ワインをめぐる冒険 vol.2~モンサンミッシェル~

本日は気合を入れてモンサンミッシェルへ。パリから日帰りで行けるとは言うものの東京名古屋ぐらいの距離があり、公共交通機関だと電車とバスを乗り継ぐ必要があり色々と面倒。そのため、日本人向けのツアー会社に全てをお任せすることに。
ツアー客の8割は女性。フランスならびにヨーロッパはとにかく女性客が多いですね。男子はアメリカ好きな印象。

ところで、前の席の女が90キロぐらいのデブで、リクライニング機能は無いはずなのに全体重を預けるとめちゃくちゃ倒れてきて俺の居場所が無くなるから痩せて欲しいお前だけナッツリターンして欲しい。

ガイドは日本人女性なのですが、出発の際に「○○さん3名組様、いませんか?もう15分待ちました。充分待ちました。残念ですがサヨウナラ」と、マジで置いていったので車内に戦慄が走る。今日は必ず時間厳守だこのガイドは血も涙もない本気だぞ。これが時間を守らせるための演技だったとしたら素晴らしいですな。
パリからバスで2時間。ノルマンディー地方のディ―ブ・シュール・メール村に到着。事前情報も思い入れも何もなく連れてこられたためリアクションがうまくいかなかったですが、差し当たっては立派な教会と手が届きそうな青い空があり満足。
チョコレート大賞的な何かで表彰されたことがあるショコラティエ。国外は当然、パリにも未進出とのこと。
チョコレートだけでなく焼き菓子も素晴らしいとのことだったので、
塩バターキャラメル味とチョコレート味のマカロンをひとつづつ。どら焼きほどの大きさがあり食べごたえ抜群。しかし、パサパサのサクサクで、上質なマカロン独特のしっとり感は無くパッとしない。クリームにはさすがの妙技が見られるものの「これじゃ全然ダメね。パリに進出していないんじゃなくて、できないのよ」と連れのコメントはいつだってノルマンディーの冬の寒さのように的確で厳しい。
お伽話のようなゾーンへの入り口。
世界観としてはベルギーのブルージュに似ていると感じました。つまり無名ながらも見事な観光地です。もっとゆっくりと過ごしてしっかり写真を撮りたかった。
モンサンミッシェルへ向かう道中、「滞在時間は3時間ぐらいですので、食事に時間をかけるのはもったいないですよ!モンサンミッシェルのレストランはどこも行列するし、サービスは死ぬほど遅いので要注意ですよ!そこで我が社が提携しているレストランの食事券を今ここで購入するとチョッパヤでオススメです!」と鬼営業。

ほんまかいなと半信半疑だったのですが、ド観光地であり食事にはそもそも期待しておらず、割高ではないオファーでもあったので受け入れることに。その結果は明日の記事にて。
モンサンミッシェルがズバリある島へは車やバスで向かうことができず、2キロ離れた対岸の街から無料のシャトルバスでアクセスします。
シャトルバスの終点からも7分ほど歩く。モンサンミッシェルが一望できる距離から徐々に近づいていく演出。ただ、干潮かつ曇り空と、環境が色々と恵まれておらず残念。
ラ・メール・プラール (la mere poulard)。名物のオムレツ発祥のお店。なぜか丸の内にも出店しています。日本企業の海外有名店を引っ張ってくるバイタリティには舌を巻く。一般的にこのような場合、日本で食べるほうが割高であることが多いですが、ことラ・メール・プラールに関しては東京が3,000円前後、本店は40〜50ユーロと逆転現象が生じています。ちなみにガイドの「どこも行列する」は全くのデタラメであり、一番人気の当店でさえ空席が目立っていたことを指摘しておく。
全景は当然に息を呑むほどの美しさですが、細部も興味深い造りとなっており楽しめます。個人的にはウロコ状の屋根がお気に入り。
高低差があり階段をたくさん登る必要があり息が上がります。もちろん、この高さが美景を構成しているのだけれども。
修道院内部はどうってことありませんね。羽根を用いたアートが素晴らしいとじっくり見ると、羽根が本物であり不気味に見えてきました。
絵になる読書女子。フランスで一番人気の世界遺産に来てまで読書をするという心の余裕を見習いたいものである。
修道院の見学を一通り終えた後は土産物屋を冷やかす。混雑っぷりは真夏のドブロブニク状態である。
名産(?)の塩バターキャラメルソフトクリーム。花畑牧場を溶かして固めたような味。舌触りが粗くざらついた食感ながらも暴力的な甘さで全てをカバーしています。
シャトルバスに乗って街に戻る。スーパーマーケットと言う名の巨大お土産屋が可愛らしい。芝生が整えられており、寝転べる椅子なども配置してあり、ガイドとの待ち合わせに最適です。

ちなみに、前述のデブ女が山のようにクッキーを買っていて、バス車内の物入れに収まらず困っていたところを私は腹を抱えて眺めており、「いいじゃん、今すぐいくつか食っちゃえよ、どーせ食べるんだろ?」と言いたかったが言えなかった。

というわけで、憧れのモンサンミッシェル観光は終了。「オムレツ美味しくないよ」「言うほど大したことないよ」と経験者に色々と脅されていたのですが、私はとても楽しめたし、未経験の方には是非オススメしたいです。

ただ、夕焼けやライトアップ、夜明け、満潮時など見てみたい表情はまだまだたくさん。そういう意味では1泊すべきなのかもしれません。でも1泊したからといって天候が優れているとは限らないのが悩みの種ですね。

私が風景写真を真面目に撮ることを卒業してポートレートに移行した理由はここにあります。所詮は機材と環境(天気)待ちで作品の95%が決まる。それを生業にしている専業カメラマンに勝てるわけがない。その点ポートレートは出会って即笑顔を引き出すコミュ力が勝負であるため、専業でなくても希望の光が射すというもの。

帰りは信じられないほどの渋滞、というか通行止め。農家がトラクターで高速道路を封鎖して何かの抗議活動をしていました。なんともフランス人らしい。ただ、我々に訴えかけても響きません。とは言え、先鋒として高速道路にトラクターで突入する勇気は賞賛に値するので、他の何かにそのエネルギーを役立てて欲しいところです。
オペラに戻って来たのは23時近く。さすがに疲れた。夕飯はパスしておやすみなさい。デブ女は「食べないほうが逆に太るのよ」とか何だかんだ理由をつけてしっかり食べるんだろうな。

「ワインをめぐる冒険」シリーズ目次

このシリーズは間違いなく名著。一般的なガイドブックと全く観点が異なり、完璧にワインラヴァーを向いています。ワインがテーマのフランス旅行においては必携!


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