみたものが自然と身についてきたような気がします。当該嗅覚に従えばいずれは目的を達成できることが多い。

必死の思いで辿りついたレストランについては別記事にて。

食事を終え、ホテルに戻っても設備が回復しているわけもなく、仕方無しにそこらへんに飛んでいるWiFiを捕まえて1日4.9ユーロをカード決済し、ようやくネットに繋がる。

メールを確認すると、当ホテルの担当者から
「今日は何時につく?」
「緊急!私は18時に帰るから早く連絡を寄越せ!」
「さっきはギリでチェックインできて良かったな。言い忘れたけど朝食が必要なら電話するように」
と、何とも無責任なメールが数通届いていました。

海外からの旅行者でタイムリーにメールチェックできないことぐらい少しばかりの想像を巡らせればわかるだろうに。てゆーか電話つながらねーから朝食の連絡できねーし。18時を1秒でも過ぎたら何の躊躇いも無く帰るんだろうなこの女は。

「このホテル問題ありすぎ。誰も居ねーし電話つながらねーしWiFiも機能しねーし。自腹で4.9ユーロ払うことになったじゃねーかどーしてくれる。まぁ細けぇことはもういいから、さっさと色々修理するように」とメールを送ったところ当然に返事はなく、チェックアウトの日まで全てが壊れた状態のままでした。

久々に最低なホテルでした。日本の皆さん注意して下さいね。


「ワインをめぐる冒険」シリーズ目次

このシリーズは間違いなく名著。一般的なガイドブックと全く観点が異なり、完璧にワインラヴァーを向いています。ワインがテーマのフランス旅行においては必携!


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